「特許」は法律用語であり、Wikipediaによれば
「法令の定める手続により、国が発明者またはその承継人に対し、特許権を付与する行政行為」
となっている。
この場合の法令とは特許法である。
特許権付与までの実際の流れはこんな感じである。
発明者が自らのアイデアを明細書にまとめたものを特許庁に出願し、
出願から3年以内に審査請求を行い、
特許査定となれば発明に対して出願から20年間有効な排他的独占権が与えられる。
ゆえに、世の中のニーズに合致した発明であれば発明の対価として大きな利益を得ることも夢ではない。
特許権は製品の独自性を保護するものであるため、競争が激しい業界では特許権を巡って熾烈な競争があるのも事実であり、特許侵害が認められると販売差し止めや巨額の賠償金を支払わされることもある。
例えば先端的な4Kテレビのような規格に準拠した家電製品では、製品化に必須となる有力企業の特許技術をプールした上でライセンス料を得るのが一般的である。
このような特許明細は書籍とは異なり、各国の公特許明細書は無料で閲覧することができる。
例えば下記のホームページに適当な検索キーワードを入力すれば直ぐにダウンロードできる。
日本の特許法では公開対象となる特許明細書は出願から1年半が経過したものであるが、他国も似たような運用がなされている。
日本の特許
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
アメリカの特許
https://www.uspto.gov/patents-application-process/search-patents
特許文書は独特の言い回しや技術用語があるので最初はちょっと読みにくいかもしれない。
手始めに興味のある企業の特許から読んでみよう!
どのような製品に関連する技術であるかをイメージできれば、明細書の図面を見ながら読み進めるのはさほど難しくない。
特許明細書は「技術課題の解決方法を発明として完成させたもの」であることを意識しながら幾つかの明細書を読み進めてみよう。
これまでネットや雑誌などの二次情報とは違い、発明者による一次情報を読むことで企業の技術や未来について、自分の解釈に基づく新たなイメージを持つことができると思う。
アメリカの特許データベースにアクセスして「Apple Inc.」と検索すれば未来を予感できる新しいデザインを見ることもできる。
Pythonのような比較的とっつきやすいプログラミング言語を身につければ、公的データベースの情報を基に自らがプロ並みの特許分析にトライすることも可能となる。
例えば自動車業界における生々しい競争状況や、何を目指して研究開発競争が行われているかを読み取ることもできる。
旬な技術課題は何だろうか?僕だったらこうするよな・・・などと考えるようになれば自分自身が発明家となり、特許出願をしたうえでベンチャー企業を立ち上げることも夢ではない。
(村上次郎)
- 村上次郎のプロフィール -
大手エレクトロニクスメーカーでの長年の研究開発経験をベースに現在特許技術調査業務に従事。これまでの豊富な特許出願経験とは真逆の業務を経験することで戦略的特許出願は為せば成る(高率で権利化できる)ことを確信。
若手時代のデバイス研究開発に始まり、大学との共同研究、国家プロジェクトリーダーなどの経験豊富。工学博士。億近ゼミ一期生。
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