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為替市場動向~花にキプロスの嵐?~

2013/03/28 14:00 投稿

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花に嵐の喩あり、と言われますが、金融危機をめぐるキプロス救済問題は市場には春の嵐となりました。欧州問題がまたリスク警戒の材料になり、ユーロ売り、円買い、株式も売られる展開になりました。

 キプロス支援の問題は今に始まったわけではなく、億の近道、今年の1月30日付の拙コラムでもこんなコメントをしました。

 以下、引用。
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 ユーロの気になる材料を挙げるなら、キプロスの支援問題です。ドイツと欧州中銀で意見の対立が話題になっており、大きく取り上げられてはいませんが、小さな問題が後の火種になることもあるので頭の片隅にちょこっと置いておきたいと思います。
********
以上、引用。

 自分で書いておいて、恥ずかしながら、頭のかなり隅に置いたためか、警戒感が薄れており正直不意をつかれました。

 ここでキプロス問題について整理したいと思います。
 このところ、欧州の火種として問題視されているキプロス問題は金融危機です。キプロスの銀行部門資産はGDPの7倍強もあります。言語はギリシャ語で、 ギリシャとの経済関係も深く、ギリシャ国債をかなり保有していた等からギリシャ危機が今回のキプロス金融システム危機、その処理に伴い国の財政危機につな がったと言われます。

 銀行破たん処理に関して、ユーログループの支援策が預金者への負担(預金課税)を求めたことから他の債務国、イタリアやスペインへの波及が懸念されまし た。さらにキプロス議会がその銀行課税に反発。支援計画を否決するなど事態は混迷度を深めました。欧州中央銀行は支援策の受け入れなど条件付きで資金供給 を行い、キプロス政府も銀行処理案などの対策を提示するなど事態は少しずつ動いてはいます。

 ギリシャ危機処理では、ギリシャ国債保有者に債権者負担が強いられました。今回、市場が特に神経質になったのは一定以上の預金がカットされるという預金 者負担が今後の欧州の金融危機解決パターンとなることによる欧州の銀行からの資金逃避です。危機時に資金を誰が負担していくのか?欧州連合の今後の課題と されています。因みに国民の年金基金から負担していくスキーム(アイルランドで導入)もあるようです。これは知らない間に年金基金から払われていくので恐 いですね。

 キプロス問題は不透明なイタリア政治問題やスペインの問題とともに今後のユーロ相場の上値を押さえる要因となると思われます。ユーロ対米ドルは年初 1.30~1.35の水準を主なレンジと想定していましたが、直近1.30が重い上値になっています。キプロスは欧州の支援と預金者負担、国の政策だけで は乗り切れず、今後も様々なニュースが出て市場は影響を受けるものと思われます。

 一方、キプロスの金融問題は他の国とは性格が異なることは覚えておいた方が良いと思います。キプロスの銀行はマネーロンダリング、タックスヘイブンなど 様々な筋の怪しい資金のたまり場とも言われ、ロシアの資金も相当動いているとされています。他の国に比べて、このような特殊事情があるので、欧州グルー プ、特にドイツはあえて預金者負担を強いたとも言われます。トルコ、ギリシャ、ロシアとの関係が深い上、イギリス連邦の一つで英国人観光客も多いようで す。イギリス的「軒下貸し商売」をするとも言われます。また、不凍港確保のロシアにとってキプロスは昔から地理的に魅力的な場所と言われてきました。さら に最近では、近海に天然資源があるとの情報も。今回のロシアへの支援要請は断られましたが、今後、裏取引があるかもしれません。

 キプロスは東地中海の小さな島ですが、このように長い歴史の中で多くの国にとって色々な意味で重要な拠点となっていますので、見捨てられるということはなさそうですし、ユーロ離脱につながる可能性は低いと思っています。

 さて、話題を変えて、ドル円相場です。
 ドル円は一時高値96円台をつけたものの、キプロス問題や相場スピード調整から一時93円後半まで円高に戻しました。一方、日銀新総裁、黒田氏を中心と した新体制での政策決定会合を来週に控えて、更なる量的&質的金融緩和期待により日本国債相場では利回りが下がり続けています。黒田新総裁の先日のコメン トにも利回りカーブ全体で金利を下げていく、特に長期国債の買入を増やすという話がありました。直近の10年物国債利回りは2週間前の0.65%から 0.525%に低下しました。

 相場は期待が先行しているうちが花ではありますが、日米金利差の拡大傾向は当分キープされる可能性が高いと思います。米国債10年物は一時2%台をつけ たものの、欧州問題による資本逃避から1.90台に戻しました。ただ、経済指標好転などから利回り上昇傾向は変わらないものと思います。大きな抵抗水準は 昨年3月の2.4%水準です。

 これまでのドル円相場の展開が速かっただけに、相応の調整が必要だと思いますが、ドル円の上昇基調には変化はないと思っています。

 最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。

*本号の情報は基本3月26日のニューヨーク市場の終値レベルをベースにしています。

式町 みどり拝

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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