新型肺炎の感染の広がりがメディアで伝えられ、その結果として先行きへの不安と混乱が生じてしまった。これにより株式相場は未曾有の値下がりを見せた。
売りが売りを呼び日経平均は短期急落。直近の高値2万4115円から20916円まで13.7%の下落を見せた。また、これまで新型肺炎問題は全く無視したかのような動きを続けてきたNYダウも直近の高値(2月22日の2万9568ドル)から2月28日の安値2万4681ドルまで短期に16.5%もの値下がりを示している。
既にこの動きは2008年のリーマンS以来の状況になっており、各投資家の資産内容は一気に悪化していると思われる。
日経平均の急落で日銀やGPIF(年金)の運用がシュリンクしていることは明確だが、影響が大きいのは個人投資家が好むマザーズ指数に代表される中小型株指数。
マザーズ指数は1月14日の高値895.6から2月28日の安値697.07まで22.2%の下落となっている。また、JASDAQ指数も1月22日の高値177.11から2月28日の安値144.67まで18.3%の下落となりその下落の勢いは3月にも引き継がれようとしている。
このような短期急落、世界的株安の連鎖は株式市場では周期的に起きるが、投資家は絶えずこの動きに備えての準備をしているとは思うが、実際には短期の急落がどこまで投資家の資産を目減りさせたのかは想像もできない。
というのも個人投資家だと信用取引を活発に行い、株価下落によって追証が発生し、その対応に追われて、自分で自分の首を絞める状況となっていると推察されるからだ。この場合はいくら企業の中身が良くても強制的に売却せざるを得ない。
結果として売りが売りを呼ぶ展開となるため、先週末は引けにかけ多くの中小型株が安値で終えていたように思われる。
NYダウもNASDAQも先週末は多少買い戻しの動きが見られたためテクニカル上は下ひげをつけ短期的なリバウンドを期待する向きも出てくる局面となるが、投資マインドは一気に高まるには新型肺炎問題に曙光が出る必要がある。
メディアは地上波テレビのワイドショーでこの話を基にした放送を続け、視聴者に恐怖感を与えがちになっているほかYOUTUBEなどでもこの話題で持ちきりの状況が見られるが、最近はこの話題を取り上げると消されるといった情報統制が敷かれている感もする。
政府が打ち出した学校の突然の休校措置に国民生活は大きく乱れ、この施策に批判が出ているという報道があったりもするが、大事なことはいかにウイルスをいかに封じ込めて感染の拡大を防止するかに尽きる。
つまり、メディアの報道姿勢も問われる必要がある。日々増え続ける感染者の数とともに致死率1から2%のデータ通りに死者の数が単純計算で発生している現状を見ながら冷静に社会生活が営める状況を早くつくるための対応を国家を挙げて行う必要がある。
それに向かって進もうとしている中で他国との比較で日本の対応の悪さなどを批評する既存のメディアこそが日本の問題点でもあることに気が付く必要がある。
目ざといと思われる短期投資家の多くはこうした状況を踏まえてリスクオフを敢行し、株価急落の原動力となり、更に売りが売りを呼んでいるが、一方で余裕のある投資家はこうした状況を冷静に見てリスクテイクをし始めた投資家も存在するだろう。
結果としてどちらが運用成果を高めることになるのかは分からないが、過去の経験則が通じない相場の世界。リスクを取るも取らないも投資家の心理が決める。
この局面ではまだ早いと思われるが、メディアが伝えるネガティブ情報よりもポジティブな情報にも耳を傾けながら本格的な春の到来を待つスタンスで臨みたい。
フェイクニュースは当然良くないが、メディアの提供するニュースにも今後はできるだけポジティブな見方をすることも必要ではないだろうか。
気は持ちよう。春の来ない冬はない。例えそれが突拍子もないような話でも投資家は小さな春の芽に期待を寄せる。
【ポジティブニュース】
1)政府がやっと感染を拡大させないための思い切った対応を取り始めた。
(遅いとかおかしいとのネガティブな批判をポジティブに変える)
小中校の休校で給食業者などに混乱を生じているという話が出てはいるが、この対応は今後2週間程度の感染防止に必要と判断された。
2)今回の問題は社会生活を大きく変える要素があり、テレワーク、在宅勤務、在宅オンライン学習などの普及に伴ってIT社会、インターネット社会の本格到来が期待される。
3)新型肺炎を短時間で検査できる様々な方法が開発された。日本企業の活躍も期待されている。
⇒積水化学工業の子会社で遺伝子検査機器や試薬の開発・販売を行うシンガポール企業ベレダス・ラボラトリーズは24日、中国で感染が拡大している新型コロナウイルスによる肺炎の感染を素早く調べられるポータブル式の検査キットを開発していると発表した。3月までの商用化を目指す。
4)日本では3つの医薬品が効果がある可能性が示されている。特に富士フィルムのアビガンが投与されようとしていることに注目が集まっている。
5)今後も新型コロナに効果のあるワクチン開発が進むと見られるが、時期は1年以上も後になる見通し。
6)3月1日18時時点の日本の感染者数は累計241名(死亡者数は5名、致死率2.1%、クルーズ船内の感染者数は705名、死亡者数は6名)に留まっている。死亡者の大半は80歳代の高齢者である。
回復者数も42名となってきた。WHO発表による2月29日現在で国外の感染者数は累計で84468名、死亡者数は2913名となり、致死率は3.4%。一方で回復者数は41972名で前日に比べ5266名となり感染者数の増加数1731名を上回っており、中国でのピークアウト感が出てきた。
7)ドラッグストアの棚からマスクやティッシュペーパー、トイレットペーパーが消えているがこれは一過性のものと言え、棚に品物が戻れば落ち着きを取り戻すと見られる。
こうした情報がメディアで踊っている中で起きた株価のクラッシュ。ピンチをチャンスと捉えることが必要だが、言うは易く行うは難し。皆様とともにこの状況を固唾を呑んで見守ることにしたい。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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