[石川臨太郎より読者の皆様へご挨拶]
体調が悪くなったので設備のある大病院でCTの検査などを受け、末期がんで余命は2か月から、頑張って1年という告知を受けました。
いままで私は長い生きしすぎてお金が足りなくなるリスク(⇔可能性)ばかりを意識して生きてきましたが、貯めてきてこれから使おうと考えてきたお金を、まったく使えないで死んでしまうdanger(=危険な出来事)に正面衝突してしまったことになります。
貯めたお金は子供がいない私はすべて妻に残して、妻と2年前に保護した、今ではすっかり家猫になり、私や妻をいやしてくれるゴモク(=猫の名前:黄色と黒と白のメスの三毛猫)が一人と一匹で一生を生活費に不安なく過ごしてもらえたら十分満足だと感じています。
[編集部より]
この特別コラムは、石川臨太郎氏が治療の合間に書き下ろしたものです。
現在闘病中のため、定期的に掲載できるかどうか分かりませんが、気力体力の続く限り書けるときに書きたいとの意思ですので、寄稿があったら掲載するというペースで続けたいと思います。
ぜひご愛読下さい。
なお、コラムの感想や石川臨太郎氏への励ましのメッセージなどがあれば、投稿フォームを開設致しましたので、ぜひご利用下さい。
フォームはこちら ⇒ https://goo.gl/DAwAbB
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いままで、彼にはあまり投資のことを話したことはありませんでした。
しかし末期がんの宣告を受けてから、忙しい仕事の合間に会いに来てくれた甥のために、資産形成の方法などを伝えたいと思うように、なりました。
アレルギー体質という薬に弱い体質で、抗がん剤の点滴でも1回目も2回目も副作用がでて、退院が予定よりおくれているのですが、高熱が出ないときは、頭はクリアーで、パソコンも使えるので、ブログなどには甥のために、いま20代後半と、30代前半の二人の甥のために書いている内容を、『億の近道』のメルマガの購読者の皆さんにも参考にしていただこうと考えて、この文書を作成しました。
いま米国と中国の関税戦争や、先端技術の競争で、中国のハイテク企業の副社長が拘束されたり、米国の長期金利と短期金利がフラット化した恐怖から、米国株もフリー落下を始めた感じで、日本企業、特に世界的に事業を展開する流動性の高い株は、どれほど業績が良くても株価が下げ続ける状況です。
日本の株式市場は米国株の下落と共に、さらに下げる様相を示しています。
夜明けの前が一番暗い。そんなことも頭をよぎります。
しかし夜が明けても大嵐がきていると株価は戻らない可能性も十分に考えられます。
増益を続けている昭和電工や東海カーボンの株価も、SUMCO、三菱商事、伊藤忠商事の株価も私が思っていた以上に安く売り込まれています。
その他にも狙っていた高技術株の株価が驚くほど下げてきました。
前年同期比で増収増益なら、過去数年なら株価が一度は上がり、利食いである程度下げても、すぐにリバウンドが起こることが多かったのです。
ところが今は、いったん上げてもその後は上昇前の株価を下に突き抜けて下げてしまうことが多くなりました。場合によっては上げることもなく、下げてしまうことも起こります。
私は株価は企業の本当の価値(=本質的な価値=事業価値+資産価値)の影だと常に考えてきました。私をNPO法人イノベーターズ・フォーラムに紹介してくださった恩人である山本潤氏は、最近意見交換した時に株価は幻影にすぎないと表現しました。
株式市場で毎日変動する株価とは何か。
この大事なことを多くの投資家は考えずに投資しています。多くの投資家は株価とは企業の価値そのものだと勘違いしているようにも見えます。株価だけを追いかけて下げたと嘆き、上げたと喜ぶ。
投資家としてではなく、殆どの人は丁半バクチ打ち、ギャンブラーになってしまったような印象を受けます。
私も人のことは笑えません。3月以降は丁半バクチを打ち続けてきましたから批判を出来る立場ではありません。
しかし、少し頭を冷やして考えたら、企業の本当の価値が毎分・毎分変ることなどありえないです。半年で2倍になることもあれば、二分の一になってしまうこともある株価です。
ひどい場合は一年で100分の一になってしまった企業の株価さえ過去にはありました。倒産した企業ではありません。同じような業績を上げているのに人気で株価は暴騰したり、暴落することも良く起こります。
その時々の市場の環境や、経済、政治、地震など自然災害でも、テロや戦争などの人災でも、株価は常に動いていきます。トヨタのような超優良企業の株でも半年で20%や30%上下に変動することは、当たり前のように起こります。
でも株価が企業の『本質的は価値である』とは、ほとんどの投資家は考えていないと思います。
企業の本質的価値は、実は誰にも分かりません。
