億近読者の皆様こんにちは。

 小学生の親御様のために、お金の教育論について寄稿させていただいております遠藤です。


 お小遣いのあげ方には定額制と報酬制があります。

 定額制は、月に1,000円などと決めてお小遣いをあげる方法です。
 報酬制は、家のお手伝いをしてお小遣いをあげる方法です。

 お金の専門家でも、どっち派か分かれます。

 定額制の理論は
「家の仕事は家族でするものだからお金は渡さない」
というものです。

 報酬制の方の理論は
「お金を稼ぐ大変さを知るべきだ。お小遣いが欲しいなら家の仕事を手伝いなさい。」
といった感じです。

 これは、どちらが正しいというものではありません。伸ばせる力が違うし、お子様の現状によっても適切なルールは異なります。


 例えば、定額制で「月1,000円」と決めたら予算内で工夫する力が身につきます。家の仕事は、最近共働きでママパパ両方忙しいわけですから、お金なんてもらわなくても、家の仕事を手伝いなさいよ、と私も思います。

 一方、「お金の大事さ」を教えるなら報酬制の方が効果があるでしょう。
 何しろ家の仕事をしなければ、無一文となってしまいアイスも漫画も買えないので、人生つまらないわけです。「働かないと何も買えないんだ」ということを子供ながらに体験することができます。


 ところがなかなかうまくいかないこともあります。
 定額制は、「家の仕事は家族みんなでやるもんだ。」と親が思っていても、全然期待に答えてくれないかもしれません。

 報酬制でお金の大切さがわかるかと思いきや「がんばれば稼げるからじゃんじゃん使っちゃおう」という悪い意味で前向きになってしまう可能性もあります。


 ではどうしたら良いのか、ということですがそれは親御様が何を子供に伝えたいのか、何がその子には必要なのか、ということで変わってきます。

 「助け合い」を教えたいなら、みんなでバーベキューでも行ってみんなで準備をして、みんなで片付けをしたら、チームワークや思いやりを学ぶでしょう。
 大掃除をみんなでするのも良いです。

 「予算管理」を教えたいなら、例えば回転寿司に行った時に、「700円以内で収まるように自分でネタを選びなさい」というようなことをするだけでも、好き放題に注文するよりは勉強になるでしょう。もしかしたら550円でお腹いっぱいになって、回転寿司の営業努力に感動するかもしれません。お店に興味を持つのは1つの社会勉強です。


 ちなみに我が家では、私がお金の管理に非常に甘かった過去の教訓と、事業者としてお金の大切さを身にしみて理解した経験から、子供にはお金の大切さをよく理解して欲しいと思い、報酬制にしています。
 そして、報酬が発生しない「助け合い」「チームワーク」の大切さはお金と関係ない機会で伝えています。


 言葉で伝えてすぐに理解してくれるほど教育は楽ではありません。
 一進一退を繰り返していくしかありません。


(遠藤)


[遠藤 功二氏 プロフィール]

 日本FP協会認定CFP
 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
 MBA(経営学修士)

大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。
証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当した経験上、日本には金融教育が足りていないことを確信する。
自己責任が求められる社会で、子供たちが自立して生きていけるよう、お金の教育講座を実施している。子育て世代の親たちと子供たちに、金融の知識を届けるため教育特化のFPとして奔走中。

生き抜く力を育むお金の体験型教室FP君
web:https://fpkun.com
メッセージ:koji.endo@fpkun.com


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