8d3cc9e9ea2aeb7389201d0aff970ae5_s.jpg



 今週のスケジュールで注目するのが、明日20日日本時間午前10時から行われる米大統領選挙戦3回目のテレビ討論と、夜間時間帯に行われるECB理事会です。

 今回の米大統領選は、政策論議以外のスキャンダルがメディアで賑わっているのは周知の通りで、低俗なネタが多過ぎると呆れる人も多く、「あの二人しか居なかったアメリカってどうなってるの?」と言いたくもなります。

 主要メディアから伝わる情報、有名人やインテリ層からの発信は、トランプ批判。ヒラリー有利を、市場も織り込みつつあるように見えます。

 一方、SNSでのトランプは、アンチも含めてTwitterフォロワー数でヒラリーを上回り、支持&アンチ両方からの書き込みも活発の模様。トランプ支持者の傾向は、理屈抜きでの「トランプ」と分析する人がいます。
 今回と前回の大統領選挙戦では、SNS等のネットの影響は大きく変化しているので、主要メディア報道だけでは実態は分かりにくいかもしれません。

 ヒラリーのアンチも多数います。嫌いな理由は、彼女は聡明な陰謀好き(国家機密情報の取扱いミスについて詳細を明らかにしていない、TPP反対に回る等)であること。逆に支持者の傾向は、自分がヒラリー支持だと大きな声では公言しないこと、とも聞きます。

 また、二人の支持層の分布で興味深いのは、貧しい層への配慮を政策で掲げているヒラリーよりも移民排除に触れているトランプの方が貧しい層からの支持が多いことです。

 その裏にあるのは、貧富の差と分析する人もいます。
 格差拡大を1%対99%と例えられます。99%から1%への怒りが溜まっている分、理屈や常識、エスタブリッシュメント、既存の権力層への反感も強いとも言えます。

 最後は勘定より感情?(シンプルに好き嫌いで決める?)
 難しい判断を迫られると人間の本質が出る、と認知心理学では言われます。
 有権者の心理がどう動くか、判断に興味深々です。


 米国の大統領は、ただの一国の最高責任者のみならず、核兵器ボタンを押せる人、NATO最高司令官でもあります。それにふさわしい人物であることを残りの選挙戦で両者とも見せてほしいものだと思います。

 米大統領選は、「最も多い票を得た候補が原則人口比で各州に割り当てられた選挙人を全員獲得できる」という総取り方式で事前の票読みは難しいと言われます。
 BREXITで見たように世論調査には落し穴もあるかもしれません。

 市場が結果を織り込み過ぎた時には、万が一、を注意しておく必要があると思います。
 現在、劣勢と言われるトランプの(Trump=切り札)リスクにご注意でしょうか。


 20日のもう一つのスケジュール、ECB理事会。

 注目は、一部メディア報道にあった今後のテーパリング(量的緩和を縮小していく)について言及があるかどうかです。

 量的緩和、マイナス金利の副作用を懸念する声も一部聞かれたことから、テーパリングの推測が出たものと思いますが、時間的にはだいぶん先の事と考えるのが妥当なのではないでしょうか。

 大きく売られた英ポンドの一方で、ユーロ対ドル相場は1.1を挟んだレンジ取引が続いています。長いレンジ相場は、エネルギーを溜めやすく、経験則からは、大きくどちらかへ動くことが多いです。ここ数カ月の動きから、下押しの可能性が高い、と個人的には思ってはいますが、米大統領選結果の影響も含めて、今後のユーロ相場に注目しています。


 最後になりましたが、100円割れを辛うじて踏ん張ったドル円相場。
 直近で確率60%以上ある米国の12月利上げ期待に支えられ、104円台後半まで戻してきました。
 ただ、ここへ来て中国人民元売りが影響してか105円から上の頭が重くなっています。ここで頭打ちになると101~105のレンジに押し込まれる可能性も高くなる正念場です。人民元相場を横目に見ながら動向を注視しています。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

*お断り*10月5日号にて、英国のEU離脱部分で誤字がありました。お詫びと以下訂正いたします。
     GREXIT(誤)→(正)BREXIT

※10月19日東京時間午前9時執筆
 本号の情報は10月18日ニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)