今週末から3月への月替わり。
今月に入り、株式市場が戻り相場となる中、債券市場、為替市場はこう着状態が続いています。
英国のEU離脱BREXITの期日が実質的に1か月を切る中、未だ行方は不確か。新しいニュースが出る度にポンドが乱高下。2月の主要通貨のパフォーマンスでは、対米ドル上昇のトップが英ポンド。特に昨日、「メイ首相が、離脱延期案を検討」の報で上昇したのが影響しました。
一方で、多くの主要通貨は、2月月初来昨日まで、対米ドルで下落しました。
さて、今週は、注目イベントが続く週でもあります。
26日27日にはFRBパウエル議長の上下院での議会証言。28日には米国の18年第4四半期のGDP数値発表があります。また、政治的には米北首脳会談、進展が伝えられる米中貿易協議の行方も、米中首脳会談開催も含めて楽観的な見方を織り込みつつあるだけに、逆に、今後の動きには気をつけたいところです。
今週の重要予定の一つ、パウエルFRB議長の米上院での議会証言が昨夜行われました。
1月のFOMC議事録の内容同様に、利上げの当面見送り、様子見を基本姿勢と伝わり、為替市場は、総じて、ややドル安反応でした。ちょっとだけ。
それにしても、動かないこと山の如く。と思わせるのが、このところのドル円相場です。2月初めは109円台後半で推移、2月12日あたりから直近まで110円台をキープ。時々111円をタッチするも、110円台へ戻る。
先週、米国の政府機関債閉鎖の懸念の後退や米中通商交渉の進展など様々な
ニュースで株式相場は動いた一方で、ドル円相場のレンジは56銭に留まりました。動じない不気味な安定感です。
例年、ドル円相場は3月期末を前にして、本邦企業の海外拠点からの収益送金などで円が変われやすい傾向にあるのですが、実際には未だ方向感が出にくい展開が続きそうです。
為替相場に影響を与える主な要因の一つ、米国の金融政策も暫く動きにくい、米国経済の指標も強弱ミックスし、特に今年に入ってからは1月の超極寒の寒波や政府機関閉鎖の影響も見極めたいという様子見姿勢。
一方、日本サイドでは、金融当局の更なる緩和の可能性発言も含めて異例の金融政策の出口見えず状態です。大きな方向性が見えてくるには、暫く時間がかかるように思えます。
今年は、様々なリスクが言われる中で、3月に離脱期日が迫った英国のEU離脱「BREXIT」、それもNo Deal「合意なき離脱」が現実化した場合の様々な(想定外の)影響のリスクが英やEUのみならず、世界全体への悪影響として懸念されます。
合意なき離脱が現実になった場合、これまでの経験則から、為替相場の反応で想定できるのは、リスクオフの円高、ドル高、対して、ポンド、ユーロ、その他欧州通貨売りかと。
特にポンドは、(昨日引け値1.3250)、2016年国民投票後の安値1.1841を下値メドに意識することになると思われます。
昨日は、メイ首相の離脱延期案を検討や、野党労働党の再度の国民投票を支持する発言、また英中央銀行総裁からは、BREXIT関連でのダメージに対する中銀からのサポートやインフレ率が政策目標を上回るだろう発言があり、これまでのゴタゴタでポンドのショートが溜まっていたマーケットにポンド買い戻しの動きが出ました。
ただ、アイルランド国境問題という英国とアイルランドの歴史的経緯も含めた複雑な問題もあり、簡単に決まらない英国。譲歩しないEU。3月半ばの首脳会談の大詰めまでの双方の作業がどうなるのか。まだまだ楽観できないところです。
離脱延期になった場合でも、期限は最大数カ月。執行猶予みたいなものです。そして、その間には、EU議会選挙(5月後半)、選挙後初の欧州議会の招集が7月初旬。延期中に英国が選挙に不参加なら、欧州議会招集よりも先に離脱延期日を設定するのは現実的ではないとすると、猶予期間はそれほどないとも言われ、その期間に議論が進展するのか不確かです。
合意ある離脱にこぎつけた場合、一時的にはポンドは買われるものと想定されますが、このところ見えて来ていない英国の経済政策(ここ数年のポンド安頼りだけ?)を考慮すると中長期的には楽観的にはなれません。
また、離脱撤回となっても、離脱問題で費やしたコスト(海外企業の英国ばなれ等)や信用を取り戻すための多くの時間と努力が必要になり、単に元へ戻るものではないかと思います。ポンドがらみの賭けはリスキー。控えるのが得策かと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※2月27日東京時間午前11時執筆
本号の情報は2月26日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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