岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/01/12

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2017/12/15配信「『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』生実況」の内容をご紹介します。
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2017/12/15の内容一覧

登場人物の心の動きと映像を対比させるエイブラムスのうまさ

(『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』実況中)

 カイロ・レンは、フォースの乱れを感じるということで、逃げたレイを追いかけている。さっきまでブチ切れてたのが、やっと落ち着いたんだろう。
 その後ろ姿を見て、ハン・ソロが、「うわー、さっき、元嫁に言われたんだよなあ」っていうふうに考えてから、「そうだよな、俺、父親だったよな」とか思って、カイロ・レンの元に向かう。「あの子を信じてあげて。」とか言われちゃったもんだから。
 「ベン!」という、昔、呼ばれていた名前を聞いて、驚いて振り返る。カイロ・レンも、フォースがあるはずなのに、後ろから近づいてくる父親に気が付かなかったんだよな。振り返るとそこにハン・ソロがいるわけだ。
 「この時をずっと待ち望んでいた」と言うカイロ・レン。これはオビ=ワン・ケノービとダース・ベイダーの再会シーンのオマージュだよね。近づいていく。

 ここら辺はね、やっぱり、ライティングに注目したいよね。
 確か、上の方に窓があるんだ。今、ドアが開いたよね。レイが入ってきた、このドアから差し込んでくる光が、ドラマ全体を作るんだよな。

(中略)

 さあ、ドラマ的にはクライマックスだよね。
 いよいよ、カイロ・レンとハン・ソロとの再会シーンが始まる。ちょうど、助けようとしても手が届かない位置にレイとフィンがいて、それを上から見守る形になっている。
 2人が入ってきたドアから太陽の光がサーッと差し込むんだけど、その太陽の光というのは、スター・キラーによってエネルギーを吸い取られているから、本来だったら、カイロ・レンの心に差すはずのこの光というのが、徐々に徐々に失われていく。つまり、「悪の手によって光が吸い取られて力を失っていって、この世界が闇に包まれていく」という状況と、「登場人物の心の切り替わり」っていうのを映像的に対比させて見せてるんだよ。
 やっぱり、ここら辺が「J・J・エイブラムス、すごいうまいよ!」って思う所なんだけども。
 この一連のドラマ的なシーンを、映像として視覚的に見せるというこの技巧を、映画館で見た時、メチャクチャビックリしたんだ。「これはうまいな!」って。

(中略)

 ほら、これね!
 2人が開けたドアによって、今、光が差しているわけじゃん。ドアの向こうに太陽が見えている。
 「息子の顔が見える」とハン・ソロが言ったとき、レンの顔には完全に日が当たってるんだよね。だから、息子もマスクを外して、顔を見せてくれる。

 この時点では、ハン・ソロにも、まだ確信がない。2人を見守るレイとフィンも、「これからどうなるんだろう?」と見つめている。
 「お前の息子は死んだ。父に似て、弱く、愚かだった」というカイロ・レン。このセリフからして、まだ自分が息子だということを引きずっているんだよな。
 ハン・ソロが「それは嘘だ。息子は今もいる」と返したこの時、カイロ・レンにだけ、スポットのように太陽光が当たっている。
 「スノークはお前の力が欲しいだけだ」ということで、説得するハン・ソロ。彼の言葉は、実は、微妙に息子に届きかけている。

 注目すべきは、目線の移動だよね。カイロ・レンは、やや目を伏目がちにしながら、眼球が左右に動いている。感情的に揺さぶられているのがわかるよな。
 それに対して、説得するハン・ソロの方は、一切、目を動かさずに、息子の顔を見ている。息子の方は唇と目線の演技で、何かを説明しようとしている。
 「ずっと苦しんでいる。この苦痛から逃れたい」と言うカイロ・レン。彼の苦しみは、結局、父親を殺すことで、解決されるんだけど。たぶん、この瞬間までは、このカイロ・レンというヤツは、悩んでる。
 うまいよね。「何をすればいいかはわかっているけど、出来るかどうか……」と。たぶん、この言葉は、どっちの意味でも言ってるんだ。「父親を殺すこと」でもあるし、「スノークを裏切って善の側に戻ること」でもある。その間で悩んでいるから、一度はマスクを捨ててる。ライトセイバーを渡そうとするんだよな。
 これを渡しちゃったら、本当に、その瞬間に、カイロ・レンは善の側に戻るんだよ。

 ところが、この時に、急激に太陽が光を失って、闇が世界を支配する。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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