■相川伸夫ピックアップ銘柄フォロー
※11月1日(金)執筆時点
・山王(3441)2016年12月19日配信
株価560円⇒708円(+26%)
・テノックス(1905)17年2月20日配信
株価815円⇒847円(+4%)
・特殊電極(3437)17年6月12日配信
株価2922円⇒4930円(+69%)
・東北特殊鋼(5484)17年9月4日配信
株価1831円⇒1417円(-23%)
・新報国製鉄(5542)17年10月2日配信
株価1577円⇒1194円(-24%)
・パウダーテック(5695)18年2月19日配信
株価4845円⇒3010円(-38%)
・東京エレクトロンデバイス(2760)18年4月6日配信
株価1970円⇒2071円(+5%)
・アバント(3836)18年6月25日配信
株価945円⇒2402円(+154%)
・神戸天然物化学(6568)18年8月13日配信
株価2718円⇒1490円(-45%)
・丸順(3422)18年9月18日配信
株価826円⇒627円(-24%)
・クロスフォー(7810)18年10月9日配信
株価421円⇒347円(-18%)
※ピックアップ銘柄は買い推奨ではありません。
私の目で面白い、アツイ要素がある!という理由で記事を執筆した企業の経過観察です。
執筆から3年程度は継続ウォッチしていきたいと考えていますので、銘柄は今後さらに増える見込みです。
2Qの決算フォローはまた次回にして、本日は1年ぶりのピックアップ銘柄についてアツく書かせて頂きます!!
■ピックアップ銘柄 カンロ(2216)
私が在籍しているリンクスリサーチ『みんなの運用会議』にて11/1(金)にレポートをアップしたので、まずはこちらをご覧ください
●2216 カンロ 創業100年超えの老舗がグミで成長へのアクセルを踏んだ!! レポートby相川伸夫
https://double-growth.com/2216-kanro/
■上記リンクのレポート概要説明
1.飴とグミの製造・販売をしている創業107年の老舗企業である
2.売上内訳は、飴:グミは約7:3で、今後はグミが伸びる
3.2016年に三須社長が就任してからギラ付き始めた(野心的で良い)
4.グミが需要に対して供給不足で設備投資して19年2月~稼働を始めた
5.2021年12月期が中経最終年度で、19年12月期の会社通期予想EPS90円が倍の180円程度になる見込み
…というのが私がみんなの運用会議で書いた内容のザックリ説明です!
詳細はリンクから読んで頂くとして、こちらの億の近道ではもう少し堀り下げた部分の話をしていきますね!
※この先は皆さん元のURLの先の記事を読んで頂いた物として話をしますのでよろしくです!(もし上記URLから元記事に行けない場合は『カンロ 相川伸夫』等で検索してください)
■定量分析1(PER)
―過去PERの推移―
PERは非常に不安定な指標なので扱いにくいですが、参考には出来ないわけでは無い指標です。
過去10年のカンロのPERでこの銘柄の『適温域』を見てみると、PERが最も低くなったのは2009年1月の9.9でこの時の純利益は7.6億円(今期会社予想は6.4億円)でした。全体市場が冷えに冷え込んだ2009年で業績堅調でPER10は高く評価されていたと判断できると思います。
そのころは日経平均が10000円を切り、PER2や3であったり、配当利回り6%7%という企業もゴロゴロしていたと考えられます。
そういう点で見ても食料品セクターの銘柄なのでディフェンシブ銘柄(景気変動の影響を受けにくい)と解釈できます。
また、カルピスブランドの販売契約終了に伴うドタバタした2013年~2015年は純利益が赤字であったり、わずかな黒字なのでPERが機能していません。
よって、それ以外の期間でPERを見てみると最高で44、最低で10というレンジにいます。
PERの平均(13年~15年除く)は19.2なので、乱暴な計算ではありますが大体ここら辺が適温という解釈で良いでしょう。
■定量分析2(PBR)
―過去PBRの推移―
PBRでは2012年の5月がボトムで0.68、最も高かったのは2018年9月で1.96でした
18年の9月はWBSでグミの日の特集で生産能力が2倍になった、これから業績が良くなるという報道で株価が短期で倍になったタイミングであり、2009年~現在までのPBRの平均は0.95です。
業績が赤字になったタイミングの2014年でPBRは0.75プラスマイナス0.1程度を推移していました。
■定量分析3(配当利回り)
―過去配当利回りの推移―
配当利回りベースで見てみるとこれも中々面白いものです!
