株式市場がまた低迷し始めた。
上がっては下げ、下がっては上げの株式相場に集う投資家の心は揺れ動く。
それと同様に上場企業の経営者は困難な経済情勢に立ち向かい、企業を成長に導く必要がある。その結果を決算という形で表すことになるのが企業運営の基本だ。
決算がうまく計画通り着地できれば良いが、経済状況の変化が著しい状況下でうまく計画通りにはいかないこともある。
そうした時に経営者にとって大事なのは投資家(既存株主)との信頼関係の再構築だ。決算説明会はもちろんのこと、中・長期計画ならその計画内容を説明するなどで信頼関係を構築する必要しファンになってもらう努力が必要となる。
その結果、株主から脱落する投資家もいれば新たに株主になる投資家も出てくる。絶えず株主が入れ替わり、一定期間のリスクテイクを行ってもらうのが経営者のミッションでもある。
このように経営者には計画した業績を上げるだけではなく、投資家への未来に向けた説明が必要となる。
コロナ禍でオンライン化が進み、投資家は映像情報で企業と接する機会が増えてきたが、リアルな説明会も同時に増加し始めている。
先日久々に開催されたサイネックス(2376)のリアル説明会には比較的大勢のアナリストの来場があったとの印象がある。
同社は地方創生をテーマにして着実に業績を伸ばそうと努力している点が印象に残った。残念ながら今期の経常利益は5.3億円で過去のピークを更新できないままで推移しているが、ストック型ビジネスモデルのデジタルサイネージやCMS型ホームページ、AIチャットボットなどのクラウドサービスの展開が楽しみな状況で前期末の受注残が14.4億円に達し、今後も更に蓄積が予想されるとの説明には大いに期待が持てた。
株価に反映されるのはまだ時間を要すだろうが、少なからず信頼関係は構築できたのではないだろうか。
これまで信頼関係が構築できずに株価の低迷が続く銘柄は枚挙に暇がない。
一度投資家からの信頼を失うと企業はその信頼関係を取り戻すのは並大抵ではない努力が求められる。
その中の一社が日本精密(7771)。
同社のビジネスは腕時計の金属バンドや眼鏡フレームなどをベトナムやカンボジアで製造するモノづくり企業だが、業績の低迷が続き投資家の期待を裏切ってきた。その同社は前期ようやく営業黒字化を果たしたのだが、最終利益はベトナムのロックダウンに伴う特損計上で赤字が残った。
今期は豊富な受注残を4月で消化したと直近の社長の公開動画で説明。今期はかなり自信をもって当期利益も赤字から黒字になるとの自信を示していた。これで投資家との信頼関係が復活できるのか、低迷状態の株価(時価66円)が多少でも上向くのなら幸いだ。
(炎)
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