投資の参考資料として便利な会社四季報には様々なデータが掲載されています。その中には上位10位までの株主の持ち株データや、外国人投資家の比率、投信の持ち株比率のほか浮動株や特定株の比率も掲載されています。
このうちの浮動株は1単元以上50単元未満の株主が所有している株式数の合計が発行済み株式数に占める比率です。
例えば現在、発行済み株式数が769万4000株の上場企業があってその浮動株比率が10.6%だと表記されていれば浮動株数は81.5万株となります。1単元株は100株で50単元株、つまり5000株まで保有している投資家の保有合計が81.5万株となります。
この会社の単元株主数は前期末で1164名。自己株を含む上位10位までの株主と役員の保有する持ち株を特定株としており、その比率は45.9%と表していますので、役員4名を含めた上位株主10名を除く約1150名で約416万株、一人平均3600株を保有しているという計算が成り立ちます。
この会社は過去3年以上にわたって上昇傾向を辿り、昨年末の終値から先週末までは、59%上昇した水準になってきました。6月まではまだ16%余りの上昇に留まっていましたが、7月、8月と株価は急速に上昇。それは1Qの進捗率が高かったことで通期の業績上方修正期待が高まったことによります。
果たして投資家の期待通りに業績を上方修正してくれるかはともかく、株価の上昇とともに出来高が増加し浮動株よりも多くなってきたことで投資家の入れ替わりが起きているとも言えます。
因みに4月からの出来高は、
4月19.8万株(浮動株に対して24.3%)月末終値810円
5月12.2万株(同19.0%)月末終値868円
6月16万株(同19.6%)月末終値860円
7月24.5万株(同30%)月末終値930円
8月101.2万株(同124.2%)時価1180円(高値1280円)
となっています。
1Q決算の発表後の出来高も92万7900株、株価レンジは1010円~1280円となっており、一定の浮動株が吸い上げられた結果、株価の動きが軽くなってきた上に業績の上方修正期待が重なっての株価上昇と見られます。
ところでこの銘柄は現在PER9.1倍、PBR0.7倍、配当利回り2.45%となっています。株価上昇中の際にはキャピタルゲインを得て利益確定売りが出てきまが、指標面を見るとまだまだ割安感が残っています。
少なくとも長期スタンスの投資家はこの水準で売却する必要はなさそうですが、売り買いがお好きな投資家は適当に売り買いを続けておられるのかも知れません。
浮動株を吟味しての中長期スタンスでの投資が成果を表した事例として今後も折に触れて取り上げていきたいと思います。
この銘柄名は既に皆様にはおわかりなのかも知れませんが、9月10日のまぐまぐ主催の講演会にてご披露申し上げたいと存じます。
(炎の有料メルマガにおいても更に今後の展開も含めてご報告の予定です。)
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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