■ファンドマネジャー、株を語る 0006
☆☆ 1000年続く組織について
英国のオックスフォード大学は、世界的に有名な大学です。
少なくとも1090年代には講義が行われていた、といいます。
1000年以上、続いていることになります。
少なくとも、卒業生の方々や英国民は、
「オックスフォード大学にはこれからも末長く存在してほしい」
と願うでしょう。
一方、オックスフォードの学生は、数年間で卒業します。
学長は次々と移り変わりました。
学生も移り変わっていきました。だが、大学は受け継がれていきました。
そういう意味で、学長の資質というものが、
どれほど、大学の永続性に重要であったのでしょう?
大学のスピリッツ(精神)は、時間軸や個には依存しないもので
なければならないのです。
☆☆企業とは何か??
企業にも大学と同様に存在意義があるでしょう。
社会への商品の供給者、新商品の創造者としての意義が。
株主、従業員、経営者は(人間だから)、すぐに死んでしまいます。
でも、商品の中には生き続けるものがあります。
それが社会的な価値を持つものであるならば。
商品の中には、時代を超えるものがあります。
だが、時代にとって、意味のない商品は淘汰され、時代に共有されません。
☆☆ 時代を超えるものたちについて
古典というものがあります。
日本には、日本書紀や古事記などがあるし、源氏物語もあります。
古代から残るものとしては、ソクラテスやプラトンなどの哲学は
現代に引き継がれています。
比較的新しいところでは、音楽で、平均律が普及したことで、
自由な転調が可能になり、B.S.バッハの音楽は、
400年前からずっと引き継がれています。
永続するであろうイベントは無数にあるのでしょう。
各競技のワールドカップ。オリンピック。
高校野球の甲子園大会等。
人は、他者と交わる過程で、共感という手段を手に入れました。
共感とは、固体として全く違う生命体同士が、その違いを超えて、
時代をも超えて、結びつく感情であり、それは、人間の情緒的な側面です。
「共感できる価値ならば、その価値観は生き残る」
と考えられないでしょうか?
☆☆私なりに、企業というものを定義してみると、こんな感じかな??
いま、社会の隅々まで見渡して、どんな小さな商品も企業によって
提供されているのです。
企業とは社会への供給システムだということを以前話しました。
1)企業とは、創造する組織。
決して消費をするだけの存在ではありません。
商品やサービスの創造者なのです。
2)企業とは、偏見やバイアスに支配される偏狭さを克服した存在。
そうでなければ社会全体に彼らの商品は受け入れられません。
人権を無視した組織運営は成り立ちません。
3)企業は、大多数の中に埋もれる受動的な存在ではない。逆に、社会を導く
能動的なリーダーなのでは?
企業は、必要なら大統領にも毅然とした態度を示す必要があります。
4)企業は、あらゆる社会的な矛盾を克服し、問題を解決し、矛盾点を昇華
しようとする社会的な存在。
そうでなければ、優秀な商品は開発されません。
歴史的に見て、もっとも優れた商品が世の中で生き延びてきたからです。
5)企業は、短期で利己的なものではありません。長期に渡り、社会的に
意義のあることを成す存在。
もし、企業が利己的で、短期志向ならば、企業は過剰なリスクや拙速な経営
判断を繰り返して、破産してしまいます。
6)企業とは、思慮深く、ステップ・バイ・ステップで成果を出そうと務める
存在。
そうでなければ、多くの企業が100年以上の歴史を誇っていることが説明
できません。
読者へ:
企業を読者自身の言葉で定義してみてはどうでしょうか?
