【ショートセル(空売り、からうり)】
空売り(英語でshort selling)は、投資対象である現物(株)を所有せずに、対象となる株式を(将来的に)売る契約を結ぶ行為だとされる。
対象となる銘柄の株価が下落していく局面でも取り引きで利益を得られる手法のひとつ。「信用売り」も同じ意味の言葉とされるが、実際には現在、その対象銘柄の株式を保有している場合における信用売りはつなぎ売りと称され、配当金を得る際の一時的なショートとは厳密に言えば違う。
対義語は「空買い」だが、通常は「信用買い」という言葉が使われる。
これは持っている現金の3倍程度分まで買える取引で通常の保有金額にレバレッジを利かして値上がり益を狙う投機的な行為をさす。
多くの個人の株式投資家はこの手法を採用しているが、ショートセルの場合は値下がりの可能性に賭ける手法でその行為自体が批判的に言われることもあるのだが(テスラのオーナー、イーロン・マスク氏など)、明らかに買われ過ぎた株価に対してそのリスクを承知で目先に売る意思のない株主から株を借りて売る行為は金融市場で考案されたユニークな制度とも言える。
現在の株式市場での空売りとは証券の保有者から証券を借りて市場で売り、証券の返却期日前に証券を買い戻す行為を主に指す。この場合は株の貸借の返済期日(制度信用:半年、無期限信用の場合無期限)までに証券の価格が値下がりすると証券を安値で買い戻して高値で決済することができるので、差額による利益が生まれる。
株高が膠着状態(上昇トレンドがストップしたりする)に陥った場合、ファンド運用者は今度は何らかのリターンを求めてこうした行為に移ることになる。いわゆるヘッジファンドと称される専門ファンドがそうした行為で市場を攪乱するケースがある。
最近、米国では成長性がないと目されたゲームストップ株がこうしたヘッジファンドの介入で株価が下落傾向を続けた(安値は昨年3月の2.6ドル)後に個人のネット投資家の買いで本年1月にかけ急騰(高値483ドル)を演じ、その後も乱高下(時価は137.74ドル)しているということで話題となっている。
さて、通常一般の投資家は証券会社を通じて株券を借りて売ることになるが証券会社は証券金融会社を通じて他の証券会社や機関投資家、信託銀行などから借り受けることで調達する。
また機関投資家が直接大口株主と株券の貸借(株券消費貸借)契約をおこない、そのさい借りた株券を売却することもある。(Wikipedia)
皆様も実際にこうした取引をされたことがあると思いますが、まだ経験されたことのない方は口座を開設されている取引先の証券会社に確認して頂いた上で取引されてみてはどうでしょうか。
この場合はまずは信用取引による買いから始まり、その後は配当取り目当てのつなぎ売りの手法を覚えて頂くと良いかと思います。
空売りするには多少の勇気と度胸と何らかの勝算が必要となりますが、株式投資からリターンを得るチャンスの広がりとお考え頂くと良いかと思います。(但し決して安易にはなさらないことです)
もう少しだけあるA銘柄(時価700円、社名は伏せておきます。)を事例に空売りの流れを簡略化すると
A銘柄 過去の安値500円⇒直近高値900円 時価700円
1.B投資家は安値から8割も上昇したA銘柄を割高と見て証券会社から株を借り、それを市場で880円で1000株売った。(空売り)
2.B投資家は株を売った代金880円を得る。
3.その後A銘柄の株価が値下がりし本日の終値700円で買い戻しA銘柄株式1000株を手に入れる。
4.この700円で買った株式を証券会社に返却する。差額の1株180円分が投資家の手元に残り、これが投資家の利益になる。
実際には投資家は売買に関する手数料のほか、株を借りたことによる貸株料を証券会社に支払う。
証券会社ははじめの売却代金である880円を預かるので、その金利(日歩)を投資家に支払う。
ただし売り長(売り残の方が買い残よりも多い場合をいう)で株不足になった場合には金利を支払わなくてはならない場合があり、これを品貸料あるいは逆日歩と呼ぶ。
この逆日歩がつくとショート投資家は嫌なので通常は売り建て株を手仕舞いし、その行為自体で株価が上昇することもある。
なお、空売りでは投資家が証券会社から株を借りるので、投資家と証券会社との間に信用関係があることが条件になる。空売りにしろ空買いにしろ現物取引ではない取引行為は信用取引と呼ぶ。
このため空売りを行うには証券会社に信用取引口座を開設する必要がある。(その条件などは取引されている証券会社にお聞きください。つまり証券会社との信頼関係が信用取引口座の開設の条件です)
ショートセルでは失敗(意に反して値上がりする)することもある訳ですから、そのあたりは十分な注意が必要。
もし空売りした株の値段が予想に反して上昇した場合でも投資家は証券会社に株を返却しなくてはならないので、空売りした時よりも高い値段で株を買い戻さなくてはならない。この場合には投資家は時に大きな損をする場合もある。
空売りによる利益は倒産等による株式の無価値化の場合に最大となり、その金額は空売りを行った金額以下(上記例では880円、実際には株価は0円にはならないのでそれ以下)に限定される。
一方で株価が予想に反して上昇した場合には、損害が天井知らずという危険性を持っている。
正当な市場の動向の予測による株取引を行い利益を得ることは現在でも問題は無いが、自らその銘柄を持たずに膨大な空売りの契約を結び市場の価格を暴落させて無理やり自らに有利な相場を作って利益を稼ぐ行為は証券価格の適正価格からの遊離、更には証券市場や実体経済の混乱を招くため不法な「価格操作」として法的に規制されている。
過去には仕手戦において株を調達しないままの空売りが横行し、空売りが投機行為の代名詞となったこともある。
このため空売りという言葉自体に良くない印象を持たれるようになった。
現在では空売りに対して様々な法的規制が存在し、空売りといえばほとんどの場合は借り受け売りのことを指すようになった。
一方で空売りは現物株が市場に出回っていないときにも売買契約が可能(市場の流動性)になるという効用が存在するため、証券取引が活性化されるという利点が存在するとも言われる。
また空売りによる取引額の増大により証券市場においてより株の適正価格が確保されるという意見と、空売りにより投機行為の増大により株価が適正価格から遊離するという意見が存在する。
特に前者の空売りは現物株が存在しない段階で結ぶ架空の売り行為でありこのような経済活動は制限されるべきであるという意見と、空売りに対する規制は自由契約の原則を犯す行為であり好ましくないという意見が存在する。
皆さんもぜひ一度空売りという仕組みについて考えて頂ければ幸いです。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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