本当にお節介な話ですが、お正月のお休みの間に社内向けに「食育」を考えていたのです。レシピをメールに添付しております。
 わたしも料理は素人で詳しいわけではないですが、食事が健康寿命を延ばすポイントであると思います。

 体調管理は仕事のうちです。
 社員の健康の増進が企業の発展には不可欠ですので、このような食事関連のことを今回は書きたいと思いました。

 毎日の食事がわたしたちの身体を形作るわけですから、何を体に入れるべきか、入れるべきではないかについては考えてみる価値があると思うのです。

 ただ、気を付けたいのはあまりにも原理主義に陥ってしまえば苦しくなるだけです。今回の内容をそのまま実践することに拘らずに、いまの生活のまま、少しだけでも食事を意識していただくことがコラムの目的です。何事も極端に走ってはいけません。

 分業が確立した現代社会では食事も他者に頼ることになります。
 体に害があるかないかでいえば、たとえば煙草などは随分と昔は、害があるとは証明されていないとされていました。いま、そういうことを言う人はいないですね。実際に体には害なのです。
 同様にお酒も百薬の長などといわれていましたが、いまでは害が多いものに分類されます。

 社会で流通している食品には腐らないように化学物質が入っているわけですが、少量ならば「安全」とされています。実害が出てくる量の一定以下であればよろしいとされてはいるのです。
 しかしながら、少量だから問題が全くないとは言い切れないわけで、できるのならば、なるべく化学物質の類は取らない方がよいとわたしは思うのです。
 ある善良な醤油会社の社長さんが、本当は何もいれなくても醤油なんか腐らないのに、流通させるには決まりで不自然な薬品をいれなければならず残念だなあと言っていたそうです。


 玄米のような雑穀と旬の野菜がたっぷり入ったお味噌汁といった質素な組み合わせが好ましく、よいものをシンプルにいただきたい。

 旬のものがよいのは理由があります。
 夏には夏の野菜があります。夏の野菜は強い太陽光を浴びるのでそれに対抗するための植物自身が紫外線から自分を守るための抗酸化物質を作ります。
 わたしたちはそれを食べることで夏という季節から体を守ることができます。
 グリーンハウスで作られた野菜の栄養価は従来栽培の数分の1にも満たないことはよく知られた事実です。旬のものは新鮮にいただくことができて、需給のバランスも供給が勝るので安く手に入ります。
 いまは年がら年中、同じ野菜がスーパーに並んでいますが、もう少し季節を意識して産地から直売されたものを食卓にならべるのが理想だとわたしは思います。


 料理の基本は調味料や出汁ですが、調味料だけはわたしはこだわりたいと思っています。

 しょうゆは、ネットなどで、「丸大豆」「国産小麦と米」「有機」「無農薬」「オーガニック」などで絞り込んでその中からいろいろ試すのがおすすめです。
 スーパーでは、高くても、数回で使い切るだけの小さな容器で高いものがよいでしょう。香川県の丸島醤油「伝承丸大豆仕込み」などの善良な生産者のものがおすすめです。

 おなか一杯になるように食べるのではなく、旬の野菜料理をよく噛んで腹7分目ぐらいで時間をかけて食べるのが好ましいと思われます。
 ジャンクフードを大量に食べることはおすすめしません。

 白米はそれ自体よいのですが、白米を出せば、必ず味の濃いおかずが必要になってしまいます。おかずは出来合いのものには大量の添加物が使われています。スーパーの中食は要注意。

 自宅でお料理をする際も、時間があれば、出汁をよい水でとる方がよいでしょう。出汁としては粉になった化学化合物が多いのですが、本来は羅臼などの「こんぶ」などの自然の出汁を使う方が(中毒にならず)安全です。化学調味料は刺激が強く、中毒性があり、味の感覚はマヒしてしまうのでお勧めできません。


