言うまでもなく、今日は9月の最注目イベント、日&米両国の金融政策決定会合の同時開催日です。
日銀の政策結果発表と黒田総裁の記者会見、その後日本時間22日午前3時に予定されているFOMCの結果発表、と滅多にない同日開催日程です。
今週に入ってからの市場は、日本の連休、また半期末前ということも影響してか、様子見に徹している向きが大勢です。現在(13時)日銀の政策結果の発表 が長引いていることから、市場では期待が高まっているようですが、このコラムに記述するには間に合わないので、結果には触れずにおきますことをお断りして おきます。
さらに、日銀の結果が出ても、米国FOMCの決定が出るまでは動きづらいことと思います。
8月のジャクソンホールでのFRB議長イエレン氏、また主要理事たちの「数か月以内の利上げの可能性」言及から、9月の利上げ観測は出たり入ったりを続けてきました。
その間、米国の利上げ期待に加えて、ECBが金融緩和を見送ったこと、日銀の総括的検証への言及もあり、金融緩和への限界を意識する動きが高まり、世界的に長期債の金利が上昇し始めました。
10年物もマイナス利回り(一時は最低利回りマイナス0.19)までつけたドイツ国債は、プラス利回りに戻す場面もあり、金融緩和への一方的な期待が変化してきています。
また、利上げ期待のある米国10年債は1.5%台から1.7%水準に反発、期待が後退しても利回りの低下は限定的でした。
一方、日本国債10年物利回りは、未だマイナス利回りではありますが、マイナス幅は縮小しています。
主要国が金融緩和状態を今後も数年続けなければならないことは確かだろうとは思いますが、これまでの動きに限界を意識し始めたことは確かで、長期金利の急激な上昇はないにしても、利回りの最低エリアは確認したように思います。
さて、今晩のFOMCでの利上げ予想は、直近で22%(ブルームバーグ情報源)です。低いながら利上げの可能性を否定はできません。11月のFOMCは2日(確率28.7%(同情報)、12月は14日で58.2%確率(同情報)です。
今回の会合では利上げはないとする向きが為替市場では多いように見受けられますが、利上げの織り込みを見る指標でもある米国債2年物はこのところ0.75~0.80%で推移しており、利上げ期待後退した6月末の0.5%台から確実に上昇した水準にあります。
米国の大統領選は11月8日。金融政策の正常化ということを考えると、この日程の前に戻しておきたいという意図も働くのではないかとも思い、個人的には利上げの可能性はあると思う理由の一つです。
一方、今回のFOMCの注目点は、金融政策の決定に加えて、今後の経済見通し(特にFOMC参加者の金利見通し)です。今回、もし利上げを決定したとし ても、今後の見通しが下方へ修正されれば、マーケットでの今後の金利見通しのコンセンサスは低くなる可能性は高いと思います。10年債の2%越えは難しい のではないでしょうか。逆に、その水準まであれば、債券の買い場にもなりそうです。
日本も米国も政策が発表された後の反応は上下にワイルドになる可能性もあるでしょう。性急に反応せずに、出てきた情報をしっかりと吟味していきたいと思います。
双方の結果で乱高下した後、結局当面はレンジ相場(ドル円100円~106円)内での動きに終始するような気がします。
最後に、為替市場で動きが出てきた英国ポンドについてです。
BREXITで下落した英ポンド相場は、その後買い戻される場面もあり、行きつ戻りつが続き、8月には利下げもありました。ポンド安が貢献したのか、こ のところの経済指標は良いものが出てきていたので、今後の利下げ期待は後退していたのですが、先週の英国中銀の政策決定会合で、年内の追加利下げの考えを 過半数の理事会メンバーが考えていることが分かり、ポンド対米ドル相場は1.33水準から直近では1.2980水準まで下落してきました。
8月末比で約1.14%,年初来11.9%の下落になり、今後も引き続き下落基調が続くものと予想します。
前号でも書きましたが、EU離脱交渉はこれからです。交渉も含めて今後の経過で負の材料が出てくると、ポンド相場の売り材料にもなるだけでなく、他の市場にも影響を及ぼす可能性もあります。
そんな意味も含めて、ポンド相場の動き、注目しておきたいところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*9月21日東京時間13時執筆
本号の情報は、9月21日東京市場始値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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