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流通時価総額の基準を満たす手法

2022/04/20 14:23 投稿

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 4月4日からスタートした東証新市場では1839のプライム銘柄と1465のスタンダード銘柄、463のグロース銘柄とに分類され取引が始まっています。

 プライムとスタンダードは数の上ではさほど大きな差はないのですが時価総額ではプライムが677.7兆円、スタンダードが21.9兆円と大きく開いています。プライム市場は時価総額が大きな企業ばかりなので当たり前ですが、
多少偏っているとの印象です。
 外国人用の市場改革とされていますが、この中にはボーダーラインの会社が数多く含まれているものと推察されます。

 流通株式時価総額や流通株比率と言われる基準が注目され、その基準を下回っている企業は一定の猶予期間での改善が求められているという点は今後の株式相場にも影響をもたらすと考えられます。
 企業は一定期間内でこの基準をクリアする必要があるからです。
 基準を下回っている企業はこれをクリアするための計画書を提出して一定期間内での改善を行うことになります。


 要するに基準を下回っている企業は業績を向上させて、それに連動する形で株価を上げて結果として時価総額を高めていくことになります。そこにIR活動を絡めて投資家に理解を求めることでクリアしようと多くのボーダーラインより下にある企業は考えているようです。

 プライムでは流通時価総額100億円、スタンダード市場では10億円、グロース市場では5億円が基準でこれを上回るように業績を向上させ、株価を上昇させるか流通株比率が基準の25%を下回っている場合はこれを上回るようにしておく必要があります。


 基準を下回っている場合の手法でユニークな事例が最近見出せました。
 以下の事例は基準を下回っている企業には参考になるかと思われます。


1)ZOA(3375・スタンダード)の場合

 発行済み株式数145.4万株で時価1240円で時価総額は18億円。
 移行基準日である昨年6月末時点の株主数は803名、流通株式は4690単位、流通株式比率32.2%でいずれも基準をクリアしていたが、流通時価総額が株価の低迷で基準の10億円に対して5.6億円と下回ったままだった。

 同社は筆頭株主の長嶋しのぶ氏が28.5%の株式を保有するほか第2位のダイワ情報システムで19.9%を保有していたため流通株式を他の純投資目的の法人(マーチャントバンカーズ(3121))や個人投資家に譲渡したことで、流通株式数を4690単位から8590単位(全部で14540単位)へと高めるに至った。
 また比較的業績も底堅く業績の上方修正も行った結果、株価も上昇をし、流通時価総額は5.6億円から10.6億円(時価だと10.7億円)とクリアしている。


2)クロスマーケティンググループ(3675・プライム)の場合

 2013年にIPOして業績が大きく伸びなかった同社が積極経営に転じ、時価総額300億円、売上300億円、営業利益30億円を2024年6月期に達成するとの目標を掲げて行ったのが、自己株買いとは反対の非流通株式の放出という手法でこれには野村証券が登録商標を保有する株式需給緩衝信託という仕組みを利用しています。
 これによって流通時価総額を100億円以上に高めることを狙っています。
 CARTAHD(3688)が保有する258万株のうち160万株を買い取り流通時価総額に加える見込みで6月末までの期間で実施する予定。
 昨年6月の基準日現在では流通株式数は89571単位で基準の2万単位をクリア。流通株式比率も44.8%で基準の35%をクリア。1日平均売買代金も0.89億円と基準の0.2億円をクリアしていましたが流通時価総額は55.3億円で100億円を下回っていましたが、9月末では流通時価総額が100.9億円となりすべての基準を一応ギリギリにクリアしていました。

 今回はその流通時価総額を更に増やせるようにしておくという意味がありそうで新手法による施策として注目されます。


(炎)


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