今週からまたコロナ禍による自粛要請が始まっています。
5月~6月の頃には「夏に入れば治まるのではないか」「冬までにはワクチンが出回るかもしれない」と言った期待感もありましたが、国民が自粛行動に入ってから既に半年以上が過ぎ、閉塞感が色濃くなっています。
改めて自粛要請が増えていますが、飲食や小売、旅行業、そして医療関係者の皆さんは心が折れそうになりながらも日々奮闘しておられることと思われます。
我が家もささやかながら地元の飲食店のテイクアウトを増やすなどしていますが、安易にGOTOなどせず地道な医療業界支援や事業者支援をしなくてはいけない時期だったはずなのに、バラマキの誘惑に勝てない政治家と予算獲得目的の省庁の強欲タッグが迷走を続けます。
ゼロ金利政策が続く金融市場では連日の株式高騰で沸いていますが、果たしてそれほどに誰もが儲かっているのか?証券関係者に聞いてみると余り楽では無さそうです。
資金の出入りが激しく乱高下し、指数ばかりが買われ、投資家はそれなりに儲けているものの期待したほどではない。たぶん個人投資家で「大儲け!」と明言できるほどの人は一握りではないかと言います。
小職のポジションでも、長く保有している高配当&優待銘柄、買って放置していた成長株などは上がっていますが、ここ数年で積極的に売買して儲かったと言えるのは春先に買ったものを除いて数えるくらいです。しかも全てが少額で、何故かと言えば上がりだすと買い辛くなったから(笑)。株式投資で勝負している訳でもなく大儲けはそもそも無理ですけどね・・・(苦笑)
WEBなどでよく目にする「数年で資産を百倍に増やした!」という類の人は自分を含めて周囲に居ません。つまり、ほんの一握りの成功例を題材に投資雑誌やWEBへの誘導を目的としているのでしょう(笑)
さて、以前より時々触れていますが、日本の株式市場は(責任を避けたい市場関係者による)古典的規制を維持しているため、依然として歪な市場運営方法が残ります。個人投資家に対する信用取引規制もその一例です。
新聞の市場欄にも規制される銘柄や内容などが載っていますから、詳しい方は日々チェックしておられますね。
最近の好例ではJALやANAの取引規制があります。
JALは公募をするため11月25日まで安定操作期間として幹事証券会社が株価水準を維持(まあ、買い支えると言いますか)し、安定操作期間終了後の26日には需給悪化を嫌気した大量の売りが出ました。
理解に苦しむものの、ここまでは何とか分かりますが、この先が問題です。
個人投資家がJALなどの大型増資を嫌気した場合でも規制により新たな空売りは出来ず買うことしか出来ません。現物または信用で保有する投資家は継続保有するか、泣く泣く投げることしかできません。
ところが増資成功に向けて個人投資家の自由度を狭める一方、海外ファンドには規制が無く、借株などを使って自由に売買出来ますから、やりたい放題です。流石にリーマンショック以降の規制により、新株の申し込みをする一方で空売りをすると言う「ボッタクリ裁定取引」は出来なくなりましたが、陰では投資主体の名義を変えてコソコソと続けているところもあるようです。
こうなると(証券会社のお勧めにより)安定操作期間中に買わされた個人投資家は堪ったものではありませんね。
今は市場が強いので何とかなっていますが、発行会社寄りの情けない市場運営の仕組みにより配当や優待を楽しみにして長期保有(応援)してくれている大事な個人投資家は踏んだり蹴ったりとなるケースが多々あります。
JALは10年ちょっと前にも増資をして、その後僅か1年程度で破綻しました。あの時コラムに書いたのは、ナショナルフラッグを救うための前年度の増資は粉飾を隠して実施されたのではないかと言う内容でした。
平たく言えば、突然発生したと言う?喪失の相当部分が機体・設備の減損や過大な年金不足であるのに「増資して立て直そうと思ったが、5,000億円以上もの新たな損失が分かったので更生法を申請します」なんて理屈は有り得ません。減損処理の可能性なんて数年前から分かっていたはずです。
経営陣や国交省、及び労働組合の既得権を手放せず、(親方日の丸で)切羽詰まるまで無策が続いた結果が投資家への巨額損失転換に繋がりました。
あの破綻処理は民主党政権になったから踏み切れたものと思われますが(自民党のままならミノベ幹事長のような人が邪魔するから、笑)、公労使3者の蜜月により甘い経営を続けたことが問題であり、半沢直樹のストーリーとは随分違いますね。
但し、JALを破綻に追いやった根本原因は政治家による利益誘導と役所の既得権、そして国策企業に頼った銀行の政治的判断であった部分は同じです(苦笑)
コロナ対策予算も一声30兆円!など威勢の良い発言が出ていますが、政治主導の甘いバラマキは避けるべきです。政治資金でも国の予算でも使い道を明確にしなければなりません。
日本国にJALと同じ道を歩ませることは出来ませんから。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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