岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/01/21

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2019/01/13配信「『ナニワ金融道』で学ぶ『風の谷のナウシカ』、『耳をすませば』でさぐる宮崎駿のすごさ」の内容をご紹介します。
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2019/01/13の内容一覧


ブラナウシカ 前回のやり残し、トルメキアの襲撃

 これは、前回お見せした『風の谷のナウシカ』の風の谷周辺の地図です。だいたい、物語の前半は、この中でドラマが展開していくんですけど。
(パネルを見せる)
 「酸の海」があって、その向こうに「腐海」がある。こここら辺の土地は海抜1000mくらいの台地になっています。
 この酸の海と「塩の海」の間には、かなりの段差があります。そこから、谷を下る細い渓谷が曲がりながらずーっと走っていて、城があり、城の周りに村がある。そこからさらに低くい土地には、畑が広がっていく。
 こんな感じです。

 巨神兵を運んで来たトルメキアの飛行船が最初に墜落したのが、城より少し低い位置にある畑の辺りですね。
 その後、クシャナの率いるトルメキアの軍艦が飛んで来ましたが、この時、彼らが取ったルートというのが、腐海側から谷を抜けて侵入するというものでした。だから、かなり悪意のある襲撃だったというのがわかりますね。
 もし、塩の海の側から来たんだったら、谷から見えるので。おまけに、塩の海の方には腐海の胞子がないので、それだったら安全だったんですけど。
 それを、わざわざ腐海の側から、船体に胞子をくっつけた状態で、渓谷の方から風の谷に突如現れるような形で侵入して来て、城の手前にある村の真ん中辺りに強制的に着陸して、そのまま城に取り付いて制圧したわけですね。
 ナウシカ達は、ちょうどその頃、前日に飛行船が墜落した辺りで、復旧作業に当たっていたんですけども。そこでハッと見上げると、もうトルメキアの軍艦が谷の仲間で入ってくるのを目撃するということになったわけです。

 こうやって地図を見ながら考えると、この辺の、トルメキアの地形を利用した悪辣な襲撃と、なぜナウシカがあんなに怒ったのかというのが、わかると思います。
 正々堂々としたいなら海から来るはずなんですけど、そうではなくて、危険な胞子を浴びる可能性の高い谷の合間をわざわざ潜ってきて、強制的に着陸したというのが悪いわけですね。

 その後、このトルメキアに占領された村では、墜落位置から巨神兵の卵というか蛹を、畑を突っ切って城の方へ運んで来るわけですね。
 ここでは、運搬作業として、戦車で引っ張り上げていたけど、それはなぜかというと、城と畑の間が段斜面になっているので、引っ張り上げる必要があったからです。

 ナウシカたちが別のところに行っている間に、村では「やっぱり胞子だ!」、「この木はもう焼かねばならぬ」、「ババ様……!」というやり取りがあります。
 ここで、大ババ様たちは、焼かなくてはいけない木を指して「村の水を守ってくれた」というふうに言ってます。つまり、村の一番高い場所にある貯水池の近くの葡萄畑の木がやられたわけですね。
 この木がやられたので、村の者たちは城に行って「我々の燃やす道具(火炎放射器)を返してくれ」と、トルメキアの占領軍に訴えます。その結果、「しょうがないな」と貸してもらって、ここで木を焼いていたんですけども。
 ここで村の人達の怒りはついに頂点に達して、武装蜂起に出て、城を襲うことになります。
 つまり、城より遥かに高い位置にある葡萄畑から、坂道を下り降りるようにして攻撃したから、城の方は防戦一方になってしまったわけですね。一度、上を取ったから、この戦闘がちょっと有利に働いた、と。

 しかし、最終的にはトルメキアの正規軍に押されて、村の人達は撤退せざるを得なくなります。
 冒頭でユパがすごい砂嵐の中を延々と下ってきたこの崖の道を、村人達はトルメキア軍から追われて登って行って、この砂漠に出て、さらに「蟲除けの塔」を越えて、「宇宙船」に立て籠もり、トルメキア軍と対立するようになったわけですね。

 こういうふうに、地図を見てみたり、もしくは自分で地図を描いてみると、物語全体でどういうことが起きていたのか、よくわかるんです。

 住民たちの武装蜂起というのが、どれくらい命がけだったのかというのがわかりますよね。
 つまり、谷の上から城に向かって戦闘している限り、そこから退却するということは、貯水池を越えて谷を上がって行くしかないんです。
 普段、自分達はこの谷の風によって守られている村にいるわけです。そこを出て、砂に胞子が混じった危険な地域を登って、この宇宙船の辺りに立て籠もるしかないんですね。もう、風の向きが本当に少しでも変わっちゃったら、自分達の命の危機すらある。
 そういう命をかけた反乱だったというのが、この地図を見ればわかると思います。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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