祝*『億の近道』創刊満17年*
愛読者の皆さまへの感謝と発行関係者の皆さまの熱意と努力に敬意を表し、今後の更なる進化と発展を祈念申し上げます。
大半の事前予想に反して、トランプ大統領が誕生しました。結果にいち早く接するアジア、東京市場の最初の反応は所謂『トランプ・ショック』。
一週間前の今日、日経平均株価は一時1,000円程下落、ドル円相場も4円程度円高方向へと動きました。
しかし、欧州から米国時間に移るにつれ、一変。所謂『トランプ・ラリー』へ。
世界の株式市場、ドル相場は上昇した一方で、債券価格は下落、米国の長期金利上昇は主要国の長期金利を軒並み上昇させました。
6月のBREXITの日には見られなかった相場の乱高下。
確かに、今年は何が起こるか分からない年回りです。
『トランプ・ラリー』のきっかけは、勝利宣言での豹変ぶりから始まったとも言われます。これまでのワイルドな選挙演説と違い、勝利宣言の舞台ではプロンプターを使用して、あらかじめ作成された原稿を穏やかに読み、君子豹変したリーダーシップを示しました。なかなかの演出でした。
このあたりを見ても、トランプ陣営の選対部長の女性、ケリーアン・コンウエイ氏はかなりのやり手です。彼女がトランプ政権で何を担うのか、注目されています。
ちなみに、トランプ氏はこれまでもコメディ番組でホストを見事に務めるなど、なかなかの『演技者』です。演技に騙されないようにしましょう。
さて、その後の市場がラリーを加速させたのは、トランプ次期大統領が具体的に実施を表明してきた政策でした。大幅な財政出動によるインフラ投資。また、規制緩和(オバマ政権下での金融規制の緩和も含む)、法人税の大幅カット(半分以下)、アメリカの成長率を2倍にする等の具体的に数字をあげた公約のインパクトは市場にポジテイブなインパクトになりました。
民主党政権から共和党政権へ。ホワイトハウスは全員総入れ替え。
もちろん、駐日大使のケネディ氏も政権交代と共にトランプ氏が決める次期大使になります。安倍首相は今週17日にトランプ氏と面会を取り付けました。迅速な動きです。日本のために、個人的に良い関係構築を期待したいところです。
今後の注目は、誰を日本大使として送ってくるか?です。これにより、対日政策への次期政権の考え方が分かるでしょう。
トランプ氏は当選さっそく軋轢があった共和党中枢部との調整、そして新政権の中枢人事に動いています。
市場関係には注目される財務長官には、元ゴールドマン・サックスのパートナーのS.ムニューチン氏が推薦されていると伝わり、そのプロフィールへの好感もラリーの一因かもしれません。
これまで恐れられてきた『トランプ・リスク』がなかったかのように、トランプ・ラリー祭りが続き、選挙中に注目されたNAFTやTPP等の自由貿易協定へ否定的姿勢、国際関係、国防政策、移民政策等の問題は影をひそめています。ただ、これらの問題が今の熱が冷めたところで懸念材料としてスポットライトを浴びる可能性はあります。
このあたり、両院議会で多数派になった共和党がどのように政権の周りを固めていくのか人事を見ていきたいです。
トランプ氏が大統領になること自体がこれまでのトランプ・リスクでしたが、今後は実業家大統領が実際に諸問題にどう対応していくのかがリスクとして顕在化していくのではないでしょうか。
また、オバマ大統領就任時は、金融危機で安値から始まった株式市場も今や高値圏。トランプ政権発足時は高値圏始まりからです。ここから、どうなるか?注目です。
さて、12月の米FRBによる利上げはどうなるでしょうか。
利上げ確率は、直近で12月、来年前半とも90%以上とエコノミストは見ています。昨日発表の小売売上も好調な数字で利上げは確実視に近くなってきました。
しかし、中期的にみて、新政権がアメリカ・ファーストで保護主義的な政策を強めれば、世界経済に悪影響を与え、巡り巡って、米国も金融緩和が必要になるかもしれませんし、財政政策のバックアップとしての金融緩和状態が必要になるということもあるでしょう。
FRBの政策、今後姿を現してくるだろう新政権の政策がどうなるのかにより未知の部分は多いと思います。ちなみに、FRB議長人事は任期まで現人事で行くものとみられていますが。
ドル円相場は、105~106の抵抗体を抜けた途端に一気に109円台までジャンプしてきました。
2015年につけた高値125.63と今年つけた安値99.02の38.2%戻し水準は109.18を達成したこともあり、急激な上昇も一旦休止する可能性もあります。
ただ、11月がヘッジファンドの決算期であることから、このラリーで一儲けして年を越したい投機筋の仕掛けもあると言われ、オーバーシュートの可能性も否定できませんが、ありがたく利益確定の場所ではないかと。
11月も中旬。トランプ次期政権の動向の他に、欧州も注目です。
イタリアで政権の安定を問う憲法改正のための国民投票(12月4日実施)があります。直近の世論調査では反対派が僅かに上回っているようで、否決となれば、現在改革政策を実行しているレッツィ首相は辞任すると宣言していて、そうなればユーロ圏のリスクとなるでしょう。
BREXITの英国では、国民投票に議会承認が必要との裁判所の判決があり、EUとの脱退交渉が予定より遅れる公算です。交渉の不利が連想され、英国経済へのリスクになる可能性があります。ただ、今回のドルの上昇相場でポンドだけは逆の動きです。
9.11は米国の悲劇の日でしたが、トランプ次期大統領誕生の11.9は今後どんな歴史に繋がるのでしょうか。まずは、今後の経過を注視しながら冷静に、と思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*億の近道☆満17年。微力ながら私も貢献できるよう努める所存です。
今後とも宜しくお願い致します。
11月16日東京時間午前9時執筆。
本号の情報は11月15日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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