産業新潮
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11月号連載記事
■その2 戦争は短期決戦を良しとする
●「戦わずして勝つ」のが最善
実は「戦争は短期決戦を良しとする」という言葉は、孫子のあまりにも有名な言葉「戦わずして勝つ」と対を為しています。とにかく戦争というものは犠牲が多いものです。ビジネスでも「◎◎戦争」と企業間の争いを表現することがありますが、そこまで激しい戦いですと、それぞれの企業の消耗度合いもかなりのものになります。ですから、軍事においてもビジネスにおいても、「戦争は回避すべき必要悪」ですから、起こさないのが最も賢い戦略です。
しかし、軍事でもビジネスでも戦争を避けることができない場合もあります。
例えば、相手が攻撃を仕掛けてきたときです。世の中には「敵が攻撃してきたら、自分たちは無抵抗で殺されれば平和が保たれる」などと、馬鹿げたことを言う人間が(特に日本に)いますが、そのような人々は、率先して世界に無数にある戦場に行っていただき、平和のために死んでいただきましょう・・・
もちろん、軽微な攻撃ならばやり過ごして「戦わずして勝つ」ことも不可能ではありません。しかし、大概の場合は反撃をしなければ自らを守ることができません。しかし、そのようにやむにやまれぬ理由で戦争を起こす場合でも、犠牲を最小減にするために短期決戦を心掛けなければなりません。戦争が長引けば長引くほど、国家や企業の犠牲が必然的に増えるからです。
国王(将軍)や株主(経営者)は、国家や企業が繁栄するため行動すべきですから、無駄な犠牲を払ってはならないのです。
●日雇い投資と長期投資(バフェット流)
世の中のほとんどの投資家は日雇い投資家(デイトレーダー)です。日雇い労働者は、朝トラックの荷台に飛び乗って、工事現場で汗を流せば夕方帰るときにわずかばかりの日当をもらえます(日雇い投資家はそれさえもらえるかどうか定かではありませんが・・・)。
このようなやり方は「短期」と呼ばれますが、実は孫子が指摘する「ずるずると長引く消耗戦」なのです。なぜなら、このような日雇い方式では、一度に稼ぐことができないため、毎日働かなければなりませんし、雨の日など仕事が無い時には、ごくわずかの蓄えさえ食いつぶさなければならないからです。
それに対して、バフェットは長期投資家として有名です。一度購入した企業の株式はなかなか売却しませんが、例えば、一つの企業の株式を20年間保有したとしましょう。売買(戦争)を行うのは、最初の1回と最後の1回の合計2回だけです。ところが、日雇い投資家は毎日売買(戦争)を行うわけですから、行わなければならない戦いの数は数え切れません。これこそが孫子が指摘する「するずると長引く消耗戦」なのです。
バフェットは「ただ1度の熟慮した決断がうまくいかないのであれば、それよりも集中力が劣った多数の判断がうまくいくはずが無い」と述べています。
孫子もバフェットも、「絶対に負けない(損をしない)ようにすること」を信条にしています。戦いには絶対に負けられないのですから、一つに集中し、あれもこれもと散漫な戦いをすべきではありません。
続きは「産業新潮」
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11月号をご参照ください。
(大原浩)
★2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」
(JKK)を設立しました。HPは<https://j-kk.org/>です。
★夕刊フジにて「バフェットの次を行く投資術」が連載されています。
(毎週木曜日連載)
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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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