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資金逃避と円安

2022/10/25 09:54 投稿

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 今年の春過ぎ頃から外貨建て保険や節税型保険、仕組債(主にEB債)に対する注意・規制の記事が増えてきました。
 毎度のことですが、今更?と感じます。

 外貨建て保険は、円建て商品では利回りが出ず商品化が難しいために、無理やり金利がある外貨を使って形ばかりの保険に仕立てた商品です。
 自分で組成するなら一例として、豪ドルなら、為替手数料の安い金融機関で豪ドル建てMMFか豪ドル債を買い、似たような効果のある掛け捨て保険を組み合わせれば余程コスパの良い外貨建て(風の)保険が出来上がります。
 しかも円安時や必要な時に何時でも現金化出来るのですから、わざわざ(表に出ない)高額な手数料を払ってまで数年以上も資金を固定するリスクもありません。

 節税保険は、その組成と諸条件をきちんと調べれば疑問符の着く状態になっていたことは一目瞭然です。そんな都合の良い保険があるなら節税したいオーナーが続出するのは目に見えていました。

 何故にそんな商品を許可し、問題が拡大するまで放置したのでしょう?
 「そんなに節税を強調して売るとは考えませんでした」と言い訳していますが・・・、もしこれが本当なら当局のド素人さを晒すことになります。
 これこそ監督当局と保険会社との癒着以外に思い当たりません。

 そして、EB債販売の本質は「販売方法が良い、悪い」では無く、そもそも「投資に値する商品とは程遠い設計」になっていることが問題であり、その仕組みを理解するには十分な金融工学の知識が必要となることです。
 つまり、複利計算も難しい一般投資家に販売したのであれば、それ自体が法令違反に当たる可能性が高い訳です。
 金融庁(財務局)の説明は話しを販売方法にすり替えることで販売金融機関の責任を限定的にしようとの意図を感じます。
 少なくとも高等数学を理解する程度以上の証券知識を持たないレベルの一般投資家が損失を被ったのであれば、投資家の承諾があったか否かにかかわらず、販売会社や組成会社に対して損害賠償請求も有り得ると考えています。リスクの本質を理解するためにはそれ程専門的な知識が必要とされる金融商品なのです。

 先日の日経新聞の記事では、2021年度に証券会社経由で約2.4兆円、大手銀行で約1兆円、その他地銀などで約6,000億円の販売があったとありましたが、ざっくりと(主に外資系)組成会社と販売会社で計10%程度の手数料を得ているとしたら、4,000億円もの収益を上げたことになります。
 米国株式の中でも変動率の高い銘柄を利用していたなら、もっと稼げて(抜いて)いたことでしょう。

 仮に、昨年のように継続的に株価が上がる中で、1億円も買ってくれる顧客が年数回も回転してくれたら、販売会社にとっては(それこそ笑いが止まらず)販売を止めることなど出来なかったことでしょう。強い麻薬のようなものです。

 以前にも仕組債による損失が問題になった時期が何度かありましたが、今回は規模が違います。そして何も有効な手が打たれずに今に至りました。損失総額は数千億円レベルになるのではないでしょうか。
 某新興宗教問題も同じ構図ですね。
 選挙の為に安易に広告塔になり、被害者問題を取り上げるメディアに圧力をかけていた間抜けゴキブリ達。
 政官ともに国民置き去り・・・。

 投資市場の整備を怠り、掛け声だけの「投資家本位」を謳い、市場運営の責任を持つはずの当局が金融機関や上場企業など市場関係者への忖度のために仕事をしているフリを続ける限り、「貯蓄から損失へ」が繰り返されます。
 相当数の上場企業にしても(役員の保身のため)金を溜め込むばかりであり、成長もしなければ株主還元も物足りません。つまり投資価値が低い。
 これでは何時まで経っても国内投資家の資産増加への道筋は見えません。

 それ故に、ここ数年の資金の流れは海外資産へと向かっています。
 金利も無く成長も無い国内市場にも関わらず、条件の悪い金融商品が氾濫しているのですから、海外への資金逃避が始まっている故の円安なのかも知れません。


 毎度の余談ですが・・・。

 東北在住の友人から、GOTOが再開され、近場の温泉旅館の料金が朝夕2食付きで14,800円から19,800円に値上げされたとのメールをもらいました。政界と業界の阿吽でしょうか。
 ガソリンでは業界大手にバラマキ、医療では幽霊病床を筆頭にバラマキを止められず、高齢者への支援名目でバラマキ、観光・運輸業界に対してもサービスや生産性改善への支援では無く、目先のバラマキ(人気取り策)となっています。
 政官財が相乗りするコロナバブル(予算の分捕り合い)が止まりません。


 円資産のまま放置する危険を察知したことによる円安進行では困ります。


(街のコンサルタント)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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