しかし誰も知らない企業の本質的価値を、いろいろな分析手法で分析した上で、自分にとっての、その企業の本質的価値は一株いくらくらいという皮算用をして、その自分の計算した本質的価値より実際に市場で取引されている株価が安いと考えて、投資をする人々がバリュー株への投資家と言われている人々です。
株価が企業の価値そのものだというのは大きな勘違いです。
誰かが本気である企業を買収しようとしているとしましょう。
当然、注目されますから株価は吹き上がってしまうと思います。実際にそんな企業が良くあります。そして買収に失敗したとなったら株価は下がってしまいます。
さて、それでは株価というのは何なのでしょうか。
私は株価というのは企業の本質的価値の影だと考えています。
それではその影(=株価)を作る光というのは何なのでしょうか。
それは需給だと思っています。
そう考えると株価が毎日変動するのも短期間に何倍にもなったり、何分の1になったりするのもよく分かります。
ファンダメンタルズ分析は企業の本質的価値を分析しようとするものです。
株価は企業の本質的価値の影だという考え方からいえば、その影の元である企業の本質的価値が大きくなれば同じ光(=需給)でも影が大きくなりますから、分析する価値があります。
しかし最近の日本株のようにファンダメンタルズ分析に基づく投資が報われない時代もあります。
ファンダメンタルズ分析は光(=需給)の状況を加味していない(⇔投資環境などや需給動向の判断は行っていない)ので、企業の本質的な価値が高くても株価がちっとも上がらないということもよくおこります。
現在の日本株は、トランプ大統領の独断と偏見にみちた政策で、投資環境が著しく悪化しているので、需給(=光)が急速に弱くなり、影(=株価)がみるみる小さくなってしまう状況だと考えています。
会社四季報を見て、その企業の一株利益と株価がまったく連動していないことはよくあります。一株利益が少なかったときより大きくなったときのほうが株価が安いこともよく起こります。
「業績」と「株価」は必ずしも一致しない理由は光の強さ(=需給)にあると考えています。
企業の本質的価値は残念ながら誰にも分かりません。
企業は利益を上げるために、日々努力を続けていますし、進化しています。
設備投資や研究開発を進めています。
しかし、予想したような利益が上がることもあれば、損失を受けて、事業撤退を余儀なくされることもあるのです。
外から見ているだけでは、企業が何を目指しているか正確には絶対に分からないです。外部から分かったらライバル企業の餌食にもなりかねません。
また業績などに関しては、実際に企業を経営している経営者だとしても1年間の利益がいくらになるかは、正確に予想することは出来ないでしょう。
現実には株価ばかりではなく、企業の本質的価値も変動しています。
でも2割も3割も、株価のように短期に急激に変ることは少ないです。
企業が所有している現金や預金、上場されている企業の株や国債などの投資有価証券の金額。山林などではなく、東京や大阪など大都会の中心部にある土地などの価格は、公開されている資料を丹念に調べれば、計算することが可能です。
細かく調べると、それなりに手間がかかることは事実です。
しかし、経営者にも、誰にも予測できない企業の将来の業績を予測するよりは、楽だし、確実性が高いです。
投資環境が悪化した時は、企業のファンメンタルズ分析を重視しつつ、需給もしっかりと観察して、より安く投資できるタイミングを見極めるように、待つ努力をすることも大事です。我慢が本当に大事になります。
例えば、東京の高層マンションに住んでいて、自分の住むマンションから、多くの巨大ビルや東京駅や東京スカイツリー、富士山などが昼間、太陽の光があれば見えていて、実際に存在することが分かっているとします。
しかし夜中に巨大台風が襲ってきて、光が無いと、実際にある自分のマンションの窓から見える巨大ビル群や建築物、そして富士山も、まったく見えなくなります。
企業の本当の価値もその企業が持っている資産や、稼ぎ続けて利益を上げ続けているので、正確には評価できませんが、価値があるということは分かっています。
しかし株価は企業の持つ本質的な価値に需給が作り出す光(=供給より需要が強いときに光が生まれると考えたらよいと思います。需要が強ければ強いほど光が強くなります)は投資環境の更なる悪化予想して恐れて、需要は生まれていないので影ができないで小さくなって行きます。
夜中の台風での暴風雨の中で、自分のマンションの窓からは何も見えなくても、少なくとも自分が住んでおり、体でさわり存在を確認できる自分のマンションが存在することが確認できれば、富士山も巨大ビル群も目には見えなくとも、実際には存在していると信じることが出来るでしょう。
