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孫子と三賢人のビジネス その8

2019/05/10 20:46 投稿

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産業新潮 
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
5月号連載記事


■その8 一撃必殺

●熟慮して行ったたった一つの決断が成功しないのなら、それより集中力が劣った多数の決断がうまくいくはずが無い



 ウォーレン・バフェットは小見出しのような警句を発しています。
 しかし、世の中の大多数の人々の考えは違うようです。以前ある投資家の方とこんな会話をしたことがあります。

 「大原さん、私はものすごくたくさんの利益を投資で稼ぎたいんです。そこで、できる限り売買の回数を増やしたいんですが、やはりコンピュータにやらせた方がいいですか?」

「???投資は必ずしも儲かるとは限りませんから、たくさん売買すればよりたくさんの損をすることになるかもしれませんよ・・・」

「大原さん、1万円での取引でたった百円のもうけでも、10万回やれば1000万円の儲けになるわけです。専門家なのにこんな簡単な計算もできないのですか?」

「・・・・・」

 賢明な読者なら、この話が全くかみ合っていないのが良くお分かりになるかと思います。ほとんどの投資家の方は、「投資をする前には儲かることしか考えず、投資した後は損をしたことばかりを後悔する」ので、このような発言が出てくるのでしょう。

 投資家がたくさん売買して儲かるのは、(証券)取引所と証券会社などの金融機関です。それに対して、投資家は取引のたびに手数料を支払うわけですから、その都度手数料という損が確実に積み上がります。
 また、(自分から行動を起こす場合)買い手の場合は売値、売り手の場合は買値でしか取引できませんから、売り根と買値の差額の「損」も無視できない金額になっていきます。

 バフェットが「一度企業(株式)に投資したら、できる限り永遠に保有」するのは、企業の将来に自信があるだけではなく、頻繁な売買による無駄な出費を避けるというのも重要な理由の一つです。

 少なくとも、M&Aの世界で、やたらに買収を繰り返す企業と、投資先を厳選し一撃必殺を目指すバフェットのどちらが成功しているのかは、説明するまでもありません。


●一撃必殺とベンチャー・企業再生

 孫子は、「戦いが巧みな人は、【勢い】を岩石をも貫く水の流れまで高め、ライオンが獲物をとらえるときのように、一瞬の【一撃】を強烈なものにする」と述べています。まさに、バフェット流ですが、これには一つの大きな前提があります。これはあくまで戦いに勝つための「戦術」ということです。

 例えば、すでに軍隊が存在(既存軍隊)し、その軍隊を最大限に活用して勝利を重ねていくための法であるということです。ですから、これから軍隊をゼロから整備する場合(ベンチャー軍隊)は話が別です。

 また、バフェットも「成功したビジネスに投資して、より一層成功させる」タイプの投資家・経営者です。したがって、その投資先のほとんどは、順調な経営を行っている会社です。時々、世間一般から「問題を抱えている」とみなされる企業に投資をすることがあります。


続きは「産業新潮」
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
5月号をご参照ください。


(大原 浩)


★2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」
(JKK)を設立しました。HPは<https://j-kk.org/>です。
★夕刊フジにて「バフェットの次を行く投資術」が連載されています。
(毎週木曜日連載)


【大原浩の書籍】

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★バフェット流で読み解くGINZAX30社(2018年度版、上巻、下巻)
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★バフェット流で読み解くGINZAX30社(2017年度版、上巻、下巻)
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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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