有料メルマガ・石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」の過去配信ライブラリ「銘柄研究」「コラム」のうち、コラムの一部を掲載いたします。
自立した投資家、石川臨太郎のコンテンツをお楽しみ下さい。
なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。
=コラム「日本株が崩れないことを期待しつつ、来年の運用方針を練る」=
(有料メルマガ第459回・2017/11/21配信号)
※2017年11月現在の内容です。留意してお読み下さい。
【前略】
私がサラリーマンを辞めるまでの日本株式市場は、いまと同じように、とても堅調で、私の運用資産も予想以上の増加を見せていたので、サラリーマンを辞める決心が出来ました。
ところが会社を辞めた途端に、日本株式市場は崩れました。
温暖な気候から、一気に氷河期に変わってしまったような感じでした。
これから来年にかけて、12年前と同じような変化が起きないように願いながら、もし同じことが起きた時の投資の参考にしていただければと考えています。
私が勤めていた企業の上司の酷さに嫌気がさして、サラリーマンを卒業したのはちょうど11年9カ月前です。2018年1月末で12年が経過します。
いわゆる専業投資家になったわけですが、サラリーマンを辞めてほぼ1年たった2006年1月16日にライブドア・ショックが発生して、日本株が大きく下げました。
ライブドア・ショックとは、2006年1月16日に証券取引法違反容疑で、東京地検特捜部がライブドア(現:LDH)本社などに強制捜査を行い、これを受け2006年1月17日から始まった「日本株式市場の暴落」のことです。
ライブドア・ショックにより、それまでの投資家に優しい上昇基調が続いていた投資環境から、一気に氷河期がやってきました。
ライブドア・ショックから立ち直りかけた2008年9月15日には、リーマン・ショックが発生しました。米国の大手投資銀行であるリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破たんしたことから、連鎖的に世界的な金融危機が発生しました。
そして約2年の時間が経過してリーマン・ショックにより痛手を受けて減ってしまった株式運用資産を取り返したと安心した2011年3月11日に、東日本大震災が襲ってきて、福島の原発が被災して放射能事故で東京都ですら人が住めなくなるという流言飛語が飛び交いました。
旧民主党の菅直人首相の政府が、適切な対応を行えなかったこともあり、日本全体が大混乱に陥り、日本株も大きな下落となりました。
サラリーマンを辞めた後、10年に一度というほどの大暴落が数年ごとに発生して、私は株で運用資産を増やすことができなくなりました。
そのために専業投資家になってからの最初の7年間くらいは、株で資産を減らすことはありませんでしたが、配当は生活費に使用したので、資産を蓄積することができずにいました。
私の株式投資の運用益が大きく増え始めたのは、2012年12月に自民党が政権を取り戻し、安倍内閣が発足してからです。今年の12月にはアベノミクスがスタートしてから5年が経過しようとしています。
株式投資に関しては、年金スタイルで、フルインベストを続けていたので、この5年間の平均の資産増加は年間1800万円ほどになりました(2012年12月から2017年11月までの5年間で増えた資金を5で割った平均の金額です)。
先週のコラムにも書いたように、自分の健康状態や自分の年齢を考えて、上げた株を利喰いして大きな税金を払いながら、キャッシュに替えています。
マネー雑誌を読むと株式投資で1億円以上の資金を作った個人投資家がたくさんでてきています。ちょうど12年前と同じようなことが起こっています。
干支は12年周期でできています。たぶん12年、12という数字には意味があるような気がします。
還暦というと60歳。12年周期を5回経験すると還暦になります。
たぶん経済現象も12年サイクルで同じようなことが起きるような気がしています。
景気サイクルも、長短で4つの景気サイクルが知られています。
