岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/09/04

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2014/10/26配信「Gレコというか富野由悠季の読み方とニューヨーク土産話」の内容をご紹介します。
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2014/10/26の内容一覧

質疑/作者の才能の搾り方が特殊なマンガという娯楽

 なぜ人は、小説じゃなくてマンガを読むのか。
 あのさ、何か語る時って、マンガ本体だけを語ろうとするとやっぱ時々、しんどくなるじゃん。
 なので、ここにじゃあ代わりに映画とか小説とかほかのものを持ってきて、この差で語ればいいんだよね。マンガ本体だけを語ろうとすると、やっぱ時々しんどくなるじゃん?
 なので、ここにじゃあ代わりに映画とか小説とか他のものを持って来て、この差で語ればいいんだよな。
 じゃあ、創作、人は創作を見る生物であるというふうにするんだったら、なぜ映画見る人はマンガを読まないのかとか、映画見る人でもマンガ読む人と読まない人がいるんだろうとか、そういうふうに考えてみるとわかりやすいんだけども。

 マンガっていうのは一人の人間の才能の搾り方が尋常じゃないんだよ。
 たとえば映画作家、映画監督でも才能は搾り取られるよ、一つの作品にでも、2時間の映画作るのにやっぱ最低でも半年ぐらいかかるじゃん。半年ぐらいかけてゆっくり搾り取られるんだ。
 小説も一人の人間の才能を絞り取るんだけども、小説を集中して書いてられるのってどうやっても一日、平均でも3時間とか4時間ぐらいなんだよ。
 でも、マンガ家は違うよね
 マンガ家って、週刊のマンガ家になったら、週に7日働いて1日に16時間書くじゃん? 世界中のエンターテイメント見ても、1人の人間の才能を週に7日間、1日16時間引きずり出すっていうか搾り取るようなメディアはマンガ以外まったくないんだよ。
 これが僕、マンガの特殊性だと思う。
 だから、人はなぜマンガを読むのかっていうのは、マンガを読む僕らはそのマンガの凄さがわかるんだよな。他のミュージカルにしても映画にしても音楽にしても、他のあらゆるジャンルのエンターテイメント、それはもうアートにしてもそうだよ。村上隆はと言ってもいいし、ゴッホはと言ってもいいし、ルノアールもセザンヌも誰も一日16時間、週に七日間、5年も6年も自分の創作物にすべてぶつけてないよ。
 その意味でマンガはすごいんだ、本当に。

 マンガは僕、人類が創り出した最大の娯楽物だと本当に思ってる
 アニメ作ってるから、アニメもマンガもって言いたいんだけども、やっぱり作ってた立場から言うと、アニメの作り手っていうのはそこまで命を懸けられない、懸けられないっていうかね、そんなやることがないんだ。
 でもマンガ描く人間にしたら、アシスタントに任せてる線の1本1本まで自分で描こうと思ったら描けるし、それでクオリティが劇的に上がるのを知ってるし、それで週刊マンガとか月刊マンガってなんとか成立しちゃうんだもん。
 だから冨樫さんの『HUNTER×HUNTER』も休んでしまうのも、僕は悲しみながらも「冨樫、何やってんだ」っていうふうに言わないのはなんでかって言うと、そういうふうにしてマンガ作ってて、あの人も週に七日16時間描く体制を整えたんだけども、体がついてかなくなっただけなんだよ。
 前の『幽遊白書』やってて、『レベルE』やってる時、『レベルE』の時に全部自分で描くっていうふうに決めて、そのマンガ家の生き方を僕らは応援することはできるんだけども、買わないって選択肢もあるんだけど、批判することはできないんだ。
 マンガ家が自分で選んだ人生だからね。こういうふうなマンガ描くと。
 でも、その結果やっぱ自分の描くマンガにとんでもない労力かけて、みんなマンガ描くのが嫌になる。
 いわゆる鳥山さんみたいに描けなくなっちゃうか、冨樫さんみたいに体を壊しちゃうか、または売れなくなって消えていくという。そういう何か膨大な量のお話と絵を描ける天才を、もう大量に使って消費するような国に生まれて、それが毎週発表されてるっていう、すごいラッキーな日本という国の、50年ぐらいのたまたまの枠に僕ら生まれてるから、マンガが毎週のようにあるのが当たり前だと思ってんだけども。
 だから人はなぜマンガを読むのかっていうと、そのマンガの凄さがわかるからだよね。
 わからないやつにとってみれば、他のエンターテイメントと同じに見えちゃうんだよ。音楽とか映画とか、バラエティ番組とかお笑いとか、そういうものと同じに見えちゃうんだけども、明らかに一人の人間の才能の搾り方が違いすぎる。

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