結果論かも知れないが日経平均が1万6000円台まで突っ込んできた際は投資のチャンスだと見た投資家も多いと思うが、これは何も個人や機関投資家、外国人投資家に限ったことではなく、株式の発行体である企業にも言えることである。
3月中旬に私はある上場企業を訪ねたのだが、その際に会社の担当者からは
「ここまで下げたら私も買いたいですよ・・。」
という話になった。
「だったら自己株買いされたらどうですか?」
と私が言うと
「検討はしているのですが、窓口の信託銀行がいやがっていますので実現していない」
との話。
私は株価が低迷しているこうした時こそ、会社側の株価への意識を示す自己株買いが実行されるべきだと主張したのだが、その日は即聞き入れてもらうことはなかった。
この会社は3年ほど前にIPOしたのですが、一時は公開価格を大きく上回ったこともあるのですが、その後は下落トレンドを辿り、先般公開価格の半値水準にまで下落してしまった一方で、同社が保有するキャッシュは潤沢で時価総額を大きく上回った状態となっている。市場に投げが出てどこまで下がるのか不安感がある場合はこうした企業は自己株買いで対応すべきだと考えての私からのアドバイスはその後、どういう訳か面談して1週間後ぐらいに会社から自己株買いを実施する旨でリリースとして出てきた。
その結果株価は上限買取価格の水準に徐々に接近している。
こうした事を考えると、まだまだこうした事例は今後あちこちで増えてくると考えられる。
株価が企業価値を逸脱して低迷し既存の株主の不満が高まる前に市場内で買い付けする自己株買いを行い、株価を右肩トレンドにもっていくことが昨今の特殊な状況下では求められていると言えそうだ。
先週は双日(2768)やアルコニックス(3036)、シンシア(7782)、長谷川香料(4958)、エン・ジャパン(4849)、高橋カーテンウォール(1994)などの自己株買いが発表された。
業績はどうであれ余裕資金で一定の比率で自己株買いをやると低迷してきた株価は多少でも上昇の動きになることになるが、とりわけ市場での一定期間での買い付け表明は歓迎される。また上限株数で上限金額を割った平均買い付け単価が時価に比べて30%程度の高い水準であれば好感されることになり、株価にもインパクトがもたらされる。
但し買い付け金額が通常の出来高と比べ少ないとインパクトは限られてしまう。
短期的な株式売買にとっても歓迎されることとなる自己株買いが今後も投資家にとっては目が離せない材料となる筈だ。
皆さんも一度こうした視点で自己株買いの発表を行った銘柄のチェックをされてみてはどうでしょうか。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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