相変わらず日本株へのは売りスタンスが続いており、本日の日経平均株価は2万8000円割れの展開。決して昨年3月のコロナショックのような状態ではありませんが、今年は年初から2万7000円から3万700円のゾーンで推移して大納会を終えそうです。
一方、TOPIX(東証1部全体)は年初の安値水準から右肩上がりの展開を見せ1800ポイントから2100ポイントでの推移となり、現状はその中間値水準までの調整を見せています。日銀のTOPIX買いへの期待が今年の特徴で、外国人投資家と機関投資家も日経平均よりはTOPIXを選好したものと推察されます。
一方で個人投資家の皆さんは中小型株を比較的好まれるほか、マザーズ、JASDAQなど新興市場銘柄への投資が盛んだと推察されます。残念ながらマザーズ指数は昨年9月の高値1368ポイントから本日の暫定安値946ポイントまで3割の下落となり、評価損の出ている銘柄の節税対策売りに追われている現状が感じられます。マザーズ指数はコロナショックの安値527ポイントから1368ポイントまで841ポイントも上昇しただけに調整もダイナミック。半値押し水準が948ポイントなので今回の調整も丁度この水準まで行われたことになります。
これで調整完了と言えれば良いのですが、ボトム形成を確認するまでは断言できません。それでも個々の銘柄の株価下落をじっくり御覧になっているベテラン投資家の皆様は中長期的な買いタイミングをじっくり探っておられるのかも知れません。
11月から始まった日本株の調整は様々な要因が重なってのものかと思いますが、およそ以下の理由によるものと言えます。
外国人投資家はファンドの決算を控え、この時期機械的な売りを実行する。
そこに日本に誕生した新政権(岸田政権)へのネガティブな評価が加わった。
つまり聞く耳はあっても決断が遅いとの評価や新資本主義への不透明感が市場参加者にネガティブに映った。
恒大集団の破綻懸念で中国経済への先行に暗雲が漂い、アリババ、DIDIなどのIT系企業への共産党政権の介入が見られたことに加え、ウイグル人権問題の議論の高まりで指数をリードするソフトバンクGやファーストリテイリングへのネガティブな評価につながった。
米国ではウイグル人権問題から北京オリンピックの外交ボイコットがバイデン大統領によって明確に打ち出されようとしており、市場では米中間に冷戦構造ができている点を指摘する声も聞かれる。
コロナ禍にあって推進されようとしている脱炭素化への動きは、ひところ1バーレル=10ドル以下まで低落した原油先物価格の1バーレル=80ドル台までの急騰につながった。原油価格の上昇とともにロシアはウクライナへの進攻をちらつかせ天然ガス価格の急上昇に至り、ガソリン価格や電力価格の上昇をもたらしており、エネルギー価格の上昇によるスタグフレーションが深刻になりつつある。
既にモノづくりの現場では原材料価格の上昇を製品価格に転嫁しようとする動きが見られ、年明け以降はインフレが日本でも問題になる可能性がある。
既にコロナ収束傾向の中で物流が活発化するようになる一方で港湾労働者不足からコンテナ市況、海運市況の高騰が顕著になり海運会社は未曽有の収益向上に遭遇し株価は業績に追いつかないほどイレギュラーな評価に甘んじているが、今後は鎮静化が想定されるため、投資家は積極的に海運株を買い上がれない。
結果として今期の海運各社の配当利回りだけが以上に高まっている。
また、半導体生産の不足も市場内の関連銘柄の株価を活気づかせ、あたかも未来永劫の株価上昇につながるような動きが見られ東京エレクトロンに代表される半導体関連株の株価を押し上げている。半導体生産が不足して自動車の生産にも支障がきて、関連銘柄には5分割実施のトヨタは別格としてもややネガティブな動きもあった。
こうした潮流の下で株価は形成され市場には一段と二極化現象が見られるようになった。株高と株下げの同居状態が続く中で全体相場は気迷いながら年末を迎えようとしている。
株価の上昇トレンドが続く銘柄には買いが入りやすく、一方で下落トレンドが続く銘柄には買いが入らず、むしろ売りが売りを呼ぶ結果となっている。
また日本株に比べ米国は相変わらず堅調でテスラやアップル、ALPHABET(Google)などの株高傾向は続いている。日本株を売って米国のGAFAMなどの有名ブランド銘柄を買おうという動きがまだ続いているのかも知れません。
このように日本株を売る理由を探せばきりがないほど出てきますが、日本企業や日本経済がふがいないからだと言われる投資家の皆さんも多いと思います。ただ日本企業にも世界に出して恥ずかしくない素晴らしい企業があると思います。
何にもまして日本人が日本国の企業に投資しないで外国企業に投資するのは気が引けますね。
3800もの企業の中からそうした素晴らしい企業を見出すのが、この「億の近道」のミッションだと言えそうです。
個人投資家の皆さんにとって、とても難しいことなのかも知れませんが企業が行う成長投資の成否やビジネスモデルの良否を見分けられる投資家が増えてくることが今後も大いに求められているものと思われます。
(炎)
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