5月はゴールデンウィークのドル円波乱相場から始まりました。
日本の金融追加和期待の肩透かし、その直後には、米国の財務相による為替報告書で「監視リスト」掲載といった材料も追い打ちとなり、一時は1年7か月ぶ りの105円台(105.55)安値に急落。大型連休中で薄い東京市場をもて遊ぶように投機筋が暗躍、下げを加速したようです。
連休明けの麻生財務相の再三の介入発言による相場反発。また、中盤には米国の再利上げが今後2ヶ月の内に行われる可能性が浮上。FOMC議事録やイエレ ン議長を含めたFRB当局者たちの発言が繰り返されました。伊勢志摩サミット後の日本当局の政策期待も多少はサポートになり、重要な抵抗線の一つ111円 台まで直近で戻してきました。
アジア市場を始点終点とすると、5月の始値は106円30銭、終値は111.06(東京時間18時)。これを書いている時点では、チャート的に4月の大きな陰線に食い込んでの陽線での引けとなっています。
この動きが下落相場の一時的な修正での反発なのか、本格的な反騰相場なのか判断に苦しむところではあります。今回のドル円の反発は、投機筋が持っていた円買いポジションの手仕舞いによるドル買戻し円売り(損失カットも)によるところが大きいものと思われます。
今後、大きなリスク要因になる、英国のEU離脱、また、それ以上にリスクになるだろうアメリカ大統領選も秋に控えていることから、6月か7月の米国の利 上げが行われた際にもしかしたら旧サポートで現在は強い抵抗ラインの115円近辺までトライする場面があるかもしれません。
しかし、日柄的にも大きな下落から期が熟しておらず、それ以上の上値を破っていくのは難しいように思います。
また、年初、日本企業の想定為替レートは115円水準だったため、当局のボーダーラインは115円と思われてきましたが、直近の日経新聞調査では主要 360社の今期予想レートは110円水準に下がってきています。110円から上は輸出企業などからの実需売りも出やすいのではないかと推測します。
一方で、機関投資家の対外投資は続いてはいるものの円高リスクに神経質になっていると見られ、高い水準は買いの手を出さないものと推測します。
米国の大統領選の結果の不透明感(特にトランプ・リスク)から、米当局は早期の利上げに踏み切るとも言われます。トランプ氏は大統領になった時にはイエレンFRB議長をクビにして、FRBの権限も小さくするとも言っていると伝わります。
米国の経済指標も強弱まちまちの印象はあるものの、悪くない数字が出てきていますので、数か月以内の利上げは現実になる可能性が高まってきました。
それと比べて、日本は首相が「リーマンショック前の経済状況」発言をして、消費増税も再延期、マイナス金利以降も追加緩和が期待される状況に変わりな く、両国の金融政策の対照を考えると、中期的にはドル円相場の上昇回帰も否定できないと思いますが、相場はこの材料だけで動くものでもなく、その上 2016年は何があってもおかしくない年とも言われます。
トランプ・ショックが起こった場合には、ドル円相場の大きなリスクになるでしょう。金融政策だけでなく、今年は特に政治要因による影響にも注意を払っておいた方が良い年のようです。
前回に触れましたが、6月23日の英国のEU離脱の国民投票も、結果次第で世界の市場に大きな影響を与えるでしょう。
直近の世論調査では特にネット調査では離脱が相変わらず微妙に残留を上回るのですが、電話調査では残留が多数派。また、数理的分析を用いたナンバー・クランチャー確率スコアの最新データは、離脱確率18.58%、残留確率は81.42%。
そして、イギリスといえば何でも賭けの対象にするブックメーカーの数字(最新のツイッター)は、離脱予想オッズ7/2, 残留予想オッズが1/5だそう で、残留の可能性が高まっていることから、ポンド相場は対ユーロで持ち直し、対ドルではドル高のためにポンドが下げてはいますが、安定した動きに戻しては います。
ただ、投票は事前予想を裏切ることもあります。逆の結果が出たときのリスクは相場のみならず経済政治面でも相当大きいと思われます。
また、国民投票結果にかかわらず、このところの英国の経済指標は芳しくないことも英ポンド相場の今後を見る上で重要だと思います。
一方、ユーロ圏の景況感はこのところ改善しつつあり、ギリシャ支援継続も合意され、今週2日に予定されているECB理事会では金融政策が現状維持と予想されています。
今週は、このところ戻してきた原油相場に関連して6月2日のOPEC総会、また6月3日に発表される米国の5月の雇用統計は早期利上げが言われる中ですので特に注目されます。ちなみに、直近の利上げ予想では、6月よりも7月が高くなっています。
Sell in Mayの5月が終わり、6月相場になりますが、今年も諺通りSell in Mayをしたのが妙案だったのか?
