岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/02/15

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2019/01/20配信「『攻殻機動隊』講義~マンガ版第0-1話を徹底的に語る」の内容をご紹介します。
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2019/01/20の内容一覧


『攻殻機動隊』講義 第2回 第1話「PROLOGUE」前半3ページ

 前回は第0話ということで、たった1ページしかない第0エピソード「GHOST IN THE SHELL」を語りました。
(パネルを見せる)
 「大きいビルが出てきて、いよいよお話が始まるよ」ということです。ここから、第1話「PROLOGUE」に繋がります。
 段々と、街全体の空撮から、前回、話しました「メガストラクチャー」ではなく、高さ数百mのところにある人工地盤の上に建っている小さいビルにカメラが寄っていきます。
 面白いですよね。これまでのSF映像作品では、だいたい、こういう時は、一番大きな建物、メガストラクチャーのような大舞台に寄っていくものなんですけども。『ブレードランナー』でも、なんでも、全部そうなんです。ところが、この『攻殻機動隊』では、その中でも一際小さいビルにカメラが寄っていきます。
 そして、『攻殻機動隊』の第1話「PROLOGUE」が始まります。

 いきなり、5万倍に拡大したニューロチップという、コンピューターチップを見開き見せるところから始まって、お話が始まっていくんですね。
(パネルを見せる)
 このニューロチップはちょっと置いといて。
 この小さな8階建てのビルでお話が始まるんですね。さっきも言った通り、巨大なビルがいくつも見える風景から、その中の小さいビル郡になって、さっきまで映っていた高さ数千m、ひょっとしたら1万mくらいあるビルから、たった8階建ての小さなビルに寄って行くところからお話はスタートします。
 ここは、後で話しますから、覚えておいてください。

 では、「PROLOGUE」の第1ページ目ですね。
 「これは1998年、播磨研究学園都市で作られた成長型ニューロチップを5万倍に拡大したもの」というふうにあります。
 これが5万倍です。このパネルは、たぶん、ほぼ原稿と同じサイズなんですね。これが5万分の1だとすると、だいたい1辺が0.006ミリ。1ミリの1000分の6のサイズのチップです。
 これは「細胞」ですので、生体部品などを使ったコンピューター技術というのがこの頃発達してきた、ということですね。
 これが、この『攻殻機動隊』というマンガの世界では、1998年の出来事となっていますので、「30年前の時点でここまで進歩していた」というふうに言ってるんですね。

 「この1辺が0.006ミリ」というのがどれくらいの小ささかというと、「PM2.5」っていうふうにいうじゃないですか。中国から来る、まあまあ身体に悪い微粒子みたいなものですね。フィルターを通ってしまうので、マスクとかをしても無駄だと言われています。
 あのPM2.5というのが「1000分の2.5ミリ」なんですね。だから、あれよりもちょっと大きいくらいだと思ってください。
 髪の毛が、だいたいPM30くらいだというので、これの6倍くらいの太さが髪の毛だと考えて頂ければいいと思います。
 これが30年前の技術ですから、この『攻殻機動隊』の中では、おそらくもっと小さくなってくるだろうと思われます。

 この解説の中でですね「まだ開発段階の生体部品なので、過剰成長で細胞が死にかけて、各所で神経細胞の断裂が見られる」と書いてあるんですけども。
 こういうところを、やっぱりみんな飛ばして読んじゃうんですね。

 じゃあ、どういう意味なのかというと。
 おそらく、こういう白くなっている部分がありますよね。ここらへんが神経細胞が壊死している部分なんですね。
 では、これがなぜ死んでいるのか?
 これ「神経細胞の断裂が見られる」と言われても、このページの見方がわからないんですね。成功しているのか失敗しているのかもわからないんですよ。だって「神経細胞の断裂が見られる」とか、「成長過剰で死にかけてる」としか書いてないんですから。

 ここで注意すべきは「成長過剰」ということなんです。
 この計画は成功しているんですよ。人間の生体部品みたいなもの、脳を構成している神経線維、ニューロンみたいなものを、コンピューターのチップの上で培養することに成功して、それが過剰に成功して、もうコントロールが効かなくなっている。だから「過剰成長している」んですね。
 そのおかげで、一部、死んじゃってる部分もあるんですけど、それ以外は過剰成長しているから、制御できないくらいの思わぬ成長を見せて、もう作った人間ですら何をやっているのかわからなくなっている。

 いわゆる、配線式とか、もしくはシリコンチップで作っているコンピューターというのは、どこまでいっても人間が作った物であり、設計図通りに物が出来ているんですよ。
 ところが、こういった生体部品で、勝手に成長するものというのは、思ってもみない形にどんどん過剰成長しちゃうもんだから、もうすでに、作った人間ですら、その仕組みがわからなくなってる。
 それが、30年前の姿なんですね。

 つまり「「バイオチップ」という、この作品の中に出てくるコンピューター技術、ネット技術というのは、すでに作った人間でもその中身がわからないようなものになっている」というのが、このコマの読み方なんです。

 前回、『攻殻機動隊』を成立させる3つのキーワードの話をしました。
 1つ目が「終末戦争とサイバーパンク」、2つ目が「バブル経済」、3つ目が「ニューロチップ」です。
 これがそのニューロチップなんですね。つまり、これが『攻殻機動隊』という作品の中の最後のキーワードとなっている概念なんですけど。

 そういったものが、作った人間ですらもうわからないくらいの発展を遂げている世界。
 それは僕らが今知っているような、スマホなんかの、2017年現在使っているコンピューターよりも遥かに進んだものが、この中には描かれているということですね。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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