(*この銘柄レポートは、あすなろ投資顧問の会員へ2020年1月3日に配信した内容です。)
●環境管理センター(4657)【JASDAQ】
土壌・地下水における環境調査や環境アセスメントにかかるコンサルタントなどを手がける環境総合コンサルタント企業であり、建材中のアスベスト測定やレアメタル回収に伴う分析、さらには放射能/放射線などの調査・測定を行っています。
大気中のPM2.5や排ガス、土壌中のナノ粒子(超微粒子)レベルでの有害物質の測定・分析に強みを持っており、農作物に影響を及ぼす病害虫の防除や浄化技術の開発、土壌汚染の地盤改良といった環境対策工事などにも取り組んでいます。
地球規模での環境汚染が問題視される中、足元では米ゴールドマン・サックスが環境・格差対策に7500億ドル(約80兆円)規模での投資に乗り出したほか、12月にスペイン・マドリードで開かれたCOP25(気候変動枠組み条約締約国会議)でも今年に控える「パリ協定」を前にCO2排出量対策などについて議論が交わされました。
環境規制をめぐる国際会議において米国がこの「パリ協定」から離脱する手続きを進めているため、主導する国が不在で、努力目標の話し合いで終始し交渉は継続、結局のところ環境対策の強化は各国の判断に委ねられています。
ただ、昨今の投資環境においてもSDGs(持続可能な開発目標)としてのテーマ性は非常に重要視される流れにあり、実際に日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)でもESG投資に重点が置かれたり、債券市場においても環境債(グリーンボンド)の発行が急増して2019年は2500億ドル(約27兆円)を超えて過去最高にのぼっています。まさに国際的な環境意識の高まりがマネーの動きに新たな潮流を生んでいるとみられます。
したがって、同社のような環境対策技術に長けた企業の取り組みがこれまで以上に求められるようになってきたほか、政治的にも今回のCOP25における小泉進次郎環境相の演説空しく、日本が温暖化対策に消極的な国としてレッテルを貼られたことを挽回する上でも、株式市場での注目度は否が応にも高まってくることでしょう。
同社の業績面は10/25に第1Q決算発表を行っており、売上高は前期比43.4%増、利益面は赤字額が大幅に減り赤字縮小で着地しました。今期の計画値に対しては例年以上に好調な出足となっており、これには第2Q計上予定だった案件の前倒し影響等もある模様です。
他方で、今後における業績期待を見る上で重要となる受注高、これが民間向けに大きく伸びており、とくに放射能関連での伸びが著しいと言えます。売上構成に占める割合は他と比べて小さいながらも将来的な業績寄与が見込める分野だけに引き続き注目しておきたいポイントです。
また、従来より同社のコア事業である環境調査業務などは年度末の3月までを契約期間とするものが多く、年間売上高のおよそ3分の1が3月に計上されるといった季節性があるため、業績は下期偏重となる傾向があります。
株価動向は昨年4月中旬の中国における合弁会社設立の材料とともに急騰し、そのまま5/13には年初来高値1327円をつけて急伸しました。その後は需給を整理しながら中段保ち合いを続けているとみられ、動意薄の展開と言えます。
テクニカル面からのアプローチで一目均衡表が三役好転してくれば、再び直近の戻り高値を更新して強含んでくることも考えられるでしょう。とくに出来高が膨らんでいる4月~5月にかけて、さらに6月中旬頃の信用買い残のシコリ解消なども一巡してくる頃合いとみられ、上記で解説の今年のイベントなどもふまえておきますとまさに年始の早い段階のうちに仕込んでおきたい銘柄と言えるでしょう。
≪バリュエーション≫
・株価 691円(2020/1/21)
・単元株数 100株
・PER:29.4倍
・PBR:1.99倍
(あすなろ産業調査部)
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