岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/11/13
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2017/11/05配信「ブレラン2049究極の謎解きスペシャル!!」の内容をご紹介します。
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2017/11/05の内容一覧
- 『おそ松さん』見たよ
- 『ブレードランナー2049』、やっぱりこの映画、面白くねえよ!
- 『ブレードランナー2049』あらすじ紹介
- 『ブレードランナー2049』を面白くする方法
- Q:死体遺棄事件、何が悪いのかわかりません
- Q:近いうちに飛び降り自殺するかもしれません
- Q:男らしさって何ですか?
- Q:漫画家ですが、女性ファンのセクハラを受けています
- Q:息子が専門学校を卒業してから2年間引きこもってます
- Q:趣味はどうやって見つけるの?
- なんでリドリー・スコットの作る物語は、こんなにもわかりにくい?
- 『ブレードランナー2049』を「カインとアベル」で読み解く
- 貴族の趣味は「品種改良」
- 次回はスティーブン・キング
- ゆうきまさみ「グリフォン初登場回」は天才
『ブレードランナー2049』、やっぱりこの映画、面白くねえよ!
では、『ブレードランナー2049』の話なんですけども。
「そろそろ、ネタバレしてもいいかな?」って思ったんですよ。変な言い方だけど、今の段階で見てない人って、これから先も、もう見に行かないと思うので。
なので、これから先も見る気がないという人にも、興味を持ってもらえるように喋ろうかと思うんだけど……いや、僕自身、この映画をそんなに強く推しているわけじゃないんだ。
なぜかというと、先週も言った通り、俺、初めてこれを見た時の感想が「あれ?」だったんだよ。念のために、今週の月曜日にもう一度見に行ってみたんだけど。そしたら今度は、上映時間の半分くらい爆睡しちゃったんだよね(笑)。
(中略)
なんで、途中で寝ちゃうくらい、僕のこの映画に対する評価が高くないのかというと、確かに映像はすごく綺麗なんだけども、「基本的に、やろうとしていることがキューブリック映画だから」なんだよ。
逆に言えば「これはキューブリック映画だ」と思って見たら、サービス満点でメチャクチャ台詞の多いキューブリック映画ではあるんだよね。これは『ブレードランナー2049』の楽しみ方の1つなんだけど。
ただ、キューブリック映画として見た場合でも、ちょっと「画が弱い」。
もちろん、映し出される映像は全般的にカッコいいんだよ? 例えば、一番最初、太陽光パネルがガーッと無数に並んでいるロサンゼルスの郊外の上をスピナーがシューッと飛んでいくシーンなんか、カッコいいはカッコいいんだけど。
でも、「キューブリックだったら、こうは撮らないだろう」って思っちゃうんだ。まあ、こんなこと言ってもしょうがないんだろうけど。そういう弱さがあるんだよね。
じゃあ、なんで、以前の『ブレードランナー』が画として強く見えるのかというと、「かわいいから」なんだ。
この「かわいい」という言語は、世界中でも日本人以外はあまり発見していない概念なんだけど。実は、この「かわいいか否か」というのは、映画がヒットするかどうかにすごく大きく関わっているんだよ。
キューブリックの映画って、正直、かわいくないんだよ。ところが、『スターウォーズ』にしても『ブレードランナー』にしても、本当にミニチュアを作って、苦労して撮ってる特撮映画って、なんか、かわいいんだよね。前の『ブレードランナー』の、ビル街の中をスピナーが飛ぶシーンにしても、実際にミニチュア作って飛ばしているもんだから、そういった「無理してる感じ」がかわいく見えるんだ。
だからといって、「今回の『ブレードランナー2049』は、特撮じゃなくコンピュータグラフィックだから、かわいくないのか?」って言うと、違う。だって、『カーズ』にしても『トイストーリー』にしても、ちゃんとかわいいでしょ? だから、「CGだからダメ」という話でもない。
この、かわいさという、ちょっとした色気みたいなものを画面に乗せるかどうかってすごく大きいと思うんだ。
ちゃんと日本でヒットしている『アベンジャーズ』シリーズなんかのマーヴェル映画と、『バットマン vs スーパーマン』とか、『ジャスティスリーグ』みたいなDCコミック映画を比べると、DCの方はかわいくないんだよ、不思議なもんで。
最近公開された『マイティ・ソー バトルロイヤル』は、俺、かわいいから見に行くことが決まってるんだ。ものすごい変な髪型をしたケイト・ブランシェットが、「アハハ」って振り返るシーンを見たら、もちろん「すごい! かっこいい!」っていうのがあるんだけど、同時に、なんかちょっとかわいいんだ。そういうふうに、画面全体にかわいげがあるんだよね。これ、案外、大事なんだ。
その意味では、『ブレードランナー2049』は、キューブリック的な映画を撮ろうとしたあまり、画面からかわいげがなくなってしまっている。だって、特に苦労もなく、思った通りの画が作れてしまうわけだから。
前の『ブレードランナー』は、所詮は特撮だから、なかなか思った通りの画が撮れないんだ。それを、ミニチュアとか合成で、なんとかごまかしてる。そこがかわいかったんだけど。今回は、そのかわいげが全然なくなってしまっている。
で、そうやって、かわいげを見せないままに、ものすごい画を見せようと思うんだったら、キューブリックみたいに時間をかけて撮るしかないんだよね。もう本当に、構図1つについて何日もかけて考えるとかをしないといけないんだけど。
それを、ハリウッド的なスピードで撮っちゃったので、かわいげはないわ、キューブリックみたいな非人間的な左右対称の構図なり、バッチリ決まったところもないわという、どっち付かずの画になっちゃったところが、寝ちゃうところだと思ったんだよ。
俺、キューブリックの映画を見てても寝ないもんな。
そうそう。今、コメントで流れたように、ちゃんとKが「脇腹を刺される」シーンもあって、「はいはい、スティグマータ(贖罪の視覚的なメタファー)」って思うしね。
いいシーンは本当にいっぱいあるんだけどね。
じゃあ、この『ブレードランナー2049』を、どうやったら面白くできるのか?
僕、自分のFacebookにも書いたんだけど、『ブレードランナー2049』って、失敗作というよりも、ほんのちょっとの変更ですぐに面白くできるんだよ。
もう簡単。次の3つだけなんだ。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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