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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「脳の状態を自在にコントロールできる技術が普及した未来社会を予測する」

2019/06/28 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/06/28

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2019/06/09配信「「南キャン山ちゃん結婚」『なつぞら』『進撃の巨人』など時事ネタ+アスペルガーを天才にする脳治療レポート!」の内容をご紹介します。
岡田斗司夫ゼミ・プレミアムでは、毎週火曜は夜8時から「アニメ・マンガ夜話」生放送+講義動画を配信します。毎週日曜は夜8時から「岡田斗司夫ゼミ」を生放送。ゼミ後の放課後雑談は「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」のみの配信になります。またプレミアム会員は、限定放送を含むニコ生ゼミの動画およびテキスト、Webコラムやインタビュー記事、過去のイベント動画などのコンテンツをアーカイブサイトで自由にご覧いただけます。
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2019/06/09の内容一覧


「集中力を維持する」装置と実験

 さて『人の気持ちが聞こえたら』の無料放送での紹介はここまでです。後半の限定放送では、もっと詳しく話しますけど。
 なので、ここから先どうなるのか、簡単に紹介します。

 ロビソンは、この後、ついにTMSの治療を経験するんですけども、その効き目はすさまじく、まるで周囲の人が考えていることをテレパシーのようにわかるようになるんですね。
 その結果、彼と同じくアスペルガー症候群だと診断を受けた自分自身の息子も、この治療を受け始めます。
 しかし、同時に、奥さんとの関係は徐々に崩れていく。
 そんな中、新しい世界も見えて行く。彼とは別の人が受けたTMS実験も、成果をあげて行く。
 例えば、抑鬱症に対する治療としても、TMSは目覚ましい成果を上げつつあるんですね。

 これが、日本でも行われているTMS治療の写真です(注:ここではTMS装置を脳卒中後遺症やパーキンソン病の治療を目的として使っていますが、精神科領域でも、うつ病などの治療法として現在世界各国で研究されています)。

 「もし、電磁エネルギーだけで脳を修理できるのだとしたら、脳が身体に対して自力で修復を命じることもできるのではないか?」と。「薬よりも有効な医学になるかもしれない」と。アルバロ教授はそう考えています。
 「いずれは脳健康センターというのを作りたい」と。
 多くの人は筋肉を鍛えるけれど、脳を鍛える人というのはほとんどいない。しかし、脳が健康なら、無理やり身体の健康を保とうとするよりも健康でいられるはずだ、と。
 脳を調整することで、身体のそれぞれの部位に対して「こういうふうに治れ!」と命令することが出来るんじゃないのかと、アルバロ教授は考えているんですね。

 例えば、ダイエットとか、禁煙とか、運動不足というのに対しても、脳自体に「食べたくない」とか、「タバコを吸いたくない!」、「運動したい!」というふうに命令させることが出来れば、僕らはシンドい思いしなくても良くなるわけですね。
 今はまだ、臨床実験の段階だけども、この技術が一般に使われるようになったら、ごく普通にメガネやコンタクトレンズのように普及したらどうなるのか?
 後半の有料放送では「今、僕らが必要だと思っている空気を読む能力、他人の表情や仕草を読む能力すらも、意味がなくなるかもしれない」という、このTMS実験が持つ将来の展望まで、一気に語っていきたいと思います。

 実はこの、TMS実験というのは、以前のニコ生でも紹介しています。
 『ホモデウス』を特集した回で「脳への電極で才能が100%活性化した」という事例を紹介しているんですけど。
 今日は、そんな『ホモデウス』の放送回の録画映像を用意してますので、ちょっと見てください。


(録画映像開始)
 これは、第3章の「ホモ・サピエンスによる制御が不能になる」に出てくる経頭蓋直流電気刺激装置という機械です。
(パネルを見せる)

 これは、人間の脳とかおでことか、いろいろなところに電極を当てるものだと思ってください。そうやって、微弱な電流を流すという機械です。
 脳の特定の部分に電極を当てて、例えばプラス極が当たっている脳の部分は、活性化されて、マイナス極が当たっている部分は沈静化される。そうやって調節するというのが、この機械の面白いところです。
 まだまだ試験中なんですけど、すでにアメリカでは「医療品として売らなければいいんだろ?」ということで、ゲーム機として発売されています。
(パネルを見せる)

 これがゲーム機として売られている「シューティングゲームをやる時に装着すると集中力が上がる」という、FOC.USという名前のデバイスです。「フォーカス(集中)」と掛けたダジャレみたいな名前です。検索したら商品が出てきます。

 この経頭蓋直流電気刺激装置というのは、もともと統合失調症の治療に開発されたデバイスです。一部では、これを使っての治療も始まっています。
 成果はバラバラで、「ものすごく成果があった!」という場合もあれば、「あまり成果が上がらなかった」という場合もある。
 「これで、うつ症状がなくなる」ということで、この機械を、胸のあたりにコンピューターとか電池を埋め込むペースメーカーみたいに、脳に直接埋め込んだ人もいるんですよね。
 うつ症状になりかけるとうつを起こす部分をマイナス極で沈静化して、元気が出る部分をプラス極で活性化させていく、ということをするそうです。

