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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「全クリエイター必見!『王立宇宙軍』を教材に、異世界の作り方教えます」

2018/10/15 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/10/15

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2018/10/07配信「ガイナックスの処女作&岡田の初プロデュース作品『王立宇宙軍 オネアミスの翼』を「異世界間構築」の視点で語る!」の内容をご紹介します。
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2018/10/07の内容一覧


異世界文字をどう作るか

 この『王立宇宙軍 オネアミスの翼』という映画を作るに当たって、僕らは「完全な異世界感の構築」というのを目指しました。まあ、完璧な異世界感と言ってもいいですね。
 では、そんな完全な異世界感というのはどういうことか? 例えば「文字」です。

 これは、『メアリと魔女の花』に出てくる文字です。
(パネルを見せる)
 ファンタジー映画の多くには、その物語世界の中でのみ使われる「異世界文字」というのが出てきます。
 『メアリと魔女の花』では、メアリーが偶然手にした魔法の本の表紙に、模様みたいに独自の文字が書いてありますが、これが異世界文字なわけですね。
(パネルを見せる)
 これは、後に大学に行った時に、大学の先生が黒板に板書している文字です。
 他にも、図鑑のような本を開く描写の中でも、図案の周りの説明文っぽいところにグニャグニャっと、異世界文字が描いてあります。これらは、かなり絵のうまい人が描いているので「それっぽい文字」に見えるんですけども。
 まあ、異世界文字というのは、こういうパターンで作られるものが多いです。

 『メアリと魔女の花』というのは劇場作品だから、予算も製作期間もたっぷりあるんですけど。一方で、最近は予算が貧困なテレビアニメの異世界モノでも、オリジナルの文字を作ろうというところが多く現れています。
 例えば、これは『異世界食堂』のワンシーンなんですけど、お店の黒板に「本日の日替わりメニュー」というのが異世界文字で書いてあるんです。
(パネルを見せる)
 まあ、なかなか複雑なオリジナルの文字のようにも見えるんですけども、横に倒して見たらわかる通り「ホンジツノヒガワリ ホカヨリモオモトメヤスクナッテオリマス」というカタカナを、そのまま90度回転させただけなんですよね。一瞬だけ、まじめに「これって楔文字か!?」とか思った自分が馬鹿みたいに見えるという(笑)。
 まあ、こういう、ちょっと面白いパターンもあります。俺、こんなシンプルな変換をやったテレビアニメを見るのは久しぶりで、ちょっとビックリしたんですけど。

 異世界文字というと、最近の作品で有名なのが『Re:ゼロから始める異世界生活』ですね。
 『リゼロ』に出てくる文字については、「アニメごろごろ」さんというブログの中で、taida5656さんという方が「『リゼロ』に登場する異世界文字は、アルファベットをこういう法則で変換しているよ」とか、「あいうえおの変換もあるよ」というふうに解析した結果を発表してくれています。
(パネルを見せる)
 このtaida5656さんは「『リゼロ』の異世界文字には、平仮名とアルファベットの両方があって、ひょっとしたらその他にもあるかもしれない」と仰っています。

 同じように、『HUNTER×HUNTER』でも「あいうえお」に対応した、あの世界独自の文字というのが使われていますね。

 『王立宇宙軍』でも、同じように「あいうえお」と「ABC」の両方に対応した文字を独自にデザインしているんですけど。これには理由があるんです。

 まあ、とりあえず見てみましょう。
 さっき紹介した八王子でやってる『王立宇宙軍』の展示会の何が良いかって「写真撮影自由」なところなんですよね。
 なので、僕も久しぶりに見た資料をバシバシ写真に撮ってきました。これから見せる写真も、全部、そこで撮影したものなんですけど。

 これが『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の中に出てくる文字を「あいうえお」に対応させた表です。
(パネルを見せる)
 なぜ「あいうえお」に対応するように作るのかというと。『メアリと魔女の花』みたいに、グニャグニャとそれっぽく続けて書いてもいいんですけど、あれをやると、長い文章とかを見せた時に段々とボロが出てきちゃうからなんです。
 日本語が持っているような「文節の区切り」や、英語にあるような「単語の区切り」。そういうものがないと、文章としてギッシリ書いた時に、異世界文字って、すごい嘘くさくなっちゃうんですよ。
 なので、無理矢理でもいいから、アルファベットとか平仮名に対応させて、現実の世界にすでに存在している文章を書き換えるようにする。そうするとリアリティが出るんです。
 異世界文字にリアリティを出そうと思ったら、基本的には自分の母国語に対応させる形で作る方が良いんです。僕らの場合は母国語は日本語ですから、日本語にあるような「平仮名」から「漢字」までを異世界文字で作って、現実にある日本語の文章を忠実に置き換えるというのが、鉄板のやり方です。

 ちなみに、この表に描いてある異世界文字は上下2段の2種類の表記があります。
 これは、上の段が「毛筆文字」で、下の段が「活字」になっています。こういうふうに作っているんですね。

 次に見せるのは『王立宇宙軍』で使われている数字です。
(パネルを見せる)
 『王立』の中での数字は、十進法ではなくて「十二進法」で作られてます。
 この表の中には「0」が描かれていませんが、この「0」に対応した文字も、後で「丸の中に点がある」というデザインを考えて、追加しています。

 なぜ、十二進法にしたのかというと「『王立』の舞台となる国が合理性より歴史性を重んじる国だから」ですね。
 現実の歴史でも、自分たちを先進的で合理的だと思っていたフランスがナポレオンの時代から十進法を採用したのに対して、自分たちを保守的で歴史的であると思っていたイギリス人は、かなり長い間、十二進法に拘っていました。
 ポンドとペンスの関係が十進法になったのは、僕が中学か高校くらいの時期でした。それまでは、結構、いろんことを十二進法でやっていて、すごくややこしかったんです。
 なので、イギリスのように歴史に拘る国というのは、いまだに十二進法を採用しているんじゃないかと思って、十二進法の数字を作ったりします。

 この表の下の段に描いてあるのは「古代装飾文字の数字」です。
 これはどういう時に使うのかというと、例えば「ルイ十二世」みたいな王位を表す時とか、大きな宗教的な事件があった年号を表記する時には、この古代の象形文字の飾り文字で表記するというルールを作りました。

 その下には、こういった数字を使って賞品の値札を書くとこんな感じになる、とか、時計に数字を書く時はこんなふうになる、というパターンが描かれています。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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