キチンサイクル、ジュグラーサイクル、クズネッツサイクル、コンドラチェフサイクルの4つです。
一番短いキチンサイクルは、在庫と生産の関係をもとにするといわれています。景気がいいときは生産が消費に追いつかず、生産が増えて在庫が減っていきます。しかし景気が悪くなっていくと生産と消費のバランスが生産のほうに傾きはじめて、在庫が次第に増えてきます。
景気がいいか悪いかは、生産と在庫の関係によってある程度明らかになります。生産と在庫の関係を数値化したものがキチンサイクルです。キチンサイクルの一サイクルはだいたい40ヶ月とされています。
2番目に長い景気サイクルはジュグラーサイクルと呼ばれています。ジュグラーサイクルは設備投資を原因とするサイクルです。設備投資とは工場などの生産ラインを指しています。
景気がいいときには企業は活発に設備投資を行います。工場を積極的に作るということは、物を積極的に作るということです。しかし工場を作りすぎると、過剰生産が起こり、物があまりだします。そして景気が悪くなります。
景気が悪いときは、物を作っても売れないため、企業は設備投資に消極的になります。そのために、さらに景気が落ち込んでいきます。
ジュグラーサイクルは企業の設備投資の循環であり、これを景気循環の定義としています。一サイクルは約10年程度です。正確に10年では無いので、12年程度になる場合もありそうです。
短期と長期の景気サイクルの組み合わせで、いろいろな状況が発生しそうです。日本は2020年に東京オリンピックが控えているので、設備投資は2019年までは好調が続きそうです。
私はキチンサイクルと、ジュグラ―サイクルが重なることで、12年周期の変動が起こりそうな気がしています。
私が人間として活発に活動できる余裕は12年くらいのワンサイクルを残す程度となりました。
そこで、無理をして株で資金を増やし続けても、自分で作った資金を有効に使える時間が無くなったのでは、意味が無いと感じたことも、株から現金に資金を移している理由です。
もちろん株式投資をやめるわけではありません。株式市場でリスクに晒す金額を少なくしながら短期投資を取り入れて、少ない金額で、従来と同じくらいの利益を作り出すという新しいチャレンジをしています。
これは最近何度もコラムで書いてきましたが、短期投資の達人と知り合い、短期投資を学べるようになったことがきっかけです。まさに株式投資が好調で、大きく資産が増えている時に、短期投資の達人に巡り合えたことは、本当に幸運だったと思います。
この投資家さんの短期投資のスタイルと、実績を知らなかったら、従来と同じようなフル・インベストの年金スタイルの運用を続けていたと思います。
必要な時に、人生や投資の良い指導者に巡り合うことができる。これは幸運なことだと思います。
やはり人生でも投資でも、運が必要になると考えています。
いまから考えると、サラリーマンを辞めた時に住宅ローンをすべて返済しないで、住宅ローンを返済する資金を株に投資しようとした時に、自分の選択を改める重要な本に巡り合ったことで、ローンの返済を優先しました。
そのおかげで、その後に起こった株の大きな暴落にあっても生きのびて、専業投資家としての生活を維持することが出来ました。住宅ローンを完済していなかったら、株の損失が大きくなりすぎて、専業投資家を続けることは不可能でした。
サラリーマンを辞める決断が出来たことのも、その前の1年から2年ほどの期間に株で大きく資産を増やせたからです。
『億の近道』メルマガと巡り合い、山本潤さんに株式投資に関して学ぶことが出来たことも、投資の本を出版できたことも人との出会いがきっかけです。
自分の人生の方向性を良い方に変えてくれる人との出会いは大事にしたいと思っています。
【中略】
新しい購読者を多く迎えたということなので、私の研究銘柄に取り上げる企業の特徴などを確認しておいていただきたいと思います。
私は、『企業のリアルな価値(=本質的な企業価値)』というのは、その企業が過去の利益で蓄積してきた、すでに持っている『企業の資産価値』と、その企業が事業を行うことで将来にわたって稼ぎ続ける収益力の総和、つまり『企業の事業価値』を合計したものだと考えています。
