今年度を振り返るに、2014年末からの株式市場は増大した先物取引による暴力的な市場の乱高下に翻弄された1年だったと思います。特に昨年後半からは指数の上下動を当てるだけ、または売買が集中し易い銘柄を探すだけの博打場になっています。

 株価が上昇トレンドにあった昨年の今頃はNISA記事で賑わっていました。

 紙面トップで「NISA口座が何件になった!」「NISA残高が何千億円増加!」と、景気の良い煽り記事が頻繁に書きたてられましたが、あれから1年近 くが過ぎて日経平均株価は高値から2割以上も下げ、当時個人投資家に人気があった高配当の銘柄を筆頭に3割以上も下げた銘柄も多いのではないでしょうか。

 オマケに日銀の金融緩和第二弾と相まって年金資金の株式誘導による相乗効果によっても(得意の横並び行動により)僅か半年でインデックスは3割も上昇 し、そして金融政策頼りの市場刺激策は弾を打ち尽くしてしまったかのようです。今のところは金融関係者の誰もが懸念していた通りのストーリーになったと言 うべきでしょうか。


 利益が出た際に課税されないとは言え、損が出ても損益通算も出来ず、且つ年に1回の売買分しか非課税にならないなど、狡賢い役人が国民の金を都合良く誘導するために作り上げた偽物であり、手本にした英国ISAとは似て非なる制度です。

 我々国民は何度もこのような欺瞞を見せつけられてきました。


 とは言え大半の国民はこのような扇動に乗らず、実際にNISAを利用した人の過半は以前から株式投資をしていた60代以上の投資経験者であり、過去の データからは安いときにしっかりと買っていた様子もうかがえます。非課税枠を合理的に使うだけに留めた投資家が多かったであろうことが不幸中の幸いだった と思います。


 今年に入ってからの下落により、漸く実態に則した株価水準(時価総額で約500兆円=GDPに近しいレベル)になりましたので、ようやく落ち着いてNISAに組み入れる資産の検討が出来るようになったと言えそうです。
 今年からの税制改正で外国債券なども特定口座内での損益通算の対象になりましたから、より幅広い観点から資産運用を考えられる素地が出来つつあります。物足りない部分は多々ありますが・・・。


 日銀は頑張っています。安倍政権もそれなりに頑張ってはいるのですが、余りに分厚い既得権の壁が肝心の第3の矢(成長戦略、構造改革)を阻み続けます。
 今後を考えるに、果たして、どうすればこの壁を打ち破れるのか?それとも、いずれ日本が困窮する時が来るまで座して死を待つのか・・・?安定している現政権においては憲法改正など首相の個人的な願望より先に、まずは将来に繋がる構造改革を全力で推し進めて頂きたい。


 深刻に考えはじめると切がありませんが、我々以降の世代で出来ることは…、

1)これからの数年~10年間で将来の安全弁となる糧を得る(貯める)こと
2)海外でも食べていける(海外を相手に出来る)スキルやビジネスを持つこと
  ※語学は必須ですが10年もすれば相当な通訳アプリが出ているかも知れません
3)今ある資産を大事に使い、円に偏らない分散投資をしておくこと
4)401KやNISAなども無駄なく効果的に使うこと
5)健康に留意し、定年が無い長く続けられる仕事を早く見つけること

・・・こんな辺りでしょうか(汗)


 金融資産の運用については、401K(確定拠出型個人年金)やNISAを使って運用の基礎的な部分を固めておくべきと思います。まずは自営業の方もビジ ネスマンの方も可能な範囲で401Kの枠を効率良く使うのが第一で、次にNISAを検討する訳ですが、コスト高になる複雑な投資信託などは避け中長期で持 てる債券や株式、ETFなどを研究しタイミングを見て徐々に投資額を増やしていければ良いと思います。

 401Kの場合には大半が投信になりますが一般的な投信と違って401K用の投信は信託報酬が低く設定されていますので、その中でもコストが低めで且つ 中長期投資&ドルコスト投資に効果的と考えて、小職の場合には海外株インデックス型を中心に複数の商品へ分散して積み立てています。


 先月は下がり過ぎたと感じた株式をNISA枠で買いましたが、まずは予定額の半分を買いました。また昨年から随分と売られた新興国通貨建ての商品も少し 買いました。償還までの期間が長めのもので、コストは少々嵩みますが数年以上の保有であれば投資信託よりコスパが良いです。これらについては再度下がるこ とがあれば追加で買付け、下がらなければ当面は追加投資をしない方針です。


 因みに、NISA口座は簡単に作れます。既に証券会社に口座をお持ちの方なら申請用紙に署名して必要な本人確認書類を添えて提出すれば1か月くらいで手続完了の連絡が来ます。有価証券の買付時に「非課税」を選択(申し出)すればNISA口座での買付けと認識されます。


(街のコンサルタント)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)