今月は注目イベントも多く、また米国大統領選の各候補者の支持率予想等による影響も多く受けることになってくると思います。
状況をよく見て動いていきたいものです。
*5月31日東京時間20時執筆
本号の情報は、5月31日ロンドン市場始値水準のレートを主に参考引用しています。なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
日本の金融追加和期待の肩透かし、その直後には、米国の財務相による為替報告書で「監視リスト」掲載といった材料も追い打ちとなり、一時は1年7か月ぶ りの105円台(105.55)安値に急落。大型連休中で薄い東京市場をもて遊ぶように投機筋が暗躍、下げを加速したようです。
連休明けの麻生財務相の再三の介入発言による相場反発。また、中盤には米国の再利上げが今後2ヶ月の内に行われる可能性が浮上。FOMC議事録やイエレ ン議長を含めたFRB当局者たちの発言が繰り返されました。伊勢志摩サミット後の日本当局の政策期待も多少はサポートになり、重要な抵抗線の一つ111円 台まで直近で戻してきました。
アジア市場を始点終点とすると、5月の始値は106円30銭、終値は111.06(東京時間18時)。これを書いている時点では、チャート的に4月の大きな陰線に食い込んでの陽線での引けとなっています。
この動きが下落相場の一時的な修正での反発なのか、本格的な反騰相場なのか判断に苦しむところではあります。今回のドル円の反発は、投機筋が持っていた円買いポジションの手仕舞いによるドル買戻し円売り(損失カットも)によるところが大きいものと思われます。
今後、大きなリスク要因になる、英国のEU離脱、また、それ以上にリスクになるだろうアメリカ大統領選も秋に控えていることから、6月か7月の米国の利 上げが行われた際にもしかしたら旧サポートで現在は強い抵抗ラインの115円近辺までトライする場面があるかもしれません。
しかし、日柄的にも大きな下落から期が熟しておらず、それ以上の上値を破っていくのは難しいように思います。
また、年初、日本企業の想定為替レートは115円水準だったため、当局のボーダーラインは115円と思われてきましたが、直近の日経新聞調査では主要 360社の今期予想レートは110円水準に下がってきています。110円から上は輸出企業などからの実需売りも出やすいのではないかと推測します。
一方で、機関投資家の対外投資は続いてはいるものの円高リスクに神経質になっていると見られ、高い水準は買いの手を出さないものと推測します。
米国の大統領選の結果の不透明感(特にトランプ・リスク)から、米当局は早期の利上げに踏み切るとも言われます。トランプ氏は大統領になった時にはイエレンFRB議長をクビにして、FRBの権限も小さくするとも言っていると伝わります。
米国の経済指標も強弱まちまちの印象はあるものの、悪くない数字が出てきていますので、数か月以内の利上げは現実になる可能性が高まってきました。
それと比べて、日本は首相が「リーマンショック前の経済状況」発言をして、消費増税も再延期、マイナス金利以降も追加緩和が期待される状況に変わりな く、両国の金融政策の対照を考えると、中期的にはドル円相場の上昇回帰も否定できないと思いますが、相場はこの材料だけで動くものでもなく、その上 2016年は何があってもおかしくない年とも言われます。
トランプ・ショックが起こった場合には、ドル円相場の大きなリスクになるでしょう。金融政策だけでなく、今年は特に政治要因による影響にも注意を払っておいた方が良い年のようです。
前回に触れましたが、6月23日の英国のEU離脱の国民投票も、結果次第で世界の市場に大きな影響を与えるでしょう。
直近の世論調査では特にネット調査では離脱が相変わらず微妙に残留を上回るのですが、電話調査では残留が多数派。また、数理的分析を用いたナンバー・クランチャー確率スコアの最新データは、離脱確率18.58%、残留確率は81.42%。
そして、イギリスといえば何でも賭けの対象にするブックメーカーの数字(最新のツイッター)は、離脱予想オッズ7/2, 残留予想オッズが1/5だそう で、残留の可能性が高まっていることから、ポンド相場は対ユーロで持ち直し、対ドルではドル高のためにポンドが下げてはいますが、安定した動きに戻しては います。
ただ、投票は事前予想を裏切ることもあります。逆の結果が出たときのリスクは相場のみならず経済政治面でも相当大きいと思われます。
また、国民投票結果にかかわらず、このところの英国の経済指標は芳しくないことも英ポンド相場の今後を見る上で重要だと思います。
一方、ユーロ圏の景況感はこのところ改善しつつあり、ギリシャ支援継続も合意され、今週2日に予定されているECB理事会では金融政策が現状維持と予想されています。
今週は、このところ戻してきた原油相場に関連して6月2日のOPEC総会、また6月3日に発表される米国の5月の雇用統計は早期利上げが言われる中ですので特に注目されます。ちなみに、直近の利上げ予想では、6月よりも7月が高くなっています。
Sell in Mayの5月が終わり、6月相場になりますが、今年も諺通りSell in Mayをしたのが妙案だったのか?
今月は注目イベントも多く、また米国大統領選の各候補者の支持率予想等による影響も多く受けることになってくると思います。
状況をよく見て動いていきたいものです。
*5月31日東京時間20時執筆
本号の情報は、5月31日ロンドン市場始値水準のレートを主に参考引用しています。なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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