その企業が過去の利益で稼いできた利益の多くはバランス・シートの資産の欄に表示されています。特許などのようにバランス・シートに表示されていない資産もありますが、開示されている資産だけでも投資判断するのに十分な『企業の資産価値』を把握することが可能です。
しかし企業が将来どれだけの利益を稼ぐことができるかという未来の収益の総和を計算することは、誰にもできません。いろいろな手段で推計するしかありません。
そこで私は事業価値(=利益を上げ続ける収益力)を推定するために、4つの経済サイクルのうち一番短い3年~4年でサイクルを描く在庫循環を参考に企業の4年間の平均経常利益を計算しその5年分つまり5倍を事業価値と考えるようにしています。
利益を上げ続ける収益力を表す事業価値はバランス・シート上に載っていないビジネス・モデルや企業の信用力、社長や社員の能力、ネットワークの力などで利益を稼ぎだせる力を現金換算しなければ計算できません。しかしこれを簡単に算出することは不可能なのです。したがって過去の企業の経常利益で代用し、事業価値を把握するようにしています。
しかし『資産価値』+『事業価値』の合計である、この『企業のリアルな価値』は、投資家のその企業に投資したいという需要(=光)によってマーケットのボードに『バーチャルな影(=株価)』として写しだされます。
そしてその影(=株価)は、大きく歪んで写し出されることがほとんどです。
いまのように光(=需要)が強ければ大きく、そしてアベノミクスのスタート前のように光(=需要)が弱ければ小さく歪みます。
なぜか。
それは『株価』というバーチャルな影は、欲と恐怖でいびつに磨かれたミスター・マーケット(=全ての投資家の総意)というプリズムを通過することで大きく歪んでしまうのです。
その歪みを補正して『企業のリアルな価値』を予想するためには事業内容や資産背景を把握して、理解しておくことが重要になると考えて私は努力しています。
そして研究レポートでは、私が有価証券報告書などの開示資料から調べることができた、その企業の資産価値および、過去4年間の経常利益などから推計した事業価値などから研究レポートの対象とした企業の『リアルな価値』を説明して、実際に市場で売買されてついた株価と比較して、投資対象として検討する価値があるかどうかを購読者の皆さんが判断する材料を提供するわけです。
今年に入ってからは、特に割安すぎると感じていた企業の株価が、予想以上の上昇を見せ始めました。予想よりもずっと高くなる株も次々に現れています。しかし、まだ割安状態に放置されている企業の株も、たくさんあります。
最近は株価が好調なので、私が株式投資をやっていることを知っている友達からも『株式投資をはじめてみようかと思う』ということで、相談を受けることが多くなりました。
私はこのような質問を受けた時に行った返事は以下のようなことです。
『株式投資をしなくても十分な老後の資金を確保できているなら、投資した資金が大きく増えるかもしれないが、逆に大きく減る可能性も同じくらい多い相場商品にわざわざ、すでに十分に確保している老後資金を投資する必要は無いと思う。株式投資を行えば、それはすでに確保している老後資金を減らす可能性を持つ危険な行動になる。』
このような返事をしてきました。
私も30年間以上も株式投資を行うことで、株式投資の儲けで自宅を手に入れたり、賃貸不動産を手に入れたり、私設年金の掛け金を作ったり、ゴールドを手に入れたりして資産を作ることが出来ました。
だから、まだ十分な老後資金を準備できていないなら、アベノミクスを成功させるためにあらゆる政策が動員されて、日銀が金融緩和を進めている好調な時に株式投資を始める準備をすることは、悪くは無いと思います。しかし、いままで株式投資をやったことがない人が、いま直ぐに株式投資をスタートすることには反対です。
株式投資も経済戦争です。だから勝つこともあれば、負けることもあり、負けたら目的を達成できない危険な行為です。老後資金をすでに確保しているのに、必要もないのに株戦争を仕掛けるのも愚かなことです。それに勝算がないままで株戦争を仕掛けるのは愚の骨頂だとも感じています。
私が株式投資で資産を作れた理由を、私なりに分析して出した結論は、『常に勝ち逃げすることを頭において株式投資を実践することが出来たからだ』というものでした。
