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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「いつまで経っても終わらない!手塚治虫のアニメ地獄とは?」

2018/09/03 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/09/03

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2018/08/26配信「ジブリ「本当の」都市伝説」の内容をご紹介します。
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2018/08/26の内容一覧

手塚治虫のアニメ地獄

 日テレの24時間テレビの『愛は地球を救う』ってあるじゃないですか。1970年代から80年代の終りまで、実は、この番組の中には「2時間のアニメスペシャル枠」というのがあったんです。

(中略)

 ここで放送された手塚アニメがどういう内容だったのか?
 実は、この手塚プロが手掛けたスペシャルアニメは、第1回目の『バンダーブック』の時から「大事故」でした。

(中略)

 さて、スペシャルアニメ『バンダーブック』の製作なんですけど、まあ、手塚治虫さんのシナリオがなかなか上がってこずに、進みません。
 この『バンダーブック』に関して、手塚治虫は、原作・脚本・コンテ・原画・動画と、もう本当にすべてをやっているんです。「脚本段階から自分で全部やる!」と言っているので、これが遅れて遅れて仕方がないんです。
 もう、コンテやシナリオが出来る前から「このままでは間に合いません!」と言われて、仕方なく、シナリオがまだ半分しか出来ていないというのに、頭の方から絵コンテを描いて、それが仕上がったら、次に自分で原画を描いて、それが終わったら、自分で動画を描き始めるという、継ぎ接ぎみたいな作業を延々とやってたんですけど、終らないんです。
 おまけに、この時期の手塚治虫というのは『ブラックジャック』のヒットによってマンガ家として復活した後だったので、マンガの連載もそこそこ抱えているんですよ。なので、ただでさえメチャクチャ忙しい。そんな中、アニメの仕事もすることになったもんだから、『バンダーブック』の製作というのは、どんどん遅れて行くんです。
 そして、ついにオンエアの2ヶ月前、制作デスクが失踪してしまうんですよね。その人、本当にどこかに行ってしまって、いまだに見つかってないんですよ。

 この辺りの事情は、『ブラックジャック創作秘話』というマンガの中に描いてあります。「アニメ地獄」というタイトルの回です。
(パネルを見せる)

(中略)

 その5年後の1978年に「アニメをやります!」と嬉しそうに言い出すんです(笑)。
(パネルを見せる)
 「なぜですか? もうやらないと言ったでしょう?」って、社員は言うんですけど、「いや、2時間のアニメですよ? テレビで2時間のオリジナルなんてやるなんて、世界初です!」と。
 この「世界初」という言葉に弱い手塚治虫は、その嬉しさで、5年前に「もう2度とアニメはやりません!」と言ったことを忘れて、もう舞い上がっちゃってるわけですね。

 さて、手塚プロでのアニメーションの作り方というのは、まず「手塚先生がコンテを切る」、その後「手塚先生がチーフと相談した後、外注スタジオに原画を依頼、回収」。「チーフが原画をチェックして指示したら、完成原画を動画スタジオに依頼、回収」。その後「撮影して、ラッシュ(部分上映)して、その後に編集をする」。
 これがまあ、手塚アニメの、というか、普通のアニメの作り方なんですけど。まあ、手塚さんのアニメですから、自分でコンテを切って、その後の打ち合わせまで全部しなきゃいけないんです。
 それも、かなりの数の連載を抱えながら、ですよ? 世の中には、1本の連載も出来ないマンガ家がいるのに、何本も連載をしながらこれをやるんです。そんなもんだから、メチャクチャ忙しいわけですね。
 まあ、こんなふうに進む予定だったんです。

 ところが、「出来たのこれだけ?」ということで、手塚治虫の絵コンテが上がらないから、原画の発注がまったくできない。
 原画が出来たら、次は動画に回さなきゃいけないんだけど、それがまとめて届かずに、1カットとか2カットずつで五月雨式にパラパラと上がってくるもんだから、外注も仕事に入りにくい。
 「これ、間に合わないんじゃないか!? どうすればいいんだ!?」ということで、みんな、徐々にパニックになっていきます。
 そんな中、放送2ヶ月前の段階で制作担当デスクが突然の失踪。これは、有名な事件なんですけど。

 ということで、もうみんな手塚先生を「どうすればいいんですか、先生!?」「先生!」と追い詰めます。
 これには流石の手塚さんもパニックになったんですけども。「とにかく、どんな状況なのかみんなで調べてください」と言って1人で部屋へ戻ってから、次の日、「みなさん、明日の夜に会議をやります。会議で問題点を洗い出せば大丈夫です!」と言うんですね。
 ここで手塚治虫は「絵コンテはほぼ仕上がってますから!」と言うんですけども、その「仕上がった絵コンテ」は、誰も見たことがない。なので、この「ほぼ」という言葉に不安を感じながら、とにかく状況を整理するんです。

 まず、全体を「絵コンテのみでまったく製作に入っていないシーン」と、「原画や背景だけは出来ているシーン」。「一応、作画作業に入っているシーン」というふうに、いくつかの段階に分けました。
 これで、手塚さんとの打ち合わせを始めたんですね。
 さあどうしようということで、まず「このカットは、まったく手付かずの状況なんですが」と言うと、「はい! これは私が描きましょう!」と、手塚先生が答えます。
 それを聞いた新入社員はわりと嬉しそうにするんですけども。こいつは、それまでアニメを作ったことがないから、この状況がまったくわかってないんです。なので「先生……!」と、思わず喜んでしまう。
 「その次のカットはどうしましょうか?」と言うと、また「「はい! これも手塚が描きます!」と、先生が手を上げて言うんですね。
 その後も、「カット38は……」、「これも手塚がやりましょう!」、「これも手塚!」、「これも手塚!」というように、「打ち合わせ」と称して「まだ上がっていないカットはすべて手塚治虫の担当」ということになってしまいます。
 最後に「うん。もう大丈夫。私に任せてください」と言う手塚治虫の言葉を聞いて、何も知らない新人社員だけは、「わあ、さすがマンガの神様だ! 頼りになるな!」とか思ってるんですけど。ベテランのスタッフは、もう全員、嫌な予感がしてるんですね。
 そして、「しかし、これは終わりではなく始まりだったのです。アニメ地獄の」という、とんでもない状況になってきます。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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