 一方で、化学調味料をつかえばなんでもおいしくなるので、そういう意味ではいま、日本の中華レストランの多くは大量の化学調味料を使っているイメージです。
 お時間のない共働きの家庭では化学調味料なしには手際よく料理ができません。女性の社会進出を化学調味料がサポートしている社会的にポジティブな面もおおいにあります。ですから化学調味料は一概に悪ではないのですが、
 化学調味料は食べると唾液が大量に出てしまうわけで、そのため、濃い味にしなければならなくなり、さらに塩やしょうゆや甘味を使うために、体に負荷がかかってしまいます。
 唾液の分泌はよいことのように宣伝されていますが、負の側面が大きいのです。

 砂糖は中毒性があり、むやみに使うべきではありません。アルコールと同様に脳を喜ばせる回路が働き、中毒になってしまいます。

 化学物質を食べることは体をゆっくりと壊すことにつながる危険な行為かもしれません。しょうゆも本来は腐るものではないのですが、流通させるためにはなんらかの化学防腐剤を入れることになります。何も入れないでしっかりと丁寧につくる善良な生産者のものを高く買ってみるのがおすすめです。


 パンも日本で売られている食パンは白い色をしています。
 精製された小麦には食物繊維がほとんど含まれていないのです。
 ですから食パンの朝ごはんは体にはよろしくないはず。

 もちろん菓子パンや調理パンは砂糖や添加物まみれで化学物質がしこたま入っているのでわたしは食べません。マーガリンのショートニングの害は有名ですね。

 食物繊維は自然農の旬の野菜から取るのがよいでしょう。
 また、魚はしっかりと血を抜いたもの(体重の1割程度でよい)をしていれば熟成しても変に腐ることがなく、日本の伝統食です。

 加工肉は食べるのは避けた方がよく、ベーコンやソーセージはスーパーでは異常な安さで売られているのですが、本来は体の中にいれるべきものではありません。本物のハムやソーセージは驚くほど手間がかかります。

 たとえば、ソーセージでも、国産豚肉、食塩、黒胡椒だけで作られたものがあります。白南風のスモークソーセージは添加物がなく、まじめに丁寧につくられたソーセージですが、4本で1000円ぐらいはします。

 玉子も生食用のものがよく、もちろん、平飼がよいわけですが。

 牛や豚の餌は薬が大量に入っており、しかも餌としては不自然な穀物で育てるのでどうしても健康な状態が保てないでしょう。牛乳などもできればグラスフェッドのものが好ましいと思います。


 本当の贅沢とは体に入れるべきものをおいしく入れる工夫であり、食文化を学ぶことなのではないでしょうか。誰がどう作ったものかに無関心ではもったいないと思います。

 外食もあれだけの安いものがどうして提供できるのかを一度考えてみればよいでしょう。

 もちろん、仲間と一緒に外食するのは楽しいことで、外食も毎日味の濃いものばかりを頼めば悪いものでしょうが、ほどほどであればなんら悪いことではありません。

 化学調味料の大量使用なくては安いレストランは立ち行かないわけで、外食で安く済ませようとするぐらいなら、しっかりと野菜を家で自炊する方がよいに決まっています。コロナでスーパーはよい品物を徐々に置くようになったのではないでしょうか。
 安易な外食よりも多少、手間をかけて自炊の方がよいでしょう。その際、なるべく生産者の見えるものを買うようにするとより料理も楽しくなるのではないでしょうか。


〇自炊中心の生活
〇調味料は少量で買い、オーガニックにこだわりをもつ
〇食物繊維を沢山とるべし
〇旬のものが安くて新鮮でもっともよい

×白砂糖
×化学調味料
×食パン
×添加物


(NPO法人イノベーターズ・フォーラム理事 山本 潤)


編集部註
※白砂糖については諸説あります。
※JST(科学技術振興機構)サイエンスチャンネルのザ・メイキングは様々な製造工程の動画があるので参考になります。
 例えば砂糖は⇒ https://youtu.be/i9aPY7yWmTg


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