岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/01/22
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、過去記事から「宮崎駿」の特集をお届けします
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お勧め記事一覧
【風立ちぬ】堀越二郎の「美しいものしか見えない」眼鏡
(『風立ちぬ』の)眼鏡っていうコンプレックス、ホントにあれはよく描いたと思います。
宮崎駿にしてみれば、彼自身が眼鏡ということも関係してるとは思うんですけども、まず主人公の堀越二郎が眼鏡をかけてるっていう、その眼鏡があるからパイロットになれないというコンプレックスを真ん中に持ってきたこと、映画の中でその眼鏡っていうのは本当に、何回も何回も、たとえば、菜穂子のからだが心配で、涙をぼろぼろ流しながら、計算尺をいじって、汽車の中で計算しながらやるときに、その涙が、目から流れ落ちるんじゃなくて、一回、眼鏡に引っかかって、眼鏡からぼろぼろ、ぼろぼろ落ちるというような、やり方をしてるんですね。
そんなふうに、この彼にとって現実というのは、たぶん生涯見えてないんだ、そうじゃなくて、現実というのを生涯見ずに、眼鏡というフィルター、美しいものしか見えないっていうのがどれくらい辛いことであり、生きざまとして見苦しいものであるかもしれない、というようなことを言ってるんですね。
人格者宮崎駿の「人でなし」とは
これ何かって言うと『夢と狂気の王国』っていうスタジオジブリのドキュメント映画見たことありますか?
スタジオジブリにドキュメンタリー作家の女性の監督さんが入って来て、本当は『かぐや姫の物語』『風立ちぬ』が同時公開だったんですね。それを密着ドキュメントしたんだけども、『風立ちぬ』は全部撮れたんだけども、結局『かぐや姫の物語』は作画インしてちょっとぐらいしか撮れなかったという、遅れたんですけども。まぁそういう作品があるんですけど、そのドキュメンタリーの中で宮崎駿さんがサンキチさんっていう、ジブリの女性スタッフですね、けっこう小柄で可愛いタイプの女の子で、イラストなんかも上手いんですよ。
それが宮崎駿にすっごい可愛がられてるんですね。その可愛がられてる様を延々映すんですよ。
で、延々映して、途中で何かそのことにパッタリ触れない10分ぐらいの尺があって。
で、10分ぐらいしたら、サンキチさんが実はもうすぐ結婚するという話で、それでジブリの中でサンキチの結婚するという話を誰が宮崎駿に言うのかっていう会議になってですね(笑)。
もうしょうがないって顔をして鈴木敏夫が「しょうがない、じゃあ俺が言うよ」って言って(笑)、急にカメラがロングになって、すっごい遠くのところで宮崎駿と鈴木敏夫が二人っきりで話してて、もう宮崎駿が足元の石を蹴らんばかりにチェッみたいな感じで「わかってるよ」みたいな感じなんですね(笑)
これがすごい面白かったんですけど、宮崎駿って恋に落ちやすいって言うのかな。
必ず、必ずということもないんですけども、いつもいつも身近な女性の誰かに恋をしているっていうのがあるんですよ。
これが人でなしではないんですよ。これだけだったら、ただ単に気が多いとかそれだけなんですよ。
宮崎駿は、間違えてはいけないのは、すごい人格者なんですよ。
これは間違いがない。
すごい人格者ですごくいい人なんですけど、でも人でなしなんですね。
「ナウシカの奇跡」「巨神兵」のアニメと原作の違い
ジブリの本によると、宮崎駿さんは映画版のラストシーンでも、王蟲が迫ってきて、ナウシカがそこに立っているラストシーンにしたかったんだけど、高畑勲と鈴木敏夫が2人がかりで、「これでは映画としてのカタルシスにならないよ!」と言って、「生き返ることにしよう」と言ったと。
それで生き返らせたんだけど、本人は「あれで結局、宗教映画になっちゃったよ」と。
でも、その宗教映画にしたおかげで、アニメ版の『ナウシカ』は大ヒットした。
なので、いつまで経っても「『ナウシカ』は、そういう話だ」と、みんなに思われてると、いまだに宮崎駿は、あんなラストにしちゃったことを後悔してる。
人間を描いたはずなのに、ラストにほんの気の迷いで奇跡を入れちゃったばっかりに、鈴木敏夫と高畑勲に口説かれて、奇跡を入れちゃったばっかりに、「俺が一番嫌いな宗教映画を作っちまったよ」と。
「『ナウシカ』は奇跡のラストだ」と思ってますよね、みなさん。
「ナウシカの愛が世界を救った」みたいに思ってるじゃないですか。あれはもう宮崎駿からしたら「だから俺はイヤだと言ったんだ!」ドッシン! ドッシン! というような、ニュアンスだそうです。
いい話ですよね(笑)
心を癒やす『地獄の黙示録』のような『千と千尋の神隠し』
さてさてさて。宮崎駿の『千と千尋の神隠し』と『ハウルの動く城』と『崖の上のポニョ』というので、僕が思うに「精神分析3部作」ですね。
宮崎駿がもう自分の分析をしちゃうと。
『千と千尋の神隠し』が、じつは最も人気高いんですよ。
岡田斗司夫の評価は低いんですけども。たぶん、世界的な評価は高いです。
公開年あたりからしたら、世界中でファンタジーブームがあった頃なんですね。2001年の公開年っていうのは世界中でファンタジーブームがあって、ハリーポッターの日本語訳とかが翻訳され始めた頃です。
『千と千尋の神隠し』は日本版のファンタジーということで、アカデミー賞も受賞して、興行記録、前の2100万人をさらに塗り替えて2350万人という、もう本当に金字塔のような記録を立てました。
たぶんこれが今のところ日本映画の最大記録だと思います。
翌年のベルリン国際映画祭としては、アニメーションとしては初めての金の熊賞を受賞して、2003年のアカデミーの長編アニメ賞、これ長編アニメを、外国作が取るのって本当に難しいんです。
っていうのは、アメリカ人はAmerica as No.1っていうのとか、あとMade in Americaっていうエンターテイメントに関しては国産にすごいこだわるところがあって、たとえば『レオン』がすごかったらそれのハリウッド版作っちゃおうっていう発想はあるんですけども、『レオン』そのものを観に行こうという発想はあまりないんですね。
その中で長編アニメ賞を、もうディズニーが調子悪い時代でもなくてピクサーもある時代なのに、ジブリの宮崎駿が取っちゃうって、本当にとてつもないことだと思うんですけども。アカデミーの長編アニメを作りました。
で、この時も『千と千尋の神隠し』の時も、もう引退しますというふうにもちろん言ってます。
内容的には、それまでにあった自分の中のエロチックなものとか、あとグロいものっていうのをちゃんと出してます。『千と千尋の神隠し』の中のエロとかグロっていうのは、すごい程よい感じで、芸術化されてるというふうに僕は思っているんですね。
生の形で出しちゃうと、『もののけ姫』になっちゃうんです。特にグロのほうは。残酷なシーンとかそのまま出しちゃうと。
でもそうでなくて、人間の中からゲロゲロゲロっていうふうに出てくるものとして描いたりとか、あとエロのシーンとかも、湯屋で働いている女の人達が前掛けだけが下着で、その上に袴と上着しかないというか、そういうふうな抑えたエロさっていうのが、本来日本が持っているエロさっていうのを出せたと思うんですね。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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