その昔、小学校で教わった郵便制度の話では制度を創設した前島密さんが登場しますが、その近代郵便制度が始まって今年の4月、まさに今月で150周年を迎えるとのことです。
手紙やはがきといった文書を遠隔地の人々に送る公的な活動は私たちの生活に欠かせないサービスで、現在のようなインターネットというより便利な仕組みがない時代は郵便局は私たちの生活にとって身近に存在していました。
しかも文書はワープロなどない時代は当然、手書きで字のうまさが個人の能力では問われていました。
ところが近年はパソコンの普及、光高速通信の時代となり、文書はメールという形で簡単・便利にやり取りできるようになって参りました。
その結果、全国に張り巡らされた郵便局のネットワーク(全国に2万3800か所もあるそうです)は郵便制度では存在感が薄れつつあり、それに代わって物流、金融窓口機能がビジネスの中心を占めるようになってきました。
日本郵政グループにはゆうちょ銀行やかんぽ生命保険といった企業が存在し2015年に持株の一部が株式市場に公開され、多くの皆さんがそれぞれの株式を購入されたりしたのではないでしょうか。
人々のコミュニケーションや文書交換などにとって重要な役割を担う郵便制度自体はもう成長が見込めない過去のビジネスシステムと言えますが国家的な視点ではなくせないシステムなので存続は求められますので郵便局というインフラを活用して利益を生む新たなビジネスにも挑戦しないとならないのは言うまでもありません。
そうでないと上場した意味はないのです。
そうした意味で企業価値は銀行や保険といった金融サービスに求められていますが、日本郵政としては現在保有している金融2社の持株を将来は50%に減らすという方針を掲げています。
61万人もの株主を抱える日本郵政株はかんぽ生命(7181)で生じた不祥事問題で信頼をなくし連結業績も停滞を余儀なくされたので株価が低迷。
2015年の公開価格1400円に対して初値は1631円、その後の高値は1999円でしたが、その後の株価は凋落の一途となり、昨年10月にはかんぽ生命の不正問題から714.7円という安値まで売られてしまいました。
3月のコロナショック時の安値すら下回る下落で多くの保有されている投資家は投げたか、果敢に買い増ししたのか、ないしはただ黙って眺めていたかはともかく茫然とされたのかも知れません。
そうした株価の変動の一方で、業績は減益とは言え、50円配当は維持。
900円~1000円で配当利回りは5%台と上場他社比較で見ると極めて高いという点で注目されたほか楽天との業務資本提携による評価の高まりで3月19日には1101円まで上昇。上場後の最安値714.7円から半年間でボトムから54%余りも上昇しました。
ただ、そうした配当狙いの買いが年1回配当で30日に配当落ちとなると株価は魅力をなくし、配当落ち分以上に下落し4月2日には937.7円まで14.8%下落してしまいました。上げ幅の半値押しは931.5円ですので
ほぼ、この水準まで短期で調整したことになります。
時価総額が4兆円規模の大型株にしては値動きは軽いと言う印象ですが億の近道の読者の皆さんはうまく売買されましたでしょうか。
筆頭株主が日銀や日本たばこ産業と同じ財務大臣で56%余りの保有。
浮動株が7%余りしかありませんので今後も比較的大きく変動する可能性があります。
ところで日本郵政では郵便制度開始150周年を記念して2種類の記念貨幣(1万円金貨と1000円銀貨)を発行する予定(造幣局からの通販)です。
申し込み方法などの詳細はWEBサイトで公表予定。4月21日から3週間申込み受付予定で8月下旬から発送されるそうです。
1871年の開始以来今年で150年を迎えた郵便制度の担い手である国策企業である同社の今後のビジネス展開や業績動向、株価変動にも引き続き関心を寄せておくことにしましょう。
(炎)
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