株式投資をするときは、常に勝ち逃げできるタイミングを計りながら投資を進めていくことが必要です。そして自分が株式投資という戦争で目指した目的を達成できたら、行なう必要の無くなった株式戦争はやめることが大事です。
いまは勝ち逃げするタイミングの時だと、私の経験が強く訴えてきています。最近は21年目にやってきた勝ち逃げのチャンスを最大限に生かす時期がいまだと考えています。
株式投資などで生き抜いていけるのは、必要な時に腹8分目で勝ち逃げできることが本当に大事なことだと考えています。
そして目的を達成して勝ち逃げを狙う以上、その目的を達成するために「戦略」が大事で、次に「戦術」が必要で、戦争目的を達成したときの出口戦略が大事だということは、私たち個人投資家が行なう株式投資(=経済戦争)においても、国家間や企業間の戦争とまったく同じだと考えています。
多くの人が株式投資を行なう目的は、資金を増やすことだと思います。
もう少し具体的にいうなら、株式投資などの運用で作った資金を利用して豊かな一生を送ること、資金的な不安を持たずに安心して一生豊かな生活をエンジョイすることを可能にすること、ではないかと私は考えています。
しかし株式投資には人間の射幸心を煽り、株式投資で大きく資産を増やせることは、とても人の心に満足を与えるものです。その快感、勝利感に浸りすぎると、当初の株式戦争(=株式投資)の目的を忘れ去り、いわゆる株式投資をバクチとして楽しんでしまうことになるという危険性も高いです。
【中略】
日経225が3万円を目指すにしても、3万円に至るまでに、波乱は何度も起きると思います。その波乱を生き抜くためにも、しっかりとした自分の年齢や健康状態、家族の状態まで考えた上での、自分に適した運用手法と投資戦略を構築すべきだと考えています。
もう少し正確に私の考えていることを表現すると、若い世代はガツガツガッポリ稼ぐことを目的として、大きく勝つことを目的として株式投資など相場商品への投資を全力で行うことは正解であることも多いです。
しかし資産形成が進んで定年後の老後世代を金銭的に不安なく生きることが出来るところまで資産の蓄積が出来た人は、給料という定期的は労働収入が無くなった定年してからは、全力で株式投資に資金を振り向けるような全面株式戦争は終結して、戦線を縮小して全力の相場商品への投資額を減らしていく作戦を取ることを考えるべきだということを考え続けています。
もう少し付け加えると、私も、まったく株式投資をしないということではなく、資産を減らさないための株式投資(=インフレに対抗するための経済防衛戦争力・戦力の確保という意味の株式投資と考えてください)は、十分な老後資金が確保できた後でも必要だと考えています。
そして、その株式投資は楽しく、大きく資産を減らさないで、自分の残された時間を、仕事に従事していた定年前には時間的に許されなかった『本当にやりたくてたまらなかったこと』に使うことを可能にするような、時間を取られない方法で株式投資を行うべきだとも考えています。
時間を取られないで、楽しい投資の代表例は自分が欲しいものが貰える優待のある株への投資だと考えています。
投資氷河期ともいえるアベノミクス前の日本の株式市場においても、優待銘柄への投資というのは、実に有効で実り多い投資作戦でした。
このメルマガでは、いままでと同じように、自分が本当にやりたいことに時間をたっぷりと使えるような、のんびりと楽しみながら、時間をそれほど取られなくても、利益を確保できる株式投資の方法を主に考えたいと思います。
しかし、それに加えて投資額を少なくしてもしっかりと稼げる短期投資に使う投資指標(=簡単に言うと、通期の業績予想と、四半期ごとの業績進捗率から、業績上方修正する銘柄を見つけ出す手法)を利用しながら、短期的に株価も上がるけれど、中長期的には、更に大きく株価が上げる可能性を持つ企業を見つけ出していきたいと考えています。
【後略】
経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎
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