相変わらず乱高下している金融市場ですが、3月初旬に書いたように、円高に進めば一層の円高予想が増えましたし、米国金利も2.9%を越えた頃には「3%越えだ!」と言うコメントが増えました。そうこうしているうちに間も無く市場は逆の動きになります。これらのサインは重要ですね(苦笑)
昨日の国内株式市場ではカーボン各社が15%も売られました。野村証券のレポートがきっかけだったようですが、何だかキナ臭いです。野村は今や外資系の側面も強いですから様々なトレーディングもします。
これらの会社の業績がそれほど一気に悪くなるはずも無く、決算予想も控え目です。が・・・短期筋もここぞと参戦して出来高も増えたのでしょう。博打相場が続きます。
気になるところでは、2~3月で投機資金の円売りポジションが大きく変化し、円買いになってしまっていますね。さて、この先どうなることやら。
さて、金融用語でAAAと書いてトリプルA(エー)と読むのは誰でもご存じの事。信用格付け会社の格付け(レーティング)の最上位に位置します。
格付け会社によって表記方法が若干異なり、例えば、S&Pグローバル社の場合にはAAAと表記し、ムーディーズ社の場合にはAaaなどと表記されます。
格付け会社の生い立ちや現在の立ち位置を説明すると長くなりますので割愛しますが、詳しくは下記のサイトなどをご参照ください。
https://www.standardandpoors.com/ja_JP/delegate/getPDF?articleId=1825216&type=COMMENTS&subType=REGULATORY
例えば、AAA(最高格付け)の債券は中長期的な見通しにおいて利払いや元本償還への安全性が非常に高いという定義がされており、これが一段階下がりAA(ダブルエー)となると安全性が若干下がる、と言う風に定義されています。
つまりAAA債券と言えば、世界的にも最も安全性が高い債券と言う訳です。若干主旨は異なりますが、世界の国々の格付けは?などと調べれば、格付け会社がレーティングしている各国(国債)の位置をイメージできる訳です。
但し、以前にも書きましたが、1990年(バブル)当時の日本の主要銀行10数行はAAAを獲得していて、これはもう凄いことでした。世界中の銀行の中で安全性の面で上位を独占する勢いでしたから。
1960年代以前に生まれた方なら皆さんご存じの通りで、バブルのピーク時には東京都の不動産時価が米国本土全体を超える(超えた?)と言われたほど凄い信用創造力だったのですから。そりゃ~図に乗る(バブルに踊った)訳です(苦笑)
ところがバブルの崩壊と共に、その7年後には破綻する銀行が出てきました。最高位の格付けを得ていた銀行が7年で破綻するのですから、ある意味、これらの格付けを余り信用しないほうが良い、と言う事でもあります。将来どうなるかなんて誰にも分からないのですから。
10年ほど前の米国でのサブプライム・バブルの崩壊時にもAAAの格付けを得ていた住宅ローン債権のデフォルトが引き金となりバブル崩壊に至りました。リーマンブラザーズと言う米国第4位の証券会社が資金繰りに行き詰まり破綻したことも記憶に新しいと思います。
と言う訳で、「信用格付け」と言うものは投融資の参考にはなるものの信用してはいけない、と言う概念だけはご理解いただきたいと思います。
一部には、大手格付け会社は米国政府と一体となり、政治的な意味合いからの格付けもしているとの噂もあるくらいインチキな側面も持っています。
さて、身近なところでは国内各銀行や証券会社が販売している金融商品が良い例になるかと思います。
最近(いや、正確には2000年代に入ってから)流行なのが「トルコリラ建て債券」とか「南アフリカランド建て債券」「ブラジルレアル建て債券」と言った、いわゆる利回りの高い新興国通貨に連動した外貨建ての債券です。
これらは世界銀行や欧州開発銀行と言った最上位格付け(AAA)を付与された債券に新興国の金融市場に連動した為替や金利条件を組み込んで組成された債券です。
確かにこれら債券の発行体(発行元)自体の安全性は最上位ですが、これにアレンジされた新興国の為替や利息(利払い)が安全とは限りません。どころか・・・その安全性はほぼ100%新興国の金融市場リスクに連動します。
つまり、見栄え上は最高格位付けの「安全そうに見える」債券ですが、実態は相当リスキーな外貨建て債券と言う訳です。
10%もの利息が付くのですから、それ相応の(10%の利息に見合う)リスク(変動性)を持つ債券のはずです。
これを、さも安全そうに謳い、且つ高利回りですよと販売しているのですから注意が必要です。これが低コストで組成された債券なら良いのですが、実は一般に発行されている新興国の国債や社債に比べて高コストの仕組みとなっていることです。
AAAの見栄えを作るために、安全でもないのに、手を加えていない債券に比べて高コストな金融商品に仕上がっている点に気をつけねばいけません。
長くなりますので続きは次回に。
(街のコンサルタント)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)
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