長い梅雨の時期が続いている天気と同様に日本の株式市場も今一つ冴えない展開が続いています。
早いところ梅雨明けが待ち遠しいところですが、日経平均が25日移動平均線を割り込んできたと思えばTOPIXやマザーズなどは50日移動平均線まで割っている始末です。
これでは相場の上昇エネルギーが鈍ってきているのも致し方ないと捉えられますが、その一方でVIX指数の低下やジャンクボンドのハイイールド指数が上昇と、これらの指標からはリスクオンのお膳立ては整っている状況です。
要するに相場を引っ張る先導役がいればもみ合い上放れといった動きになるのかもしれませんが、どうも新高値をとってくる銘柄にはドラッグストアや食品スーパー、ホームセンターなどが目立ちます。
ドラッグストア:
カワチ薬品(2664)、ウエルシアHD(3141)、コスモス薬品(3349)
食品スーパー:
イオン(8267)、ヤオコー(8279)、バローHD(9956)、アルビス(7475)
ホームセンター:
DCM(3050)、ジョイフル本田(3191)、コーナン商事(7516)、ケーヨー(8168)、コメリ(8218)
その他:
あさひ(3333)、シマノ(7309)、ニトリ(9843)、エステー(4951)、ライオン(4912)
見るからに日用品・生活必需品を扱う企業で多くを占められています。
しかしこれでは相場のけん引役となることは難しく、景気敏感株と言えるものの中では日本電産(6594)やソフトバンクG(9984)が気を吐く状況となっているだけで寂しい限りです。
他にもNEC(6701)、オムロン(6645)などエレクトロニクス分野から直近で高値を取ってきているものもあるのですが、東京エレクトロン(8035)やソニー(6758)などに上昇頭打ち感が出てきている方が影
響が大きいと言えます。
やはり自動車や機械といった重厚長大産業が復活してこないといけないですが、それまでは上記の内需セクターのような個別株を中心にうまく立ち回っていくほかないと言えるでしょう。
目先の市場動向で注目されるのは米国のハイテク株、とりわけナスダック指数やSOX指数などの動きとバリュエーションに対する市場の見方に変化が生じるかどうかが重要となります。
実は先のVIX指数の低下が起きている市場環境下でも株価指数の上値が重いといった現象は今年の1月ごろにもみられた現象と記憶しており、この時にもその直後に“ブルトラップ”が発生して相場の急変が多くの投資家を惑わせました。
したがって、目先は個別株の勝負に追い込まれる傍ら、どうしても視野が狭くなってしまいがちになります。
とくに海外勢がサマーバカンスに突入して値動きが激しくなりやすくなる8月は、個々に資金管理を慎重に行って、「強気のワナ」には十分に注意しながら立ち回る必要があるように思います。
(あすなろ産業調査部 加藤あきら)
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