少なくとも、決算短信や有価証券報告書をしっかりと読んで、その企業の事業の状況や資産の存在を信じることで、株価が下がる(=影が小さくなる)ことに怯えて、投げ売りするような愚かなことをやらないことが、株で資産を増やしていくためには大事なことだと考えています。
リーマンショックの後でも、東日本大震災の悲惨な大被害の後も、日本株は大きくリバウンドして上げてきた事実は、『明けない夜は無い』ということ同じように、株式市場でいうなら『下げ続ける相場は無い』ということの疎明資料にはなると思います。
米国株が急落した2つの要因は、米国の2年国債と3年国債の金利において2年国債の金利のほうが高くなったこと。いわゆるイールドカーブのフラット化が起きたことで、米異国のリセッションが始まると投資家が恐怖したこと。
また中国の世界第2位の通信機器メーカーの副会長が米国の要請でカナダで拘束されたこと。
トランプ大統領と習近平国家主席の米中完全戦争の会談が行われていた日に、カナダでは米中先端技術の中国側の主力企業のナンバー2が逮捕されていた。
この二つのことで米国株は暴落を続けています。
しかしイールドカーブの平坦化については、堀古英司さんがブログで素晴らしい解説をされています。堀古氏のブログは本当に参考になります。
https://plaza.rakuten.co.jp/iswallstreet/diary/201809080000/
詳しくは堀古氏の上記のブログで読んでいただくとして、結論だけ引用させていただきます。
『要するに重要なのは、2.8%近辺の2年債利回りでも3年債利回りでもなく、現在銀行が調達できている短期の金利水準は0.8%近辺なのです。そして、3%割れで推移している10年債利回りではなく、貸し出しできている金利の水準は3.8%近辺だということです。
この先、数回の利上げが織り込まれて高い水準となっている2年債や3年債の利回りを見るのもミスリードなら、銀行に貸出先がなくなって10年物国債でしか運用できなくなっている状況を想定するのもミスリードだということなのです。そして過去、このような国債利回りの逆転からしばらくして、リセッションが訪れたのは「たまたま」その後も金利の動きが行き過ぎて、銀行の調達、貸出金利に影響を及ぼす水準にまで到達したから、と考えるのが自然だと思います。
株式相場が下落すると、人々は下落している理由を必死に探し始めます。「自分が知らない悪材料を先に知っている投資家が売ってるのではないか」と不安になるからです。そしてその不安はメディアに対する情報提供の需要増加という形で表れます。視聴者も購読者もクリックも増えるでしょう。メディア業界が下落局面を優先的に取り上げるのはこのためです。そういう点では「11年ぶりの3年物と5年物国債の利回り逆転」はそのように不安になった人々の需要を満たすための格好の材料だったのでしょう。
しかしこのような偽のシグナルにだまされていては、投資家として長期的にリターンを上げることはできません。むしろ注目すべきは今回の銀行株下落によって提供されているバーゲンセールの機会だと思います。JPモルガンの時価総額の6%近くに及ぶ自社株買いと3%近い配当、バンク・オブ・アメリカの8%近くの自社株買いと2.2%の配当などなど。長期的投資の観点から見れば、これらこそ本物のシグナルだと考えています。』
(以上で引用を終わります。)
甥には、いまから投資を始めるならゴールドの毎月1万円の定額購入をするように勧めました。
いまゴールドはドルを守りたい勢力により不当に安く押さえつけられていると、私は考えています。それならば安く買い始めるチャンスです。
2018年8月にゴールドは4207円まで急落しました。
田中貴金属工業の金の月次価格の情報です。
https://gold.tanaka.co.jp/commodity/souba/m-gold.php
当時のゴールドの市場では次のような噂が取りざたされていました。
2018年にロシアが米国債を売却してゴールドを買いました。
その直後にゴールドは叩き売られて下げました。国家間の争いはゴールドの価格にも影響を与えます。
ゴールドはその後すぐに戻しましたが、ゴールドの急落や急反発がいつまた起きるか、いまは分からないので毎月1万円のゴールドの定期購入をするという、金額を低く設定したドルコスト平均法の買いが良いと考えています。
やはり産金会社である住友金属鉱山の定額購入が良いと思います。
ポイントもつきます。
https://www.omamoriya.com/cat6/post_24.html
有名どころであれば良いので、三菱マテリアルでも田中貴金属でも良いと思います。
経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)
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