 ある患者が、これを埋め込む手術をしたんだけど、何か月かして「やっぱりダメです。どうしてもシンドくて……」と言うので検査してみると、電池が切れていた、と。どうも、埋めた電池がちょっと古かったらしいんですね。
 で、電池を変えたらめちゃくちゃ明るくなって、「どうも!」って言って帰っていったという話もあるそうなので、効果がすごくある場合もある。
 まだ、一般的な治療で使われるものではないんですけど、日本でもそろそろ臨床試験が始まっています。

 アメリカの軍部が、この機械に目を付けました。
 オハイオ州にライトパスターソン空軍基地という施設があります。……「ニューメキシコ州のロズウェルに墜落したUFOの宇宙人の死体が保管されている」ということでも有名な、ライトパターソン空軍基地なんですけど(笑)。
 しかし、実際は、もっと地味で、もっとすごいことをやっています。
 このライトパターソン空軍基地には、「人間がどれぐらい有用なのかを測る」という「Human effectiveness directorate(人間有用性局)」という部局があり、そこでは、狙撃手やドローンのパイロットの集中力を長時間維持するための研究というのをやっているんです。

 数年前、イギリスの科学雑誌ニューサイエンティストの記者のサリー・アディーという人が、特別に取材を許可されて、あるヘルメットをかぶりました。
 人間有用性局で研究している狙撃兵の集中力を増すためのヘルメットです。
 狙撃兵の集中力というのは、だいたい25分から40分と言われているんですけど、このヘルメットをかぶれば、6時間、場合によっては12時間ぐらい、集中力が持続すると言われています。
 そのヘルメットを被る実験にサリー・アディーは参加しました。

 最初、サリーはヘルメットを被らずに戦場シミュレーターに入りました。
 戦場シミュレーターでは、自爆用の爆弾を持ったテロリストが、サリーの元へ次々と走ってくる映像が映ります。ライフルを持たされたサリーは「そいつらを撃て!」と言われるんですけど、なんとか1人を撃ったら、その後ろから新たな3人が現れる。
 結果、サリーはパニックになって、ライフルを捨て、シミュレーターから逃げ出したそうです。

 次に、サリーはヘルメットを被らされました。
 だからといって、ヘルメットを被っても何の変化もないんですよ。「口の中が金気臭くて、アルミのスプーンを加えているような金属っぽい味がするな」と思った程度で、シミュレーターの中に入ったんです。
 すると、以前とは打って変わって落ち着いて、ランボーやシュワルツェネッガーになった気分で、押し寄せる敵をバンバン撃てるようになっていたんです。前のようにパニックも起こらずに、あっという間にシミュレーションは終わっちゃったそうです。
 前に入った時は、すごくいつまでも襲われ続けて逃げ出したのに、今回はすぐに終わった。だから「機械の故障かな?」と思って聞いてみたら、「いや、あなたは敵の全員を殺しましたよ」と言われてビックリしたそうです。
 サリーにとっては、全てが一瞬のことだったんです。最初にやった時は、1人を撃っただけでもパニックで逃げてしまったのに、ヘルメットをかぶったら、何十人もいた敵を全て殺し尽した上に、そういった意識がほとんどなかったそうです。

 サリーの話はここからなんですよ。
 この実験に参加してから数日間、サリーの頭の中から一切の雑音がなくなったそうです。
 どういう意味かというと、人間は誰しも、心の中にいろいろな声というか、雑音があるじゃないですか。例えば「ちょっと暑いな」とか、「帰りにゴミ袋を買いに行かなきゃな」とか、「あれ、今流れてるの、なんて曲だっけ?」とか。いろいろなことを頭の中で雑音のように呟いていますよね?
 それが、実験に参加してから数日間、一切なくなって、完全な静寂による完全な集中が可能になったそうです。
 そして、その集中の中で、サリーがずっと考えたことは「今すぐシミュレーターに戻って、あのヘルメットをもう一度かぶりたい」ということだったそうです。

 サリーは、後にこんなことを言っています。
 私たちは子供の頃から、自分の心に敵意や恐怖とかをささやかれ続けてきた。
 例えば、「あいつにはかないっこない」とか、「そんなの自分にはできっこない」とか、そんな声をいっぱい聞いていた。
 そのせいで、「あいつは嫌いとか」、「自分には出来ない」とか、自分で自分を説き伏せていたことがいっぱいあった。あいつらの正体なんだったんだろう?
 もし、この機械が実用化されて、みんなが私みたいに、あの声が聞こえなくなったら、これからの世界はどういうふうになるんだろう?
(映像終了)


 はい、いかがでしたか? ちょっと懐かしい映像を見ていただきましたけども。

 実は、この軍事への応用というのは、この本の中にも出てくるんですね。
 リンジー・オバーマン博士という、ロビソンに最初に話しかけた地味なお姉さんの同僚に、シャーリー・フェクトという人がいます。
 このシャーリー・フェクトが研究している軍事への展開という話が、この本の中に出てくるんですけど、それが、今、話したことだったんですね。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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