新型コロナウィルスの感染が世界各地で確認され、NYダウが連日で急落したので投資家心理も下向きになり、先週まで対岸の火事のように思っていた欧米株が今週一気に崩れ、アッと言う間に苦しいポジションに巻き込まれたのでないでしょうか。
安倍首相によるイベントの中止や延期、規模縮小を要請したことも嫌気されたようです。
本家本元の上海株式相場は政府の買い支え観測から2/3を安値に戻り歩調です。
今回はこの嵐に巻き込まれ、良い銘柄まで利食いまたはポジション調整の対象となり売り先行となり値を消した銘柄が多々あります。
今回はそんな中からの銘柄ピックアップです。
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◆日本エム・ディ・エム(7600) [東証一部]
【事業紹介】
同社の事業は、整形外科分野を中心とした医療機器の開発、製造、販売。医療器具の輸入販社で(※1参照)骨接合材料や(※2参照)人工関節などを輸入し自社製品が9割を占める。
様々な骨疾患は、高齢化やスポーツ人口の増大等による骨折や食生活の変化に伴う若年層におけるカルシウム不足等で世代を超えた広がりを見せており、整形外科分野製品の需要は着実に拡大しており、当社への社会からの期待も増大している。
同社は米国子会社Ortho Development Corporation社と共同で「日本人患者の骨格体型に合致し、日本人医師ニーズを満たす製品の提供」というコンセプトで骨接合材新製品の開発、薬事承認を取得し販売を開始した。同社オリジナルライン「MODE」として販売している。
高齢化が進むことにより骨接合材市場は伸張することが想定される中で、「日本人向け骨接合材料」の投入を機に売上を伸張させ、巨大かつ成長領域においてシェア拡大を図っている。
人工関節分野に進出するにあたって、1996年に人工股関節「ODCバイポーラシステム」の販売を日本で開始した。2001年に人工膝関節「バランスド・ニー・システム」、2011年に人工股関節「オベーション ヒップ ステム」、2012年に人工股関節「エンコンパス ヒップ ステム」、2016年に人工股関節「アルパイン ヒップ ステム」を発売しています。また、2012年に「ESCALADE アセタビュラー カップ & ライナー」、「APPLAUS フェモラルヘッド」を販売し、人工股関節慢性疾患分野へ本格参入を果たしている。
同社の提供する(※3参照)人工骨は、日本特殊陶業株式会社で製造され供給されている。高齢化の進行により、骨粗鬆症の増加に伴う骨折は増加しており、人工骨の需要は、今後さらに増すものと考えており、2005年11月より人工骨ペースト『プリマフィックス』、2009年1月より焼結体『プリマボーン』、2016年11月より『セラリボーン』の販売を行い、整形外科分野の他製品への相乗効果も期待できる。
【業績面】
人工股関節製品「OVATION HIPシステム」や大腿骨頚部骨折向けの骨接合材料「Prima Hip Screwシステム」などの商品が好調。同社では20年3月通期の業績予想は据え置いたが、市場の一部では28億5000万円の営業利益見通しに対して30億円への増額修正を予想している向きもある。
1月31日に発表した決算は20年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結経常利益は前年同期比24.3%増の19.9億円に伸びた。
また、国内では人工股関節製品や骨接合材料分野製品、(※4参照)脊椎固定器具が好調で米国では人工膝関節製品の販売が伸び、売上高が計画を上回ることが利益を押し上げた。
中長期戦略として米国をはじめオーストラリアなど海外の市場開拓を進めていることから、海外売上高の拡大による高水準の成長が期待できる。
※1 骨接合材料(市場規模約525億円/2016年)
骨接合材料とは、骨折した骨の固定を行うための体内に埋め込む製品を言い、スクリュー、プレート、髄内釘等がある。
※2 人工関節(市場規模約1,005億円/2016年)
人工関節とは、何らかの疾患によって関節の機能が損傷を受け、その機能を回復するために人工の材料を使って置き換える製品を言う。
※3 人工骨
骨折や骨腫瘍などで生じた、骨の欠損した部分に対してその隙間を埋める為の人工物。骨の無機成分であるHAp(水酸アパタイト)をはじめとして、ヒトの骨と非常に類似した成分で構成されている。経時的に骨と直接結合して、骨と同様の働きを担う。欠損部の形状に合わせ易いペースト状の製品や、長期的に安定した成績が知られている焼結体(固形状)の製品がある。
※4 脊椎固定器具(市場規模約446億円/2016年)
脊椎固定器具とは、脊髄や神経を圧迫している因子である椎間板や靭帯を取り除く手術を行うことにより、不安定となった脊髄を矯正・固定するために使用する器具を言う。
足元の株価は1/15の2623円を高値にして1700円台まで調整をしており、安値が固まってくれば注目したい銘柄である。
(あすなろ産業調査部 藤井勝行)
[藤井勝行氏 過去掲載]
相場の本質を知ろう http://okuchika.net/?eid=8755
過去の栄華を振り返り、相場の心得を知る http://okuchika.net/?eid=8829
今年の相場を振り返る http://okuchika.net/?eid=8904
上がる銘柄の必要条件を理解する http://okuchika.net/?eid=8974
[藤井勝行氏プロフィール]
1991年中央大卒業後、山一證券で個人営業を担当。その後国内外の証券会社で機関投資家向けに日本株式セールスを担当、独自のファンダメンタル・チャート分析に定評がある。経済専門新聞や週刊誌、国内外情報ベンダー等に市況コメントを掲載し株式セミナー講師としても活躍。相場の本質を伝えることをモットーとする。
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