全体相場が上昇しているのに下落を続けているか株価が上昇しない銘柄が過去3か月の中にはいくつもあります。
 そうした投資家の期待を裏切った株の動向を吟味するのも案外面白いものです。

 個別銘柄の名前を敢えて今回は伏せておきますが読者の皆さんの方で推察願います。

 ここで言う期待とはもちろん業績向上の期待です。株式市場には約3600もの企業が上場し、その経営者は株主のために企業価値を高めようと努めています。

 単純に言うと業績は売上(収入)の拡大によってもたらされるケース、コスト削減によってもたらされるケースがあります。企業は未来に向けて継続した成長 を期待されているわけですが、既存ビジネスの先行きが暗いのであれば新たな事業に多少の経費をかけてでも取組む必要があります。

 売上が拡大し利益も伸びているような企業に投資家は基本的に投資してリターンを上げることになりますが最近の創薬ベンチャーのように売上もまだ小さく、 利益も赤字といった企業にも夢を買うスタンスで資金が流入しています。なぜこれまで評価しなかったの?なぜ今になって期待が高まったの?

 答えはアベノミクスで日本の最先端のiPS細胞の研究への後押しが打ち出されたことだろうと推察されます。

 赤字でも買える、買ってみようという投資家が出てきた。上がったら余計に目立つ。市場関係者もコメントするようになって今まで見向きもされなかった銘柄を一気に大化けする。こうした光景を目の当たりして株式の魅力を感じた方も多いに違いありません。

 であればそうしたR&D型の企業はほかにもないか?ということになって広がっていくことになります。
 水面下でそうした銘柄を研究されている投資家もお見えになるかと思います。

 期待を裏切った銘柄も株価の位置が低ければそれほど恐れる必要はありません。

 先日発表のあった通信系のベンチャー企業もそうした事例なのかも知れません。

 LTEが世界的な潮流となって評価が高まりそうな状況で業績への期待も高まるかとみられた矢先の赤字転落発表で決算発表前に不自然に上昇していた株価は 失望売りに発表後比例配分でストップ安となり売りを残して暗い週末を迎えましたが、週明けもおそらくまた売り込まれている筈です。
 結果としてこの会社の株価は上場来安値に接近中ですが、R&D型ながら比較的キャッシュな企業なのですぐに会社がつぶれるような訳ではなく、どこかでまた期待も膨らむと思われます。

 12月決算企業の中にもそうした事例はありました。

 ミニリクルートと言われ地方で活躍する企業なのですが、前期までの業績の伸びに対して今期は思い切った先行投資を行うため経常利益が半減するとリリースしたため、投資家の失望売りに見舞われそれまでの上昇傾向から一気に下落傾向に転じてしまいました。
 短期上昇相場を求めて動く投資家の売りが続く間は株価は上がらない。そうした見方が続く限りは低迷を余儀なくされるでしょうが、思い切った先行投資の実 行が来期の業績向上につながるのであればどこかで期待が高まると私は見ています。期待を裏切った株の研究をすればどこかでまた取り組むタイミングを明確にすることができます。

 円安に転じているのに業績の下方修正を発表して投資家の失望を誘う事例も多いかと思いますが北関東にある某食品機械メーカーもその一つ。第3四半期の決算発表で今期の業績見通しを下方修正。
 当期利益が赤字に転落するというややマイナスのサプライズ内容でした。その翌日に株価は多少は下がりましたが、現状は案外落ち着いた動きになっています。来3月期への業績回復期待が高まりつつあるのではないかと思われます。

 さらには電機セクターにありながらコンテンツ制作を主体とした企業もアナログからデジタルへの移行期の中で設備の減損処理を一気に進めていくということで今期業績を大幅に下方修正。
 株価は一時失望売りで下落しましたが、その後持ち直してきました。配当利回りが高いということもありますが、今期よりもすでに来期の業績に関心が移っていて株価に投資家の失望感は織り込まれた格好となっているためだと推察されます。

 短期的な失望売りを冷静に眺めて立ち向かう度量の深い投資家に私は期待しています。

(炎)

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