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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「原爆を茶化した酷いTシャツの思い出」

2017/09/15 07:00 投稿

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岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/09/15

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2017/08/20配信「みなもと太郎先生に教わる『マンガの歴史』」の内容をご紹介します。
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2017/08/20の内容一覧

捨てられないTシャツ:ひどい原爆Tシャツ

(Tシャツを見せる。原爆のキノコ雲がデカデカとプリントされたTシャツ)

 これね、僕が初めてアメリカに行った時、サンフランシスコのお土産店で買ったTシャツなんだけど、酷いよね。
 「MADE IN USA TESTED IN JAPAN(アメリカで製造されて日本でテストされた)」って書いてあるんだ。これね、サンフランシスコの「フィッシャーマンズ・ワーフ」っていうところのお土産屋で買ったんだけども。

 僕の父親は陸軍の兵学校に行ってたんだ。
 学校の先生をやってたので、戦時中は師範学校に行ってたんだよね。1945年には20歳くらいだったんだけども、学徒動員にひっかからずに、まあ学校の先生だから「このまま戦争に行かずに済むのか?」と思ったら、最後の最後の年に徴兵されて、広島の兵学校に行く。
 まあ、「広島」の兵学校だったんだけど、一応、原爆が落ちるような都心部でなくて、山の田舎の方だから、なんとか助かったっていう人間なんだよ。

 当時、こんな経験って僕だけではなくって。僕と同じクラスの子って、だいたい家族の誰かが戦争で死んでたり、もしくは身体障害者になってたりという人が、すごく多かったんだよね。
 だから、生まれて初めてアメリカに行って、サンフランシスコという、すごい明るい街の土産物屋に行った時に、こういうTシャツが堂々と売っているのを見て、めちゃくちゃビックリしたんだよ。
 なんかね、ブラックジョークと言うにしては、ちょっと度が過ぎるなと思ってたんだけども。

 これ、着る機会があるかどうか、わからなくてさ。
 一応、買ってはみたんだよ。一応買ってみたんだけど、さすがに着るのが怖いから、SF大会とかに持って行って「こういうTシャツ持ってるんだ」って、いろんな人に話したんだ。
 やっぱり、真面目な人は「やめろよ!」とか言うんだけど。当時、1970年代後半のSF業界というのは、本当に「あらゆることを相対化することが正しい」という、なんかすごい大きい流れがあったんだ。

 堀晃っていうSF作家の人がいて、この人は、かんべむさしと一緒に「大阪2大チャランポランSF作家」だったんだよ。かんべむさしの方は「書くものはチャランポランなんだけど、人格は大真面目」。堀晃は、「書くものはハードSFなんだけども、人格は本当にデタラメ」という人だったんだけど。
 堀晃は大喜びして、「それどこで売ってるの?」って、このTシャツを欲しがったんだけども、かんべむさしさんには、書いてるものはすごいふざけてるんだけども、「そんなもの、絶対に着るな!」っていうふうに言われて。
 で、小松左京さんは、どちらかというと喜ぶということで、当時のSF界でもね、その人の人格によって、このTシャツを見た時の反応が違ってたんだよ。

 なんでこんなにSF作家の反応を覚えているのかっていうと、20歳くらいの時の僕にしてみれば、SF作家というのが第2第3の父親とか兄貴みたいなもんで、その人らがどう感じたのかを自分の価値観にしようとしていたんだよね。……今、こんなことを話すのは、めちゃめちゃ恥ずかしいんだけどさ(笑)。
 「小松左京先生が喜ぶんだから、俺も喜ばなきゃいけない!」とかさ、「かんべむさしさんが怒っているから、俺もやっぱり怒らないといけないのかな?」って、そんなふうな、もう本当に「ワナビー君」の恥ずかしいヤツだったんだけども。
 この時、筒井康隆さんには、「原爆ごときで過激ぶるな! ガキめ!」というような感じで、すごい冷たい目で見られてしまったんだよね。

 で、この間、「このコーナーで紹介できるTシャツってどんなのがあったかな?」って掘り返してたら、これが出てきて。
 やっぱりね、その頃から30年たった今だからこそ、それぞれの人の意見がわかるわ。怒る人の意見もわかるし、「笑っていいけど、そういうのは人前で笑うもんではない」って言う人の意見もわかる。あとは、堀晃さんの「いや、それをTシャツにして売っているというアメリカ人の感性が面白いじゃん」というのもわかるし。なんかね、いろんな人の意見がわかるようになったんだけど。
 逆に、わからなくなったのが、筒井康隆さんの反応。「なんで、お前は他人のことをそんなに言えるんだよ!」っていう(笑)。今に至るまでの筒井康隆の人生を眺めると、「お前、そこで怒っちゃいけないんじゃないかな?」っていうふうに思いました。

(続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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