2009年~現在まで株式の消却や併合、分割をしているので動きを計算するのが手間ではあるのですが、普通株配当金の総額ベースは2.1億円~2.9億円の範囲で収れんしています。
その時最も高かった配当利回りは2013年の3%(配当金30円で株価1000円程度)でした。
従って、過去10年の配当利回りの範囲は3%~1%であり、平均では2.
4%程度になります。
■定量分析4(セクター)
―食料品セクター全体との比較―
現在の食料品セクターの今期予想PERは21.1、実績PBRは1.75、配当利回りは2.5%です
これは上場企業126社の利益・資産・配当・時価総額を足し合わせて割った単純合計平均の値になっています。
カンロのビジネスはごく一般的な食料品製造販売のビジネスモデルであり、これらの1~4の定量分析と照らし合わせると、現在の株価は大体フェアバリューでは無かろうか?という水準だと認識しています。
■生産効率向上について
私の数回にわたる取材で分かったことは、増産設備投資をする前の(2018年まで)は非常に段取りによる生産ロスが大きかったと推測しています。
グミのラインが1つに対して、フレーバー(グレープやレモンなどの味のこと)が数種類存在しています。
工場見学は出来ていないのであくまで取材時の会話や状況からの推測になってはしまいますが、恐らく通常の食品加工と同様に味を変える時には味が混ざらないように、また衛生管理の観点から洗浄工程があると思います。
付け替えだけで洗浄はラインを止めずにやれる部分や、なるべくライン停止時間を減らす工程もあるかと思いますが、それでも段取り時間ロスは少なくないことは前にも確認できました。
明確な段取り時間については開示不可とのことで想像するだけしかありませんが、一回当たり1~3H程度ではないか?と考えています。
グミラインは1ラインしかなかったので、供給量とタイミングの関係で1直で1回は段取りしていると私は仮定します。
今回のグミライン増設によってライン数が2つになったと確認できています。
当然、これによりフレーバーをある程度分担していると思いますので段取り回数が最大で半分になったと考えて良いと思います。
仮に1直に1回の段取りで1回2Hだとすると…
・年間稼働時間(残業1Hで試算)↓
⇒年間240日×2直×9H=4320H
・段取り時間(増産前)
⇒年間240日×2直×1回×2H=960H
・実稼働時間(増産前)=4320H-960H=3360H
↓増産投資で段取り回数が20%低減(最大半分)と仮定
・年間240日×2直×0.8回×2H=768H
・実稼働時間(増産後)=4320H-768H=3552H
A、生産性向上効果=3552H÷3360H=105.7%
⇒説明会の時の設備投資により『数%生産性が向上した』となります。
数字がこれで合っているかは分かりませんが、ニュアンスに間違いは無いと思われます。
つまり、今までと同じ就業時間で生産可能額=供給可能量=売上高を+5.7%程度可能になるという意味合いになります。
当然原価低減効果とも表現できます。
後は売り場を拡大していき、消費者が商品を購入すれば売上になります!
※設備投資をしたからと言って需要が倍になることはありません。
通常の経営者は設備投資をしてから2年~3年でフル生産を計画するのがセオリーであると認識しています。
後はその計画・算段通りに進むかが試される局面になります。
■まとめ
カンロが何故アツイと思ったのかはみんなの運用会議の記事を読んで頂ければ恐らく伝わると思います。
三須社長の狙い通りの業績拡大が描けるのであるならば、これは中々にアツイ展開になってくるのではないかと私は期待しています。
カンロは2014年こそ赤字に転落してしまいましたが、現在取材したところでは当時のような他社とのコラボ契約で売上の大きな商品(契約打ち切りでの大幅減収リスク)は存在していないと認識をしています。
『糖質制限』や『糖質オフ』というブームの流れはかれこれ10年近く言われ続けていますが、とはいえ現在その環境下にも関わらずグミの国内市場規模は毎年拡大し、カンロの売上も堅調に増収をしています。
この事からもそう言った『糖制限』の動きや関心はカンロの業績に対してリスクではあるものの、そうした環境でも増収出来る商品を開発出来ているから現在増収出来ている。
このように私は分析しました。
長期的には海外進出もして売上1500億円を目指すという事なので、長期目線で応援出来るのではないか?とも私は考えています。
飴もグミもカンロのは美味しいんですよ(笑)
この美味しい飴とグミを食べながら気長にカンロの企業成長を見守りたいですね!
くれぐれも投資判断は必ずご自身で行い、自己責任でよろしくお願いします。
それではまた。
『全力全開全力前進!!!』
(相川伸夫)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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