今回私が参加している中小企業家同友会のイベントで、青山学院大学学長の三木義一先生のお話を聞く機会がありました。
普段受けている税制の講義というと、あまり面白くもない税制改正の議論やポイント解説であることが多いのですが、今回の講演で三木先生は、
1)税制と民主主義の重要な関係性
2)大日本帝国憲法から日本国憲法へ天皇主権から国民主権への転換にかかわる税制の歴史的転換
など根本的で重要な論点、かつ重層的で歴史的な背景を説明いただきました。
さらに三木先生独特のユーモアあふれる講義で、これが税制の話なのか?と思うぐらい90分間魅了されっぱなしの講演でした。
特に私が個人的に強く印象が残ったのは
「欧米では、増税を主張する政党が再配分重視の庶民(貧困層)の味方、減税を主張する政党が競争主義の富裕層の味方という政治的な対立軸で語られる。しかし、日本においては与党も野党も減税を標榜する政党ばかりだし、富裕層も庶民も両方とも減税を主張する政党を支持している。
これは、とても成熟した民主主義の国家とは思えない。」
というような話でした。
私も仕事がら国家財政については関心も高く、国家予算の在り方についてはいつも興味を持っていますが、多くの人はそうではないことも痛感しています。
これは、納税者が自分たちの税金の集め方や利用方法について主体的に考えていないところに大きな問題がありそうです。
これも先生の話の中では、
「日本国憲法の草案の中には、第30条の納税の義務は入っておらず、またそもそも論として憲法によって国家に課税徴税の権利が定められていれば足り、憲法によって国民に納税の義務を課す必要はない」
「しかし、当時の大蔵省が政治家にロビー活動を行い、大日本帝国憲法第21条「日本臣民ハ法律ノ定ムル所ニ従ヒ納税ノ義務ヲ有ス」を踏襲するような形で第30条の納税の義務を憲法に入れ込んだ」
「その結果として、国民の意識に、税務は国民が考えて実施するという当事者意識が薄くなり、政府・お上のやることという意識が強くなってしまった」
という解説も私にとっては知られざる大変興味深い歴史的な経緯でした。
私も日々クライアントと接している中で、中には税金を1円も払いたくないということを平気でいう方にもお会いします。
税金にたいしてみんなで利用するお金というよりも、税務署に取られるものと認識しているのは、まだまだ日本でしっかりとした「民主主義」が根付いていないのだろうと感じています。
株式会社マネーライフプランニング
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