長期的な株価下落の潮流に巻き込まれてしまった感のあるセクターの一つが地上波テレビメディア5社及び宇宙関連のスカパーJSATです。

 筆者は昨年10月からこのセクターへの関心を持ち始め、まず最初に注目したのがテレビ東京HD(9413)でした。中間決算は比較的堅調な業績で過去最高益だったのに株価は低迷。同社のIR担当者からも業績は良いのに評価が低いとの返事が筆者がお送りした質問の回答としてきました。
 印象的にはクイックの回答でしたので良かった訳ですが、その段階まで株価は低迷し昨年12月の安値は1753円でした。

 この安値がついた12月21日に同社はこの安値を待っていたかのように上限30万株、同6.6億円の自己株買い(3月31日まで)を発表。上限までの平均単価は2200円で、市場はこれを好感したのかこの安値をボトムに本日の終値1898円まで145円幅、8.3%の上昇を見せました。他のテレビ局4社がまだそれほど上昇している訳ではないため、同社の株高が目につきます。
 とは言え、まだボトムからの上昇率は10%以下に留まっており、時価総額も516億円と低水準。

 同社株は2010年10月に上場。上場初値は1550円でしたが、その後2012年11月には860円(時価総額247億円)という安値まで売られました。その時の評価データとなった2013.3期の営業利益は東日本大震災後で17億円余りでしたので致し方ないですが、その安値から業績の拡大基調、オリンピック開催決定などを背景に20186月の高値3450円(時価総額は951億円)と4倍にまでなりました。

 その後は昨年12月の安値1753円まで49.2%の下落となり本日現在は523億円となっています。かなりダイナミックな株価変動ですが、同業他社に比べると保有資産ではやや見劣りする印象です。

 短期的には自己株買いで株高維持が続きますが、中長期的にはアニメのグローバル展開に期待が寄せられます。皆さんの投資対象となり得ますかご意見を賜りましたら幸いです。

 最近はアニメやドラマ配信なども含めた3本柱でトライブリッド経営にも注力しております。
 特色ある経済番組にも活路を見出そうとしており最近ではビッグサイトや幕張メッセなどの展示会の実況中継などユニークな取り組みも行っています。

 連結従業員数は1660名で同業他社の3分の1から4分の1程度。
 その分、売上も1500億円と他社より小さいですが経営効率が極端に悪い訳ではなく比較的効率性の高い経営を行っているという印象です。

 同社の信託銀行以外の株主には日経新聞のほか、みずほ銀行、三井物産、日本生命、東京計画(ビッグカメラ系)、MBSメディアHD、NTT東日本と続きます。

 保有キャッシュは2Q末で380億円、投資有価証券は162億円で他社に比べると少ない状況で営業外収益への貢献も小さいため他社に比べ見劣りしてしまいますが、これが現状におけるネガティブ評価になりますが一方では業績拡大に向けた施策は比較的打ちやすく中長期的な成長性にも期待されます。


 ネット上では地上波テレビメディアがオワコンだと叫ばれたりしていますが、果たしてどうか。実際には膨大な含み資産が評価されておらず、コンテンツ提供企業として高評価できる要素を秘めているというのが率直なところです。


 今回はテレビメディア5社の中で規模が最も小さいテレビ東京HD(9413)を取り上げましたが、次号では他のテレビ局運営企業5社の中からテレビ朝日HD(9409)と本日、所属スタッフが覚せい剤使用で逮捕されたというTBSHDについて取り上げてみたいと思います。

 それにしても各社とも土地や投資有価証券の含み益が膨大です。これに対して時価総額の低さが顕著です。そろそろそうした資産内容の良さが評価されても良いかと思われます。


(炎)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)


honoh_01.jpg