環境問題への取り組みが世界経済にとっては必要不可欠となる中で、各企業も具体的に何らかの形で取り組む方向性を私たちに示すのが当たり前になって参りました。
前回取り上げました熊本県山鹿市に本社を置く、Lib Work(1431)では住宅建設に伴う二酸化炭素排出量を把握して提示する仕組みを業界に先駆けて導入したそうですが、このような取り組みに国内外を問わず多くの投資家が関心を持ち評価する時代になったことで株価の形成もかつてとはかなり異なったものになってきたと考えられます。
リデュース、リユース、リサイクル、いわゆる3Rは私たちの社会にとって当たり前のように定着した取り組みです。
株式市場ではこの潮流に沿ったビジネス展開を行っている企業に関心が向かっています。
例えば2つの上場ガラス瓶会社(日本山村硝子、石塚硝子)の株価はこのところ勢いよく上昇しております。飲料瓶容器はまさにリサイクルの典型的な製品です。
また紙パルプも古紙利用が6割となり原木から紙を作るものよりも多いのが現状です。紙製品の需要は印刷用が減ってもプラスチックの代替用が伸び、eコマースの拡大で段ボール需要が世界的に伸びている点でこのところ王子ホールディングスの株価が比較的堅調です。
個人的には先般のセミナーでもお話したKPPグループホールディングスも古紙取り扱いでトップクラスでもありこのところのグローバル展開を踏まえて注目しております。
もう1つのリユースと言う点では私はかねてよりオークネット(3964)に注目して参りましたが、同社はサーキュラーエコノミー(循環型経済)のリーダー的存在とも言えます。創業時の中古車やバイクなどとの絡みのオークションサービスからデジタル機器、ブランド品へとアイテムが広がり、活動エリアも世界に拡大しつつあります。
生産されたモノは新品としてメーカーや販売業者から消費者に渡り、通常は古くなって捨てられる運命にあると言えますが、これを再度流通させてそれを必要とする人々に届けるというビジネスの潮流を車からスマホ、パソコン、ブランド品へと拡大させてきたのが同社の成長の根幹です。
IPO後の過去3年ほど同社の株価は夏場に上昇するのが通例でしたが今年はこれまでのところなぜか穏健な推移を続けていますが、それは今期の業績が見かけ上は停滞しているためではあります。
特に3つのアイテムのうち最大の稼ぎ頭とも言えるスマホなどのデジタル機器が停滞気味なことが背景になっているかと思われますが、中長期的な成長に向け人材投資など先行投資を続けての利益ではあり、2Qまでの業績も大きく落ち込んでいる訳でもなくむしろ下期以降も前年同期を超えるとの展開も想定されますので、3Q決算など今後の動向に関心を寄せておきたいと思います。
また来年以降はスマホに加えGIGAスクール構想による学校向けに配布された800万台ものパソコンの入れ替えがありますので要注目かと思われます。
(炎)
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執筆者:炎のファンドマネージャー(松尾範久氏)
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