有料メルマガ・石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」の過去配信ライブラリ「銘柄研究」「コラム」のうち、コラムの一部を掲載いたします。
自立した投資家、石川臨太郎のコンテンツをお楽しみ下さい。
なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。
=コラム「バランス・シートを読むための簡単な知識(1)」=
(有料メルマガ第345回・2015/9/1配信号)
※2015年9月現在の内容です。留意してお読み下さい。
【前略】
1.流動資産の現金・預金って何ですか。
【簡単解説】
流動資産のうち現金・預金は会社が保有する現金・及び預金活動の源泉です。
お金がなければ、給料が払えません。給料が払えないと従業員も雇えなければ、製品も作れません。会社は続行不可能です。
現金・預金は、原則として、流動資産に属しますが、預金については、貸借対照表日の翌日から起算して一年以内に期限が到来するものは、流動資産に属するものとし、期限が一年をこえて到来するものは、投資その他の資産に属するものとされています。
2.流動資産の現金・預金ってどこをみればわかるのか。
【確認できるところ】
決算短信の貸借対照表の『現金・預金』の数字です。
『現金』には手元の当座小切手・送金為替手形郵便為替証書等、現金と同一の性質を持つものが含まれています。
3.流動資産の『現金・預金』を見てどう分析してどう判断するのか。
【ポイント】
a)残高の変化に注目し、大きく変化があれば、動きの原因を把握しましょう
決算短信の現金残高が大幅に減少している場合、貸借対照表を見て借入金や一年以内の償還社債などの流動負債がかなり減っているなら、借金の返済や社債の償還資金の手当てに現金を当てたことがわかります。それ以外の要因であれば注意が必要です。
b)現金残高が小さいとどういう弊害(=リスク)があるのか。
下記のようなことが予想でき、投資家にとって短期的に株価にマイナスのインパクトを与える可能性が高くなります。
1)新規借り入れの発生。
新しいことをしたり、事業拡大したりするには借り入れしなければなりません。
借入が大きくなりすぎると、返済できるかどうか心配になります。
2)増資などエクイティファイナンスの実施。
株価の上昇が顕著であれば可能性は高まります。でも投資家には嫌われます。
一株利益が希薄化するという理由です。
3)社債の発行。
現在は低金利で発行が可能ですが、多額の固定負債を抱えることになります。
過小資本になると投資家に嫌われます。
投資家から見れば現金は一番信用できる資産です。企業にとっても、一番使い勝手の高い資産です。事業がうまくいかない、商品や製品が売れない、会社の評価が落ちます。
現金を豊富に持っていれば、M&Aにも使えるし、自社株買いにも使えます。投資家の喜ぶ増配も可能になります。研究開発費を増やすなど、経営判断の自由度も高まります。
ただし注意することがあります。
現金がたくさんあるというだけでは判断できません。
支払手形など短期で(=直ぐに)支払いを控えている負債が現金の額と同じくらいあると、その現金・預金は自由に使えない資産と判断すべきです。
次で説明する当座比率等と合わせて見る必要があります。
4.流動比率及び当座比率から考えるべきこと。
このような支払能力を表す2つの指標について、各比率を実際に計算することが大事です。
流動比率: 流動資産/流動負債
当座比率: 当座資産/流動負債(酸性試験比率ともいわれます)
流動比率は一般的に200%以上が理想的とされています。
つまり、これは支払能力を保守的に見積もった場合の一般的な値です。
流動資産を処分して現金にする場合に、本当の換金可能額が帳簿価額の半分になったとしても流動負債を完済できる、とういう考えに基づいているようです。
【注意】
企業の支払能力を考えるとき、実際には入金と支払いのタイミングが合うかどうかが重要です。つまり資金繰りです。上記の2つの指標からでは判断出来ないことも一応、おさえておいてください。
【どう考えるか】
企業の分析に当たって、この比率がどの程度であるかは認識しておくべき必要がありそうです。
私は現・預金や投資有価のように売って直ぐに現金化できる金融資産を一番高く評価しています。つまりキャッシュ・リッチな企業は倒産リスクが限りなく低い企業です。
当座比率や流動比率は、今後の株価の予想に利用することには、まずありません。当座比率や流動比率が低すぎる企業は、そもそも投資対象としては不適格だと考えています。
経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎
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