岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/11/14
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2016/04/10配信「声優AV出演、アニメの疑問、パナマ文書、全部こいSP」の内容をご紹介します。
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2016/04/10の内容一覧
- フリーメーソンショップでの買い物
- イギリスの食文化とジェントリー階級
- 『まどマギ』新作はこういう展開になる
- アニメにはなぜモノローグがよく入るのか
- タックスヘイブンを解決する唯一の方法とは
- リバタリアンから見た租税回避問題
- アニメのなかの「無重力表現」
- 後半予告とイベント告知
- 前半から続き、雑談
- 週刊『スター・ウォーズ ミレニアム・ファルコン』を作る楽しさ
- 『チャージマン研!』キーホルダーと『中間管理職トネガワ』
- ドワンゴのN高校と「教養がないのはもったいない」ということ
- 「寿司職人3ヶ月学校」は豊かさの放棄
- 「巨大ロボットの戦闘」を真面目に考えてるのは永野護と富野由悠季だけ
- 今のロボットはT型フォードの時代
- サロンの告知
- 男属性女属性へのこだわりより、音楽聞くやつのほうが理解できない
ドワンゴのN高校と「教養がないのはもったいない」ということ
僕は35とか40を越えたぐらいの時から、自分には教養がないのがすっげぇイヤになってきた。
劣等感じゃないんだよ。
本当に、教養がないのがもったいなくなってきたんだよ。
たとえば僕は世界史って、本当に嫌いで、何一つ覚えてなかったんだよね。
ところが『オネアミスの翼』ってアニメを作った時に、架空の星の歴史を作る時に、歴史の知識がなかったら、すごい不便なんだよ。
たとえば「家」にしても「工業物」そうなんだけどさ、何でこうなったのか。
たとえばこのテーブルだったら、ここのカドが切れてるじゃん。これは当たったら痛くないんだけども、こういう形に行くまでに、日本の家具はどういう紆余曲折を経て出来てるのか? とか。
(中略)
そうじゃなくて、過去100年ぐらいこの星のこの国では、どんな流行があったか? 「なので、こんな説明のつかない非合理的な物が日用品として溢れてるんですよ」というのを出すのに、『オネアミスの翼』の時に、本当に苦しんで。
その時に僕は本当に教養がないから不便だわと思って。
それで朝日新聞社から出てる世界の歴史のグラフ版っていう薄い本があるんだよ。
これを古本屋で買って、かたっぱしから読んで行ったんだよ。
そうなってくると、「贅沢」という概念がいつ出来たのか? とか、「旅行」という概念が、実はイギリスの鉄道によって生まれたとか。
(中略)
この18世紀19世紀の贅沢の爆発と、あとフランスと宮廷文化の「贅沢こそが資本主義を生んだ」というのが、朝日新聞のグラフ誌で、35歳を越えて「ええっ!! そうなの!? そうなの!?」って、恥ずかしい話だけど、そんなのまったく知らなくて。
読んでて「うわーっ!?」って頭の中に入ってきて。
で、思うんだけど、僕はアニメを作ったからそう思えたんだけど、それも何だかんだ言って、小中高校の「イヤで受ける必要がない」って、その時には、まったくそんな必要がないと思ってた授業を受けてたから、それを思えたわけだよね。
じゃあ今、自分が中学生や高校生で、精一杯合理的に考えて、「これは必要だから学ぼう」「これは必要ないから学ばなくていいや」「ホリエモンも、そんなことを学ばなくていいと言っている」「ドワンゴの川上会長も、そんなことは必要ないことだと言っている」「これからの世界は、こうだ!」と言って、捨てていいモノなのかな? と思っちゃう。
何でかというと、最終的に人間に必要なのは「豊かさ」だと思うからさ。
豊かさというのは「成功」じゃないし「効率」じゃないんだよ。豊かさというのは、最終的にモノがわかっていて、ニヤニヤ出来て、楽しめるかなんだよ。
だから同じ旅行をしても、「教養」という豊かさを持ってる人間は、見るものすべてが面白いし。教養がなければ、どこかに行っても、「はあ、名物なんですか。そうですか」「はあ、ここが歴史上有名な建物なんですか。そうですか」「はあ、それが名画なんですか。そうですか」という視線でしか見れないんだけども、「教養」という最大の遊びを持っていれば、何を見ても面白い。
特に俺は、映画で架空の世界を一つ丸ごと作るというのを任されてたからさ。「家」っていうのの進化の歴史が、あの1年ぐらいの設定期間で頭に入っちゃったんだよね。
(中略)
そんなのを小学校、中学校、高校の時点で、これからの世界に必要な知識っていうのを、ドワンゴの川上会長であろうと、スタジオジブリの鈴木敏夫であろうと、わかるはずがないと思うんだ。
お前ら、世間を舐めるのもいい加減にしろと。お前らが考えてるほど、教養や知識や世界っていうのは狭くないぞ、と思います(笑)。
(中略)
僕にしてみれば、N高校は寿司職人の3ヶ月学校と同じなんだよね。
ホリエモンの言っている「寿司職人は3ヶ月学校で充分だ」
これは凄いわかるんだ。
っていうのは、「寿司」っていうのを今、70億人が楽しんでるわけだよね。世界人口のほとんどの人が、今やもう「寿司」って物を知ってて、70億人っていうのは言い過ぎかもしれないけどさ。
ロンドンに行ってたら、そこらじゅうに寿司屋があって、「わさび」ってチェーン店があって、クソまずい寿司が売ってるんだよね。クソまずい寿司が売ってるんだけども、なんであんなクソまずい寿司が売ってるのかっていうと、寿司職人がいないからなんだよな。
なので、寿司を3ヶ月で養成する学校が山のように増えると。
世界中の世界人口の99%はクソまずい寿司食ってるんだよ。
で、日本人だけがある程度美味しい寿司を作ってるから、「3ヶ月で寿司職人なんて、そんなの寿司じゃないよ」って言ってるんだよ。
それはハイエンドの寿司であってさ。その寿司しか日本人は知らないんだけど、世界にはひどい寿司が山のようにあって、そのひどい寿司に千円出して食うやつが山のようにいるんだよ。
この状況を、私たち日本人は「寿司の国である」というブランド力を持ってるんだから、利用せずしてなんとすると。
ここから出来れば、年間10万人ぐらい寿司職人を作って世界中に輸出したら、日本人は大儲けが出来ると思うから、寿司職人3ヶ月養成学校には、大賛成なんだよ。
でもハイエンドの寿司っていうのは「君たちがこうやってローエンドやミドルの寿司を楽しんでたら、いずれ出会えるものになるでしょう」っていう「階級社会」を認めることなんだよね。
「寿司職人学校3ヶ月? そんなものを寿司と言えるのか?」っていう日本人の考え方は、ホリエモンに言わせれば「おろか」なんだけど、俺に言わせれば「健全」なんだよ。
それは何かというと、「庶民であっても金持ちであっても、一定の文化は楽しめるはずだ」という日本人の中流文化であって、それは江戸時代から育んでる庶民の文化が、実はものすごいレベルが高いという日本の誇りなんだよ。
俺はこれは日本の資産だと思ってる。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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