日経平均が29年ぶりの高値更新。コロナ禍で疲弊する日本経済にとっては喜ばしい限りのニュースだがこれにはきっと何かある・・と訝し気に考える皆様もお見えなのかも知れません。
グローバル企業が数多く含まれる日経平均の上げはコロナ禍で業績が低迷する企業群とは反対に業績向上が見られる値がさ優良株を柱に始まった感がする。上場3800銘柄の中の200銘柄程度の株高では投資家の資産増強は決して果たされていないと推察されるがそれでも下げるよりは上げる方が楽しい。
心もウキウキとなり年末商戦にも明るいムードが漂うことになる。
いやそうは言っても、自分の持株はびくともしない。むしろマイナスになっている、という投資家諸氏も多いのかも知れませんが、市場から離れていた投資家も日経平均の高値更新の報道で関心が向くのかも知れません。株高報道こそ投資家にとっては良いニュースなのかも知れませんが、この話はほとんど大半の投資家にとっては関係がありません。
想定以上に高くなった株を保有されてきた投資家が売却することでお金の好循環が再開し、限られた銘柄から横に広がっていくことが本格的な上昇相場の開始となるが、今のところはほとんど限定的な動きに留まっているように感じられる。
この株高をコロナショック時の急落以降、担ってきた立役者は外国人投資家と某機関投資家ということになる。
強力なバズーカ砲を持った某機関投資家とはご存知、日本銀行。
日本株は個人投資家の層が薄く、株式に興味を持たない個人投資家に代わって長きにわたって機関投資家や外国人投資家が様々に関与してきた。
その中でも日本銀行は株価下支え機関とも言うべき役割を果たし、2010年の買い付け開始以来、ETF(上場投信)に間接的に投資して株価を下支えしてきたとの経緯がある。
このほかでも年金(GPIF)基金も株式市場を下支えする機関として存在してきたが、日銀の存在が日本株の下支えとなってコロナ禍のクラッシュ相場でも活躍したことは記憶に新しい。
その決算、本年3月末現在の日銀の保有株式は市場の時価総額(3月末548兆円)の5.5%(3月末で約30兆円)に当たるまでになったそうだ。
日銀はあくまで下支えはするが、上げに協力する訳ではなく、当局がこの株高局面をどのように見ているのか興味深い。
本年3月に年間12兆円(それまでの倍)の買い付けを行うとした日銀のETF買いが今後どのようになってくるのか、やや過熱気味となっている急騰中の日経平均の相場上昇にとっては日銀のスタンスが変化するのかどうかを関心をもってみていく必要がある。
この日銀の通常の(設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業には12億円投資)ETF買いは11月10日、11日の株価急騰時には買い付けがなかった。
これまでは下支えに貢献してきた日銀だが、これがよもやの売りに回ってきたら、相場の頭はいずれは抑えられるに違いない。こう思う投資家が出てきて警戒ムードが漂うのかどうかは分からないが念頭には入れておきたい。
日銀が保有する40兆円(3月末からの株高を加味)近い株式の実体は預かり知らないところだが、日本の上場企業の40%で10位以内の主要株主となっているとされ、いわば国営の投資銀行になっているとも言える。
ソフトバンクグループ(9984)が民間最大のAI企業に特化した投資銀行で現在27兆円のアセットを保有しているようだが、日銀は日本を代表する企業群の株式を広く浅く投資するインデックス型投資会社として存在していると言える。
さて、その日銀は保有する日本企業の株式を今後どうするのだろうか?
「ねえ、黒田さん、黒田さん、持っている株をどうするの?」
思わず聞いてみたくなりそうだが、それはトップシークレット。でもこんなことが巷では言われていますね。
今、コロナ禍で困っている人たちがいっぱいいますよね。国は第3次補正予算を検討中のようですが、その規模は一説に30兆円とも言われているではないですか。その財源をどうするのか?が問われています。
償還期限100年のコロナ復興国債ですか?建設国債ですか?デジタル化国債?などなど、思いつくことは多くは国債の発行ですが、まさかまた消費税増税ですか?そんなことは国民が許しません。
であれば少しでも財源の確保に日銀としても協力しないとなりません。
だったら思い切って日銀が保有する上場ETFの一部でもこっそり売却してはどうでしょうか?上昇しているうちこそチャンスですよ。買い手は外国人でしょうか。225先物取引をやっている個人投資家以外、現在の株式相場は蚊帳の外。流動性が高い筈の市場に日銀によるこうした施策が打ち出されたら、日経平均は一気に10%以上も急落する事態となるのかも知れませんが、だからこそ日経平均はとことん上がっておく必要がある。日本国民のためにも・・。
こんな妄想を抱かせるほど、このコロナ禍の日経平均の異常なほどの上昇には安全走行に戻るまで多少ブレーキをかける必要が出てきたと思われる。
(炎)
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