「このバイクをローンで買います」
私は20歳ごろ、単車をローンで買いました。
ローンの総返済額は単車の価格の1.5倍~2倍くらいだったと思います。
今思えばずいぶん高い金利のローンを借りてしまったようです。
返済には苦労しました。
億近読者の皆様、こんにちは。お金の教育特化のFP、遠藤功二です。
今回は「金融」のお話をします。
最近は「金融業界」というと銀行、証券、保険などのお金を取り扱う業界を広く指す場合が多いです。私もそのように「金融」という言葉を使っています。
しかし、金融の「融」の字は、融資の融です。
融資こそ、金融機関の代表的な仕事です。
「借金はするな」
これは多くの日本人が、子供に教える家訓です。
確かに借金で身を滅ぼした人はたくさんいます。
借金は怖いものです。
私が金融教育の授業を学校から依頼される場合は、必ずといっていいほど「借金の怖さは教えてください」といわれます。
奨学金の話をするときも同じです。
「返さないといけないことを強調してください」と学校の先生に言われます。
日本人の多くは、借金はいけないことだ、と思っていますが、実際のところどうなのでしょうか。
多くの日本人は住宅ローンを組んで家を買っています。
ロバキヨファンの方は、住宅ローンは反対だと思います。
ただ、実際に私がFPとして仕事をしていると住宅ローンのおかげで家を買い、幸せな子育て時代、平穏な老後生活を送っている人は山ほどいます。
逆に老後も賃貸生活の方は、家賃支出に結構苦労しています。
住宅ローンは悪い物ではありません。
勤め先の都合で住宅ローン破産をしてしまう人がいますが、それは住宅ローンが悪いのではなく、勤め先が傾いたことが原因です。収入が安定しているのに家計管理がめちゃくちゃでローンの返済を滞納してしまう人がいますが、こういう人は賃貸でも家賃を滞納するでしょう。
住宅ローンは悪いものではありません。
では、私が冒頭に借りたバイクローンはどうでしょうか。
ずいぶん金利が高かったようです。これはさすがに悪い借金でしょうか。
実は、私はそうは思いません。
バイクローンは悪いものではありません。
私はバイクローンのおかげで、単車を買い、大学時代は自由に遊び回れました。そのおかげで社会人になってからは「もう十分遊んだ。ここからは真面目に働こう。」と思えました。
バイクローンは私に幸せな時間を提供してくれました。毎月の返済は大変でしたが、バイト代で返せる金額でした。
極論をいっても仕方がありませんが、もし私が20代前半で病気で他界する人生だったら、バイクローンを借りて正解だった、ということになります。
金融は、生きているうちに幸せな時間を運んできてくれたことになります。
奨学金が正しい借金であることはいうまでもありません。
奨学金を「学生ローン」といっている人がいますが、完全に間違っています。
学生街に「学生ローン」という看板を出している消費者金融がありますが、それと奨学金の制度内容は「月とすっぽん」です。奨学金は「学ぶ時間」を運んできてくれます。
金融は、時間を提供する仕事です。
返済計画をしっかり立てられる人は身を滅ぼしません。
では悪い借金とは何でしょうか。
悪い借金は、「借り過ぎること」と「友達からお金を借りること」ことです。
住宅ローンやカーローンではなく、普段の生活費を借金するのはまずいです。
カードローンや消費者金融で普段の生活費を借りている人は、「今必要なお金」の工面ができていないので、家計管理に問題があります。
日本には福祉が揃っています。
大抵の人は、管理力さえあれば消費用ローンは借りないで済むはずです。
友達にお金を借りていけないことはいうまでもありません。
金の切れ目はなんとやらです。最悪の場合、上下関係が生まれます。
ところで、「投資のための借金はしたほうがいい」といっているインフルエンサーもいますが、それは当たり前の正論だと思います。企業は借金をして当たり前なので、事業用の負債が正しいことは、あえて声高に話すほどの大した話ではありません。
住宅ローンやカーローンのような自己満足、自己実現のためのローンも世の中にはあり、そのタイプのローンの中にも正しいローンがあります。金融には「時間」を飛ばす力があります。その力は強力なだけに、うまく利用するためにはしっかりとした金融リテラシーが必要です。
「正しい借金を選択できるようになりなさい」と教えることは「借金はダメだ」と教えるより何倍も難しいです。
最後に念の為ですが、私は借金を推奨しているわけではありません。
(遠藤)
[遠藤 功二氏 プロフィール]
日本FP協会認定CFP
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
MBA(経営学修士)
大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。
子育て世代のための金融教育サービスFP君
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)
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