(わたしの定義のドラフトは、少し、企業に甘すぎますから。)
日本株ファンドマネジャー
山本 潤
====== 求む、勉強仲間!! 伝統の億近ゼミ、復活します!=====
【億近ゼミ開講のお知らせ】
2月末の締め切りです。
多くの応募があります。
4月から9ヶ月間ですが、少人数の純粋な勉強を目的とした会議を
13~16回程度開催する予定です。
わたしの希望で、少人数とさせていただく可能性が高いので、
敷居は高くなってしまうかもしれません。
商品やサービスをひとつ取り上げて、その技術的な側面や歴史を記述する、
ということは、インターネット調査ではなかなかできないことです。
具体的な投資の手法や戦略については、多種多様であり、
また、どんな戦略も絶対的なものではありません。
例えるなら、錬金術でしょうか。
錬金術は、ゴールドでないものからゴールドを作ろうという
中世以降の試みでしたが、ご存知の通り、それは不可能なんですね。
ゴールドは、その希少性から経済的な価値は高い。
しかし、錬金術の結果、化学が進歩して、人類が真理へと一歩近づくことは、
社会への価値貢献になる。
ゴールドの価値とは違う、また、別の価値といえるでしょう。
ゴールドはすべての人々を幸せにはしません。
化学の進展は、すべての人々を経済的に豊かにしてきました。
ゼミでは、一般教養、学問、歴史、哲学、プログラミング、
こうしたものを駆使して、ひとつの商品について、
時代耐性を測ることに重きを置きます。
商品の時代不変量を測ること。
たとえば、ヘリウムをつかった冷却装置というものがありますが、
製造の現場では大切な役割を担っています。
比熱の問題から、冷却において、ヘリウムに勝る物性は、なかなかない。
だから、われわれは、時代を超えた不変性を、ヘリウムに見出す。
さて、その技術の祖先を辿るとその原理は昔からある。
ずっと前から、同じ原理、同じ仕組みであるにも関わらず、
ヘリウム冷却装置は、何十年も、「変わらず進化し続けている」のか!
「進化し続けている」と見ることもできるし、
「全く変わらない」と見ることもできる。
また、ヘリウムは原子としての大きさが小さい。
水素の次ですね。水素は爆発するから危ない。
ヘリウムは安定元素ですね。
小さくて危険ではないから、漏れなどを検知する気密検査に使われてきました。
昭和29年に実用新案(昭和30?12093)で三菱電機研究所が出願。
現在は広く使われている技術ですが、当時は普及していませんでした。
ヘリウムの持つ原理を用いたものですから時代不変量といえます。
昭和44年に日立の中央研究所は、すでに液体ヘリウムの低温を利用した
超電導原理を特許出願。
東海道リニアの原型となるアイデアです。
原理は昔からあった。しかし、普及時期には大きな隔たりがある。
何十年という大きな隔たりは、われわれの一生が短いから
それを大きいと感じるだけで、後世から見れば、
「発見されてすぐに実用化された」と記述されるのです。
商品別の時代不変量。
それを、いつか、誰かが、ちゃんと後世のために商品の歴史を
記述しなければならない、と個人的に思うのです。
ゼミでは、時代を超える「時代不変」を一緒に探しましょう。
時代不変量を商品ごとに計測することで、商品群の時代耐性を測る。
事業リスクが時間とともに複利で増大するので、時代不変量の重要性は、
株価には、すぐには反映されない。
だが、じわじわと時間が経つにつれて、複利で反映されていく。
ゼミでは、
1)投資の哲学
2)技術史作家への挑戦
3)データサイエンティストとのコラボ:一般入手可能な情報をまず使いこなす。
などを行います。
【募集要項】
・4月上旬より開催の予定です。
・開催期間は9ヶ月の予定です。
・開催頻度は月1~2回です。
・開催曜日は土曜日か日曜日になります。
・参加費は無料です。
・開催場所は東京都港区です。
参加者の居住地は問いませんが、開催場所へ開催日に来る事が難しい場合、
メール等の手段により意思疎通が図れ、課題等が提出できる方、ご応募下さ
い。
・年齢は問いませんが、18歳未満の方は保護者の同意が必要です。
・略歴、志望動機、ゼミへの要望などを気の済むまで書いてください。
1000文字程度でお願いします。
テキストのほか、word形式も可。
・参加にあたっては簡単な審査をさせていただきます。
審査結果により、ゼミへ参加できない場合もありますので、ご了承ください。
・応募は、okuchika.mail@gmail.comまで、題名を「億近ゼミ応募」として、
メールにて、お願いします。
添付ファイルの場合は、5MB以下でお願いします。
・応募締め切りは2月28日23:59とさせていただきます。
また、先生役を努めてくださる準備のある運用業界バイサイドアナリスト、
ファンドマネジャーや証券業界の方々も、興味があれば、お声をわたしまで
かけてください。
但し、報酬はありません。ボランティアとなります。
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関し
ては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者
の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
コメント
コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。