億近読者の皆様こんにちは。
小学生の親御様のために、お金の教育論について寄稿させていただいております遠藤です。
2022年4月から高校の授業で投資教育がスタートすることはもう周知のことになってきたと思います。
私は、近い将来投資は学ぶことだけでなく、やること自体も義務化されると思っています。その予感をさせる1つの動きが確定拠出年金制度の進展です。
確定拠出年金制度は2001年にスタートした制度ですが、2016年に個人型にiDeCoという愛称が付けられ、2017年から公務員も加入可能になり、国民に広がり始めています。
実は、会社の退職金制度を企業型確定拠出年金(401k)に移行する企業は増えています。
以前は退職金といえば、終身雇用で働けば定年退職時に1,000万円~3,000万円程度の最後のボーナスが会社からプレゼントされるというイメージの制度でした。第二の人生を歩む戦友に会社が軍資金を渡すような感じです。
退職金を確定拠出年金制度に変更した会社では、上記のようにプレゼント的に渡される退職金はありません。会社は種銭は出してくれますが、社員は自分で運用して退職金を作ります。入社当時から退職時まで自分の退職金がいくらなのかを見ながら会社員生活を送ります。「私の退職金はいくらなんだろう、ワクワク」ということはないのです。
こういった会社では入社当初から確定拠出年金の銘柄ラインナップが配られ、退職金の積立金(拠出金)で投資する銘柄を選びます。入社と同時に投資が義務になっているということです。新入社員は60歳以降に受け取る退職金のことなので、なにをやらされているのかピンとこない方も多いようです。
商品の選び方がさっぱりわからない方は、定期預金を選んでしまっているようです。運良く外国株式ファンドを選んだ方は資産が増えています。ただ、資産が増えていても何がなんだかわかっておらず、いつの間にか資産が増えていたという人が多いのも実情です。
民間の年金制度である「退職金制度」はこのように、自己責任で投資する時代に変わりつつあります。国債利回りが下がった今、運用結果が読めないのに、予定利回りを提示しなければならない確定給付企業年金が下火になるのは仕方がありません。
401kは制度を導入した会社では社員に投資を義務化する制度といえますが、iDeCoはまだ義務化されていません。
もし公的年金制度でiDeCoの存在感が高まり、401kのように投資することが義務になった場合は、投資の知識がある人とない人で年金額に雲泥の差が出てしまいます。
つまり、貧富の差が年金額にまで及んでしまうということです。
公的年金制度では賦課方式が導入されているため、積立方式のiDeCoが義務化されるのは無理があるような気がしますが、実際幾つかの企業では退職金制度がバサッと切り替えられていますので、油断はできません。
「投資が義務化されたら知識や経験がある人が有利だからずるい」
と思われる方もいるかもしれませんが、そもそも現代社会は、機会は平等で、結果に差がつく仕組みになっています。
とりあえずは義務教育ではない高校から投資教育がスタートするものの、投資教育が公教育のカリキュラムに導入されればされるほど、投資の知識で貧富の差が生じてしまうことは容認されることになります。
国からすれば「学校で投資のことを教えているのだから、やる人とやらない人で結果に差が出るのは仕方ないでしょ」といえてしまうわけです。
積立投資の仕組みや成長株への長期投資はやっている人といない人で数倍の差がつきます。
お子様をお持ちの親御様は子供に投資教育をしてあげていただきたいと思います。
「グローバルの時代だから英語をやる」
「コンピューターの時代だからプログラミングをやる」
というのと同じように、
「自己責任の時代だから投資を学ぶ」
ことが必要に時代になったと私は思っています。
(遠藤)
[遠藤 功二氏 プロフィール]
日本FP協会認定CFP
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
MBA(経営学修士)
大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。
子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。
子育て世代のための金融教育サービスFP君
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)
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