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 Brexitは当初のショック症状がおさまり、今後の動向と影響を見ていくというプロセスに入りました。その後の市場の関心事は、日本の参院選後の景気対策大規模化への期待に移り、株安や円高の修正へと繋がりました。


 参院選で自民党が公約に掲げた「アベノミクスの加速」は、自民党大勝により、大規模な景気対策、日銀追加緩和政策を具現化していくという連想を呼び、市場での憶測は徐々に景気対策規模もエスカレートしていった感があります。
 折しも、来日していたバーナンキ前米FRB議長と日銀総裁、安倍首相が会談していたことが、日銀による新たなヘリコプターマネー政策を連想に繋がりました。

 ヘリコプターマネー説については、先週末に黒田日銀総裁が英国放送局とのインタビューで否定して、上昇していた相場の巻き戻しにもなりました。また、先 週末からの巻き戻しは、7月27日米FOMCや7月29日の日銀政策決定会合を前にしたポジション調整でもあったでしょう。


 ドル円相場が、一時の100円割れ水準から、英国国民投票結果発表の直前に一時つけた106円84銭を抜いて先週106円89銭をつけた背景には、日銀の追加緩和期待もありますが、ソフトバンクの英国企業の巨額の買収もありそうです。需給面での支えは、やはり強いです。

 週末から週初にかけてのポジション調整により、106円台から昨日は一時104円割れをつけたドル円相場も今日は105円台まで戻し、月末を前にして、今週の日米の金融政策の結果待ちとなりました。

 *このコラムを書いている27日昼休みに、政府の景気対策規模が27兆円になる、景気対策として50年債を発行するとのニュース(ウォールストリート ジャーナル電)で、ドル円相場は105円から再び106円台まで乗せてきました。しばらく憶測で動かされるマーケットが続きます。


 29日の日銀決定会合は、月末の金曜日。いつか見たような日柄なのですが、今回は期待が膨らんでいるので、追加緩和が出たとき、出なかったときの反応、また出たものへの解釈で変わる可能性も想定しておく必要もありそうです。

 また、出たら仕舞いとも相場では良く言われます。これは、市場参加者がどんなポジションでその日を迎えるかで、反応はまったく違うものになるので、ここも注意しておく必要があります。


 さて、日銀政策決定会合の前に行われる米国の金融政策を決定するFOMCは日本時間28日未明に発表されます。市場予想は据え置き。議長会見も予定されていません。

 前回と今回の会合の間には、米国の雇用統計の予想を大きく上回る好転、先般発表される米経済指標が比較的良いことがありましたので、Brexitの影響や現状の米経済をどのようにFOMCメンバーが捉えているかを声明文で見ておく必要があります。

 金融政策の正常化は続いていくのか?
 変わるならいつなのか?
 米国の利上げ時期、

ひき続き大きな関心事です。

 ちなみに、現在のマーケット予想では、確率が利上げ確率が5割近くあると見られているのは、今年の12月以降です。


 Brexitの影響を大きく受けたユーロ圏の金融政策を決める会合は21日に行われ、据え置きが決定されました。議長会見でコミットはされなかったものの、Brexitショックの影響での景気下押しを検証しながら、秋以降に追加緩和の用意はあるとの含みを持たせました。

 ユーロ圏では、金融機関、特にイタリアの銀行の不良債権問題が燻り、また、今日決算発表予定のドイツ銀行にも要注目です。ユーロ圏もマイナス金利導入で銀行の収益は悪化しています。
 日本もそうですが、経済の血管である金融機関の健康状態問題は景気全体の足を引っ張ります。

 とはいえ、いろいろ問題があっても、ヨーロッパでは皆さん夏は長い休みをとるので、本格的な動きは秋の声を聞いてからにはなりそうです。


 さまざま政策期待がある中、日銀追加緩和としては、日銀がマイナス金利幅を更に広げる、国債引受を増やす、ETFなどリスク資産の購入額を増やす等が言われます。反対に、量が増えても効果ないとも言われます。

 その一方で、一部で言われているのが、日銀がフォーワードガイダンスで示すバランスシート規模維持へのコミットメントです。物価目標達成後もバランス シートを圧縮せず維持するとの約束を打ち出した場合、大きなサプライズとして効果があるだろう、との見方が紹介されていました(ブルームバーグの7月27 日朝の記事より)。

 本日出てきた50年物国債、先日来言われた永久債発行の日銀引き受け、また半永久(?)に続く日銀の膨大なバランスシート等々をこれまでの常識で考えると、先に待っている恐い絵図も浮かんできてしまいます。


 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

*7月27日東京時間午後1時執筆
 本号の情報は、7月26日ニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
 なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


式町 みどり拝


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)